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第三章
相容れない趣味
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「ああ……、すまん、冗談だ。悪かった」
何の言葉に対して激昂したかわからないが、とにかく楓を宥めるように彩が謝罪する。
ゲーム機を放り出して立ち上がった楓の両肩に手を置いて、ひたすら謝り倒すとひとまずは落ち着いたようだ。
「刺客というのは冗談だけど、おじいさん関係者ってのは本当よ」
彩の言葉にまたもやピクリと反応する楓だったが、今度は抑えが効いたようでそれ以上の反応はなかった。
「家出したと聞いていたので、ひとまず無事で安心しました」
じいさんと仲が悪そうなのでいきなり突っ込んだ話を避けて、まずは無事を喜ぶことにする。
「ふむ。……まあ座るといい。お茶でも入れよう」
広い部屋に家具が少なくがらんとした部屋だが、やはり何かの事務所的な使い方がされてるのだろうか。
彩は手慣れた様子で急須に茶葉を入れ、ポットからお湯を注ぐと四人分のお茶をテーブルに置いて楓の隣に座る。
「さて、紹介が遅れたようで申し訳ない。
私は川崎探偵事務所の所長をやっている、川崎彩という者だ」
看板も何もなかったが探偵事務所かい。同業者……、と呼べなくもないな。
にしても他に人はいないし、だだっ広い部屋の割に家具が少ないし、ちゃんと活動してるようには思えないんだが。
小太郎の事務所でも、本人以外に三人くらい従業員がいた気がする。ほぼ面識ないけど。
「では改めて。何でも屋榊から来ました、沢野井誠と申します」
心の中で突っ込みつつも自己紹介を返す。
「フィアです」
俺に続いてフィアも名前だけではあるが自己紹介をする。
それとともに機嫌が悪そうに俺を見つめていた楓がフィアに顔を向けるが、その瞬間に表情が不機嫌顔から訝しむ表情に変わる。
「ええと……、あ、あたしは白川楓よ……」
フィアの顔を見つめながらもなんとか自己紹介を済ませるが、何かに気が付いたかのようにはっとした表情になる楓。
そして何か一人で納得したのか「ああ」と言葉を漏らして興味深そうにしてひたすらフィアを見つめている。
「……どうしたの? 楓?」
「……ううん、なんでもない」
まったくもって意味不明なやり取りはスルーすることにして、俺は口を開く。
「ええと、楓さんが家出したと聞きまして、探しに来たんですが……、やっぱり素直に家に帰ってくれそうにはなさそうですよね」
「当たり前じゃない! あんのクソじじいまたやらかしてくれちゃって、今度こそ許してあげないんだから!!」
一旦落ち着いたかと思ったが、じいさんの話題を出した途端に怒りが再燃したようだ。
勢いよく立ち上がって拳を握りしめている。
お嬢様と聞いていたがどんどんそのイメージが崩壊していくな……。
「はあ……。楓、迎えも来たんだし、そろそろ帰りなさいよ……」
疲れたようにため息をついて彩が呟くように漏らすが、その声には力がない。
「嫌よ! あたしはもう家に帰らないんだから!」
じいさんすごい嫌われようだな……。いったい何やらかしたんだ。
「あの……、楓さんのおじい様は、いったい何をしたんでしょうか……?」
今一番聞きたかったことをフィアが聞いてくれる。
「……ふん!」
話すのも嫌とばかりに楓は取り合ってくれない。だが隣にいる彩に顔を向けると、代わりに話してくれた。
どうにも居座り続ける楓に辟易しているように見える。
「見てわかる通り、楓はかなりのゲーム好きなんだけど……」
そうやって語った内容をまとめるとこうだ。
じいさんも同じくゲーム好きなんだそうだが、趣味が合うかというとそうではなく、むしろ全く合わないのだそうだ。
楓は見た通り携帯ゲーム機、コンシューマーゲーム機、果てはパソコンでのオンラインゲームなど、いろいろ手を出しているらしいが、そのじいさんはゲーム好きといえどデジタル機器には疎いらしく、専ら体を動かすことが好きなようなのだ。
中でもハマっているのがサバゲーというアクティブなじいさんらしく、たまに巻き込まれることもある楓はかなりじいさんに嫌気がさしているらしい。
そんなじいさんではあるが、楓のやるゲームに興味を持つようになるのに時間はかからなかった。
かといってデジタル機器が苦手なじいさんは、ゲームパッドやキーボード、マウスでの操作ができるはずもない。
楓と同じようにゲームをやることは諦めたのだが、だからと言って楓と同じゲームを体験するのを諦めたわけではなかった。
――そう、『体験』である。
ゲームの雰囲気をリアルで体験しようとしたのである。
アホらしいと思うかもしれないが、お金を持て余した隠居したじいさんというのはある意味自重というものを知らないらしい。
ありがちなゲームイベントを体験しようとしたじいさんに巻き込まれ、楓はゲームイベント体験という名の『誘拐』をされたのであった。
