38 / 153
第二章
アンデッドになるために召喚されたわけではありません! -進展-
しおりを挟む
「ちょ……、何でフィアさんが誠さんの部屋に……?」
「もしかして、やっぱりそういう関係だったのかしら……」
狼狽えた様子だがよくわかっていなさそうな明と、微妙な顔をしながらも納得といった感じのセリフを呟く穂乃果。
二日ぶりに見るが特に変わった様子はない。今のこの状況以外では。
しかしそういう関係ってどういう関係ですか、俺にはわかりません。あ、説明はいりませんよ?
「なんかよくわからんが、誤解してるんじゃないかな?」
フィアの後ろから声を掛けると二人の視線がこちらに向く。穂乃果の表情は変わらなかったが、俺を見つけた明は何かに気が付いたようで「ああ……」とか零している。
何を言われているか分かっていないフィアは小首を傾げている。むしろ当事者だろうが。
「何が誤解なのよ。一日中部屋に籠ってたかと思ったらフィアさんを連れ込むなんて……」
腕を組みながら穂乃果の視線をまっすぐと見返す。
「やっぱり誤解してるんじゃないか。俺はちゃんと昨日、ひとりだけで寝てたんだからな。連れ込んでなんかいないからな」
この部屋でのことじゃないが嘘は言ってないぞ。ちゃんと自分の部屋で一人で寝てたし。
あの二人には元の世界に戻れることはまだ言わないように、とフィアには言ってある。
たぶん連れて帰れるであろうとは思うが、百パーセント確信があるわけではないからだが、それが本音ではない。
邪教徒との戦闘に集中してほしいから、と言うのが一番だ。仮にも主人公を殺してアンデッド化させるような相手である。死なないという保証などない。
というわけで当たり障りのない言い訳しかできないのだが。
「じゃあなんでフィアさんがマコトの部屋にいるのよ! 鍵かかってたのは確認してるんだから!」
俺の言葉に明は眉を寄せるのみだが、穂乃果はまだ噛みついてくる。
というかしつこいな。何かあったわけじゃないが、別に何してたとしても関係ないだろうが。
若干めんどくさくなりながらも口を開こうとしたところで主犯からの言葉が入った。
「あの、寝てるマコトの部屋に忍び込んだのは私のほうなので、責めるなら私にしてください」
「――えっ?」
なんとフィアからフォローが入った。にしても自ら夜這いを認めるとかやるな。
自分のせいで他人が責められるのが耐えられなかったのかどうかはわからないが、なんにしろ矛先が俺から逸れるのであればいい。
とは言えだ、この話題はもういいんじゃないかな。
「まぁまぁ、それはもう置いといて、何かあったんじゃないのか?」
ドアを激しく叩きながら起こしに来ることなんて今までなかったし。
「……ああ、そうでした。邪教徒について進展がありまして、朝食を早めの時間にしてその後で手伝って欲しいことがあるそうですよ」
微妙に反応の遅れた穂乃果を遮るようにして明が差し挟んでくる。
ナイスだ、明くん!
「……そうなのよ。昨日の夕方に知らせに来たのに反応ないし。……まったく、どこ行ってたのよ」
ああ、なんか突っかかってくると思ったらそれでか?
しかし進展があったとは……。こりゃ早く決着がつくかもしれんな。
俺たちは黒幕の正体を知ってるけど証拠がなかったから、どう攻めようか悩んでたところがあったからな。
「なので、早く朝ごはん食べに行きましょう」
「ああ」
「行きましょう」
「以前に騎士団長から話は聞いていたかと思うが、昨日闇魔法を用いての尋問が行われた」
朝食後、目の前で説明をつらつらと述べているのは神官長のジョゼだ。手伝って欲しいことってなんだろね?
にしても闇魔法か……。あー、そういえば初めての訓練日にセシルさんが言ってた気がするな。昨日尋問あったんだ。それで進展があったんだな。
でも黒幕が判明したわけではなさそうだな。
「そこで、賊にあなたたちの襲撃を指示した人物が判明した」
ほほぅ。しかしジョゼさんや、初めて会ったときと口調変わってませんかね。あと顔色が悪いよ?
