本からはじまる異世界旅行記

m-kawa

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第四章

転生者は異世界で何を見る? -出発-

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 あのあと、各モンスターの素材として売れる部位を聞いた後、俺たちは街の南門へ向けて歩いていた。
 ゴブリンの話を聞いたフィアが顔を青褪めさせ、瑞樹は他人事のように嘆息していたが、一応お前も女なんだから気を付けろと注意したり。
 さすがにゲームにはそんな醜悪な生態を持つモンスターはいないらしく、フィアもゴブリンの繁殖方法は聞いたことがないようだったのだ。

「あの、誠さん。……ホントにこのまま向かうのか?」

 片手に木剣を下げ、もう片方の手でお腹をさすりながら瑞樹が確認してきた。

「おう。準備も何もあったもんじゃないが、金がないんだからどうしようもない」

「そりゃそうだけど……」

 せめて五十リルで買える食べ物でも探せば……、などと呟きが聞こえるがスルーだ。
 街の外に出たらアイテムボックスにある飯食わせてやるからちょっと我慢してくれ。
 木造建築の続く大通りを歩いて南門へと向かう。昨日通ったばかりの道は特に代わり映えしない。が、同じ方向へと歩く集団が二組あるらしかった。
 おそらく同業者である冒険者だろうか。きっちりと防具を着込み、武器を下げ、必要な道具が詰まった袋を背負っている。

「あいつらも俺たちと同じ目的かな……?」

 だとするとちょっと人目に付かないように時間帯をずらしたいところだが。とは言え先に行ってくれるのを待ってる間に後ろから別の集団が現れては意味がないが。

「とりあえず街を出てから考えましょ」

「そうだな」

 門までたどり着くと、門衛に仮の身分証であるギルドカードを見せて外へと出る。さすがに昨日の人ではなかった。ここはブラックではないらしい。たぶん。

「とりあえず森に向かうか」

「はぁ……、腹減った……」

 とうとう我慢できずに瑞樹がぼやいている。すまんね。もうちょっと待っててくれ。

 門衛から見える場所もまずいので、ひとまず森へと向かうことにする。
 どうやら二組の集団のうち、一組だけが同じ進行方向のようだった。もう一組は森の反対側である西方向へと消えていった。

「ちょっと休憩するか」

 しばらく歩き、門衛からも見えなくなった頃だろうか。そろそろアイテムボックスから朝食を出すので、見つからないように先行する冒険者集団が見えなくなるまで待機するために立ち止まる。

「うん。そろそろ私もお腹が限界」

 フィアも瑞樹と同じくお腹をさすっている。

「えっ? 何? どういうこと?」

「まあちょっと待ってろ。あいつらが見えなくなったら――」

 その場に座り込み、先行する冒険者集団を振り返るが、なぜか向こうの集団がこちらに近づいてきているところだった。
 そして相手を視認できる距離になったとたんに、先頭の男の表情が険しくなる。

「おい、お前。勝手にオレたちに付いて来んじゃねえよ」

 そして開口一番に出たセリフがこれだった。
 五人集団のリーダーらしき、皮鎧を着込みショートソードを腰に二本差した中肉中背の三十代ほどの男だ。
 その後ろには、斧と盾を携えたドワーフ体型の男に弓を背負った女、あとはローブを着た魔法使い風の男女の二人だ。見た目だけはバランスがよさそうである。

「そういうつもりはないんだが、たまたま行き先が同じみたいだな」

 悪意は感じられるが、いきなり襲ってくるといったことはないようだ。
 すぐに動けるように体に入れていた力を抜いて肩をすくめる。

「ふん。準備もロクにできないやつにオレらの邪魔をされるのは困るんでね。忠告にきたのさ」

 険しい表情のままこちらを見下して俺を睨みつけるリーダー風の男。

「そうか。それなら問題ないだろ。見ての通りこっちは今から休憩を入れるところだ。先に行くあんたらの邪魔はしないよ」

 ただ座り込んだだけで休憩の準備らしい準備も何もできないのだが。そこは察してもらうしかない。

「そうかい。……お嬢ちゃんらも大変だな。こんな貧弱な男を頼るくらいなら、オレに付いてくるか? 面倒見てやるぜ」

 俺から視線を外して後ろの二人を好色そうに眺めると、とんでもないセリフを吐くリーダー風の男。
 一瞬何を言われたのか理解できなかったが、意味が分かったとたんにイラつきが湧いてきた。だがしかしここは我慢だ。
 リーダーの後ろの仲間の女性はと言うと、「またか」といったセリフが聞こえて呆れ顔をしている。

「「お断りします」」

 そんなリーダー風の男に、俺の連れである二人はドン引きしながらも間髪入れずに断っていた。

「……後悔しても知らんぞ」

 この後、新人冒険者に襲い掛かるテンプレでも発生するのかと身構えていたが、どうやらそうはならないようだった。
 さすがに女性を含む冒険者パーティでそういう手合いはいないか。というか大抵突っかかってくるのは単独行動する一名だけか。
 そんな益体もないことを考えていると、リーダーが残念な捨て台詞を残して先行して去って行くのだった。
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