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第四章
転生者は異世界で何を見る? -倉科瑞樹4-
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「おい、来たぞ!」
まったくもって何をどうすればいいかわからず、ただ恐怖心に震えているともう一人いた男から声が発せられた。
「ちっ」
半分ほど羽織っていたローブを脱がされた状態のまま、今度は後ろから羽交い絞めにされて首にナイフを突きつけられた。
「ひっ」
半ば悲鳴のような声が無意識のうちに零れ出る。
羽交い絞めされた状態でその場に立たされるが足に力が入らない。引きずられるようにした立ち上がらされると、自分がいる部屋に誰かが入ってきた。
「ミズキちゃん!」
「おっと、そこまでだ!」
ぼやける視界ながらも誰が来たのかわかった。誠さんとフィアさんだ。
二人を認めたところで恐怖に縛られていた心に若干の余裕が現れる。
もしかして助けに来てくれたのかと期待が膨らむが、未だに自分の首にはナイフが突きつけられたままだ。
「さて、出すもんきっちり出してもらうぜ」
「もちろんさっきの店で買ったヤツも脱いで寄越せ。ああ、女は全部脱いでくれてかまわんぞ」
若干心にできた余裕から、何か自分にできることはないか考えようとするも、何も浮かばない。
……そういえば自分には何ができたんだっけ。
とりとめのないことが浮かびそうになっては恐怖に塗りつぶされていく。
――あ、そうだ。魔法だ。
自分でできることを思い出したそのとき、誠さんとフィアさんの後ろの入口からもう一人、抜身の剣を携えた男が入ってくるところだった。
「――っ!」
注意を向けようと声を出そうとするが、喉に何かが張り付いたかのように何も発せられない。
しかし、直後に起こった現象は信じられないものだった。
「――んなっ!?」
後ろから不意打ちのようにして入ってきた男が爆音と共に上空へ吹き飛んだかと思うと、誠さんとフィアさんが同時にこちらに突っ込んできたのだ。
おれを羽交い絞めにしている男と、隣で剣を握っている男から動揺を大いに含んだ声がする。
「ぐあっ!」
男の悲鳴と共に軽い衝撃が起こり、気が付けばおれはナイフを突きつけられていた男から解放され、フィアさんに抱き留められていたのだ。
「ミズキちゃん……、大丈夫?」
恐怖が一瞬にしてどこかへ行き、ほっとした安心とともにまた涙があふれてきたのを自覚する。
心配そうにフィアさんが覗き込んでくるけど顔が近い。
「あ……、うん……」
しどろもどろになりながらも辛うじて返事をする。
顔が熱い。心臓がドキドキする。
フィアさんの顔を見ているとちょっと恥ずかしくなってきたのでちらりと横を見ると、男が二人地面で伸びていた。
「大丈夫か、瑞樹」
一番最初に吹き飛ばした男を引きずりながら誠さんが声を掛けてくれる。
「……はい。大丈夫です」
フィアさんに支えられながらローブを羽織りなおして立ち上がる。
「よかった!」
両手を胸の前で合わせて笑顔で喜ぶフィアさんの笑顔が眩しい。そしてなぜだかずっとフィアさんの顔を見ていられない。だというのにずっと見ていたい。
相反する気持ちに戸惑いながらも、自分の警戒が足りずに襲われ、何もできなかった自分が情けなく思った。
一体自分は何のために魔法の練習をしていたんだろうか。こういうときのためじゃないのか。
「あの……、ごめんなさい」
「何言ってるの! こういうときは、ありがとうでしょ」
フィアさんの表情が一瞬だけ険しいものになったかと思ったけど、優しい笑顔でおれを抱きしめてくれた。
「あ……」
ドキドキしていた心臓が高鳴り顔がますます赤くなるのを感じる。
だらんと下げられていた両腕をどうしようかさまよわせていたけど、えいやっとばかりにフィアさんの背中に回した。
そうだ、今は女同士なんだ。何も問題ないじゃないか。
「ありがとう」
それにおれは男だ。
フィアさんを好きになったとしても……、何も問題ないよね?