「……あれは本気で怖かったんだから! ……そんなところにあのクソじじいがドヤ顔で助けに来たのよ!」
何の言葉に対して激昂したかわからないが、とにかく楓を宥めるように彩が謝罪する。
ゲーム機を放り出して立ち上がった楓の両肩に手を置いて、ひたすら謝り倒すとひとまずは落ち着いたようだ。
「刺客というのは冗談だけど、おじいさん関係者ってのは本当よ」
彩の言葉にまたもやピクリと反応する楓だったが、今度は抑えが効いたようでそれ以上の反応はなかった。
「家出したと聞いていたので、ひとまず無事で安心しました」
じいさんと仲が悪そうなのでいきなり突っ込んだ話を避けて、まずは無事を喜ぶことにする。
「ふむ。……まあ座るといい。お茶でも入れよう」
広い部屋に家具が少なくがらんとした部屋だが、やはり何かの事務所的な使い方がされてるのだろうか。
彩は手慣れた様子で急須に茶葉を入れ、ポットからお湯を注ぐと四人分のお茶をテーブルに置いて楓の隣に座る。
「さて、紹介が遅れたようで申し訳ない。
私は川崎探偵事務所の所長をやっている、川崎彩という者だ」
看板も何もなかったが探偵事務所かい。同業者……、と呼べなくもないな。
にしても他に人はいないし、だだっ広い部屋の割に家具が少ないし、ちゃんと活動してるようには思えないんだが。
小太郎の事務所でも、本人以外に三人くらい従業員がいた気がする。ほぼ面識ないけど。
「では改めて。何でも屋榊から来ました、沢野井誠と申します」
心の中で突っ込みつつも自己紹介を返す。
「フィアです」
俺に続いてフィアも名前だけではあるが自己紹介をする。
それとともに機嫌が悪そうに俺を見つめていた楓がフィアに顔を向けるが、その瞬間に表情が不機嫌顔から訝しむ表情に変わる。
「ええと……、あ、あたしは白川楓よ……」
フィアの顔を見つめながらもなんとか自己紹介を済ませるが、何かに気が付いたかのようにはっとした表情になる楓。
そして何か一人で納得したのか「ああ」と言葉を漏らして興味深そうにしてひたすらフィアを見つめている。
「……どうしたの? 楓?」
「……ううん、なんでもない」
まったくもって意味不明なやり取りはスルーすることにして、俺は口を開く。
「ええと、楓さんが家出したと聞きまして、探しに来たんですが……、やっぱり素直に家に帰ってくれそうにはなさそうですよね」
「当たり前じゃない! あんのクソじじいまたやらかしてくれちゃって、今度こそ許してあげないんだから!!」
一旦落ち着いたかと思ったが、じいさんの話題を出した途端に怒りが再燃したようだ。
勢いよく立ち上がって拳を握りしめている。
お嬢様と聞いていたがどんどんそのイメージが崩壊していくな……。
「はあ……。楓、迎えも来たんだし、そろそろ帰りなさいよ……」
疲れたようにため息をついて彩が呟くように漏らすが、その声には力がない。
「嫌よ! あたしはもう家に帰らないんだから!」
じいさんすごい嫌われようだな……。いったい何やらかしたんだ。
「あの……、楓さんのおじい様は、いったい何をしたんでしょうか……?」
今一番聞きたかったことをフィアが聞いてくれる。
「……ふん!」
話すのも嫌とばかりに楓は取り合ってくれない。だが隣にいる彩に顔を向けると、代わりに話してくれた。
どうにも居座り続ける楓に辟易しているように見える。
「見てわかる通り、楓はかなりのゲーム好きなんだけど……」
そうやって語った内容をまとめるとこうだ。
じいさんも同じくゲーム好きなんだそうだが、趣味が合うかというとそうではなく、むしろ全く合わないのだそうだ。
楓は見た通り携帯ゲーム機、コンシューマーゲーム機、果てはパソコンでのオンラインゲームなど、いろいろ手を出しているらしいが、そのじいさんはゲーム好きといえどデジタル機器には疎いらしく、専ら体を動かすことが好きなようなのだ。
中でもハマっているのがサバゲーというアクティブなじいさんらしく、たまに巻き込まれることもある楓はかなりじいさんに嫌気がさしているらしい。
そんなじいさんではあるが、楓のやるゲームに興味を持つようになるのに時間はかからなかった。
かといってデジタル機器が苦手なじいさんは、ゲームパッドやキーボード、マウスでの操作ができるはずもない。
楓と同じようにゲームをやることは諦めたのだが、だからと言って楓と同じゲームを体験するのを諦めたわけではなかった。
――そう、『体験』である。
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アホらしいと思うかもしれないが、お金を持て余した隠居したじいさんというのはある意味自重というものを知らないらしい。
ありがちなゲームイベントを体験しようとしたじいさんに巻き込まれ、楓はゲームイベント体験という名の『誘拐』をされたのであった。
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