「こりゃ案外あっさり片付くかもな……」
俺のつぶやきは誰にも届かなかったようで反応する者はいない。
「その人物の名は副神官長のレイ・ウルティマイルだ」
――誰ソレ。そんなやついたっけ……。
小説は読んだばっかりだが、レイ・ウルティマイルという名前は記憶にない。
隣のフィアをチラ見してみるが、ふんふんと真面目な顔で頷くだけで特に疑問視はしていないようだ。
……小説を歴史書とか言ってたくらいだし、見知らぬ名前が出てきても何も思わないか。
しかし覚えのない名前の人物が出たということは、もしかすると無実の人を祭り上げようとしているんだろうか。
いやしかし、闇魔法を使って嘘を言わせるとかできるとも思えないし……。ってか尋問者もグルならできるのか。
「これからその人物の捕縛作戦を敢行するんだが、勇者殿――特にマコト殿には手伝っていただきたいと思う」
「ん? 俺ですか?」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、俺を鋭く睨み付けるジョゼと目が合った。
「ああ、マコト殿は自由に動かせる最大戦力だからな。よろしく頼む」
「……わかりました」
まったくもって先を予想出来なくなったが、相手は確定しているのだ。油断せずに行こう。
「もしかして、やっぱりそういう関係だったのかしら……」
狼狽えた様子だがよくわかっていなさそうな明と、微妙な顔をしながらも納得といった感じのセリフを呟く穂乃果。
二日ぶりに見るが特に変わった様子はない。今のこの状況以外では。
しかしそういう関係ってどういう関係ですか、俺にはわかりません。あ、説明はいりませんよ?
「なんかよくわからんが、誤解してるんじゃないかな?」
フィアの後ろから声を掛けると二人の視線がこちらに向く。穂乃果の表情は変わらなかったが、俺を見つけた明は何かに気が付いたようで「ああ……」とか零している。
何を言われているか分かっていないフィアは小首を傾げている。むしろ当事者だろうが。
「何が誤解なのよ。一日中部屋に籠ってたかと思ったらフィアさんを連れ込むなんて……」
腕を組みながら穂乃果の視線をまっすぐと見返す。
「やっぱり誤解してるんじゃないか。俺はちゃんと昨日、ひとりだけで寝てたんだからな。連れ込んでなんかいないからな」
この部屋でのことじゃないが嘘は言ってないぞ。ちゃんと自分の部屋で一人で寝てたし。
あの二人には元の世界に戻れることはまだ言わないように、とフィアには言ってある。
たぶん連れて帰れるであろうとは思うが、百パーセント確信があるわけではないからだが、それが本音ではない。
邪教徒との戦闘に集中してほしいから、と言うのが一番だ。仮にも主人公を殺してアンデッド化させるような相手である。死なないという保証などない。
というわけで当たり障りのない言い訳しかできないのだが。
「じゃあなんでフィアさんがマコトの部屋にいるのよ! 鍵かかってたのは確認してるんだから!」
俺の言葉に明は眉を寄せるのみだが、穂乃果はまだ噛みついてくる。
というかしつこいな。何かあったわけじゃないが、別に何してたとしても関係ないだろうが。
若干めんどくさくなりながらも口を開こうとしたところで主犯からの言葉が入った。
「あの、寝てるマコトの部屋に忍び込んだのは私のほうなので、責めるなら私にしてください」
「――えっ?」
なんとフィアからフォローが入った。にしても自ら夜這いを認めるとかやるな。
自分のせいで他人が責められるのが耐えられなかったのかどうかはわからないが、なんにしろ矛先が俺から逸れるのであればいい。
とは言えだ、この話題はもういいんじゃないかな。
「まぁまぁ、それはもう置いといて、何かあったんじゃないのか?」
ドアを激しく叩きながら起こしに来ることなんて今までなかったし。
「……ああ、そうでした。邪教徒について進展がありまして、朝食を早めの時間にしてその後で手伝って欲しいことがあるそうですよ」
微妙に反応の遅れた穂乃果を遮るようにして明が差し挟んでくる。
ナイスだ、明くん!