婚約者がすでにいるだとか、そもそも矛盾だらけじゃないかとかいろいろ思ったけど、今はどうでもよかった。
まったくもって何をどうすればいいかわからず、ただ恐怖心に震えているともう一人いた男から声が発せられた。
「ちっ」
半分ほど羽織っていたローブを脱がされた状態のまま、今度は後ろから羽交い絞めにされて首にナイフを突きつけられた。
「ひっ」
半ば悲鳴のような声が無意識のうちに零れ出る。
羽交い絞めされた状態でその場に立たされるが足に力が入らない。引きずられるようにした立ち上がらされると、自分がいる部屋に誰かが入ってきた。
「ミズキちゃん!」
「おっと、そこまでだ!」
ぼやける視界ながらも誰が来たのかわかった。誠さんとフィアさんだ。
二人を認めたところで恐怖に縛られていた心に若干の余裕が現れる。
もしかして助けに来てくれたのかと期待が膨らむが、未だに自分の首にはナイフが突きつけられたままだ。
「さて、出すもんきっちり出してもらうぜ」
「もちろんさっきの店で買ったヤツも脱いで寄越せ。ああ、女は全部脱いでくれてかまわんぞ」
若干心にできた余裕から、何か自分にできることはないか考えようとするも、何も浮かばない。
……そういえば自分には何ができたんだっけ。
とりとめのないことが浮かびそうになっては恐怖に塗りつぶされていく。
――あ、そうだ。魔法だ。
自分でできることを思い出したそのとき、誠さんとフィアさんの後ろの入口からもう一人、抜身の剣を携えた男が入ってくるところだった。
「――っ!」
注意を向けようと声を出そうとするが、喉に何かが張り付いたかのように何も発せられない。
しかし、直後に起こった現象は信じられないものだった。
「――んなっ!?」
後ろから不意打ちのようにして入ってきた男が爆音と共に上空へ吹き飛んだかと思うと、誠さんとフィアさんが同時にこちらに突っ込んできたのだ。
おれを羽交い絞めにしている男と、隣で剣を握っている男から動揺を大いに含んだ声がする。
「ぐあっ!」
男の悲鳴と共に軽い衝撃が起こり、気が付けばおれはナイフを突きつけられていた男から解放され、フィアさんに抱き留められていたのだ。
「ミズキちゃん……、大丈夫?」
恐怖が一瞬にしてどこかへ行き、ほっとした安心とともにまた涙があふれてきたのを自覚する。
心配そうにフィアさんが覗き込んでくるけど顔が近い。
「あ……、うん……」
しどろもどろになりながらも辛うじて返事をする。
顔が熱い。心臓がドキドキする。
フィアさんの顔を見ているとちょっと恥ずかしくなってきたのでちらりと横を見ると、男が二人地面で伸びていた。
「大丈夫か、瑞樹」
一番最初に吹き飛ばした男を引きずりながら誠さんが声を掛けてくれる。
「……はい。大丈夫です」
フィアさんに支えられながらローブを羽織りなおして立ち上がる。
「よかった!」
両手を胸の前で合わせて笑顔で喜ぶフィアさんの笑顔が眩しい。そしてなぜだかずっとフィアさんの顔を見ていられない。だというのにずっと見ていたい。
相反する気持ちに戸惑いながらも、自分の警戒が足りずに襲われ、何もできなかった自分が情けなく思った。
一体自分は何のために魔法の練習をしていたんだろうか。こういうときのためじゃないのか。
「あの……、ごめんなさい」
「何言ってるの! こういうときは、ありがとうでしょ」
フィアさんの表情が一瞬だけ険しいものになったかと思ったけど、優しい笑顔でおれを抱きしめてくれた。
「あ……」
ドキドキしていた心臓が高鳴り顔がますます赤くなるのを感じる。
だらんと下げられていた両腕をどうしようかさまよわせていたけど、えいやっとばかりにフィアさんの背中に回した。
そうだ、今は女同士なんだ。何も問題ないじゃないか。
「ありがとう」
それにおれは男だ。
フィアさんを好きになったとしても……、何も問題ないよね?
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