「……そうなのよ。昨日の夕方に知らせに来たのに反応ないし。……まったく、どこ行ってたのよ」
ああ、なんか突っかかってくると思ったらそれでか?
しかし進展があったとは……。こりゃ早く決着がつくかもしれんな。
俺たちは黒幕の正体を知ってるけど証拠がなかったから、どう攻めようか悩んでたところがあったからな。
「なので、早く朝ごはん食べに行きましょう」
「ああ」
「行きましょう」
「以前に騎士団長から話は聞いていたかと思うが、昨日闇魔法を用いての尋問が行われた」
朝食後、目の前で説明をつらつらと述べているのは神官長のジョゼだ。手伝って欲しいことってなんだろね?
にしても闇魔法か……。あー、そういえば初めての訓練日にセシルさんが言ってた気がするな。昨日尋問あったんだ。それで進展があったんだな。
でも黒幕が判明したわけではなさそうだな。
「そこで、賊にあなたたちの襲撃を指示した人物が判明した」
ほほぅ。しかしジョゼさんや、初めて会ったときと口調変わってませんかね。あと顔色が悪いよ?
「こりゃ案外あっさり片付くかもな……」
俺のつぶやきは誰にも届かなかったようで反応する者はいない。
「その人物の名は副神官長のレイ・ウルティマイルだ」
――誰ソレ。そんなやついたっけ……。
小説は読んだばっかりだが、レイ・ウルティマイルという名前は記憶にない。
隣のフィアをチラ見してみるが、ふんふんと真面目な顔で頷くだけで特に疑問視はしていないようだ。
……小説を歴史書とか言ってたくらいだし、見知らぬ名前が出てきても何も思わないか。
しかし覚えのない名前の人物が出たということは、もしかすると無実の人を祭り上げようとしているんだろうか。
いやしかし、闇魔法を使って嘘を言わせるとかできるとも思えないし……。ってか尋問者もグルならできるのか。
「これからその人物の捕縛作戦を敢行するんだが、勇者殿――特にマコト殿には手伝っていただきたいと思う」
「ん? 俺ですか?」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、俺を鋭く睨み付けるジョゼと目が合った。
「ああ、マコト殿は自由に動かせる最大戦力だからな。よろしく頼む」
「……わかりました」
まったくもって先を予想出来なくなったが、相手は確定しているのだ。油断せずに行こう。
4
あなたにおすすめの小説
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
オリジナルの桜間トオルは死にました
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人目の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました
チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。
完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。
【捕食】
それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。
ゴブリンを食べれば腕力を獲得。
魔物を食べれば新スキルを習得。
レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。
森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。
やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。
これは――
最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる
ぽとりひょん
ファンタジー
エアハルトは、幼なじみのエルメンヒルトを追ってダンジョンの町「ゴルドベルク」で冒険者になろうとする。しかし、彼のアビリティを見た人たちは冒険者を諦め村へ帰るように説得する。彼には魔力がなかった。魔力がなければ深層で魔物と戦うことが出来ないのだ。エアハルトは諦めきれずエルメンヒルトと肩を並べて冒険するため、冒険者となってポンコツと蔑まれながら、ソロでダンジョンに挑み始める。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
半世紀の契約
篠原皐月
恋愛
それぞれ個性的な妹達に振り回されつつ、五人姉妹の長女としての役割を自分なりに理解し、母親に代わって藤宮家を纏めている美子(よしこ)。一見、他人からは凡庸に見られがちな彼女は、自分の人生においての生きがいを、未だにはっきりと見い出せないまま日々を過ごしていたが、とある見合いの席で鼻持ちならない相手を袖にした結果、その男が彼女の家族とその後の人生に、大きく関わってくる事になる。
一見常識人でも、とてつもなく非凡な美子と、傲岸不遜で得体の知れない秀明の、二人の出会いから始まる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる