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第1章 危険な夢のはじまり
エピローグ
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子供の頃、男の子には、絶対にヒーローがいたはずだ。
「○○戦隊レッド~!」
「△△ライダー!」
まだ小さかったあの頃、いつも一緒に遊んだ友達は、五人組の戦隊ヒーローのリーダーか、昆虫がモチーフの孤独なヒーローの決めポーズを繰り返した。
しかし、幼き日の大輔(だいすけ)は――。
「行くぜダイ! 決めるぜタマ!」
一人二役をこなし、それぞれに拳銃を構えるポーズを決めた。
友達は皆ポカンとした。
「大ちゃん、おかしいよ! なんで二人分やるの?」
「そうだよ! それにダイとタマはヒーローじゃないよ。お巡りさんだよ!」
友達から鋭いツッコミが入る。大輔は、顔の脇に拳銃を構えたポーズのまま、小さな頬をプクッと膨らませた。
「違うもん! 二人は刑事だもん! それにダイとタマは二人で一人なの! だから二人で俺の、ヒーローなの!」
大輔の力説にも、友達は「変なの」と納得してくれなかった。
しかしそれでも、幼い大輔のヒーローは、二人の刑事しかいなかった。
二十年ほど前、「デカダマ!」という刑事ドラマがあった。今ではあり得ない、派手なアクションや街中での銃撃戦が売りで、破天荒でハンサムな二人の刑事が、メチャクチャなやり方で難事件を解決する、痛快刑事コメディーだった。
子供の大輔は、勧善懲悪のその刑事ドラマが大好きで、母に録画をせがんで何度も繰り返して観るほどだった。
そしてその「デカダマ!」の二人の主人公、破天荒でワイルドな刑事大山――通称ダイ――と、クールで頭脳明晰な美貌のハーフ刑事玉木――通称タマ――が、当時の大輔のヒーローだったのだ。
子供の目にも美形のタマが、テレビの中で「行くぜダイ!」と叫ぶと、大輔という名の自分が呼ばれたようでドキドキした。
タマのかけ声に合わせ、一緒に敵のアジトに乗り込むダイは本当に格好良くて、自分もいつかあんな男になりたいと憧れた。
それはどちらも、初恋に似たトキメキだった。
戦隊モノのレッドでもなく、なんとかライダーでもなく、二人の刑事が大輔の心のヒーローで、大人になった今でも――ダイ役のワイルド俳優は、最近ではBS放送の通販番組ぐらいでしか見かけなくても、タマ役のイケメン俳優が実質引退状態でも――あの時憧れた気持ちは少しも消えていない。
「俺、大きくなったら、ダイとタマみたいな刑事になるんだ!」
幼い大輔は、大輔オリジナルの拳銃ポーズを決めながらそう誓った。
それから二十年後――幼き日の誓いが、ついに叶えられることになる。
「○○戦隊レッド~!」
「△△ライダー!」
まだ小さかったあの頃、いつも一緒に遊んだ友達は、五人組の戦隊ヒーローのリーダーか、昆虫がモチーフの孤独なヒーローの決めポーズを繰り返した。
しかし、幼き日の大輔(だいすけ)は――。
「行くぜダイ! 決めるぜタマ!」
一人二役をこなし、それぞれに拳銃を構えるポーズを決めた。
友達は皆ポカンとした。
「大ちゃん、おかしいよ! なんで二人分やるの?」
「そうだよ! それにダイとタマはヒーローじゃないよ。お巡りさんだよ!」
友達から鋭いツッコミが入る。大輔は、顔の脇に拳銃を構えたポーズのまま、小さな頬をプクッと膨らませた。
「違うもん! 二人は刑事だもん! それにダイとタマは二人で一人なの! だから二人で俺の、ヒーローなの!」
大輔の力説にも、友達は「変なの」と納得してくれなかった。
しかしそれでも、幼い大輔のヒーローは、二人の刑事しかいなかった。
二十年ほど前、「デカダマ!」という刑事ドラマがあった。今ではあり得ない、派手なアクションや街中での銃撃戦が売りで、破天荒でハンサムな二人の刑事が、メチャクチャなやり方で難事件を解決する、痛快刑事コメディーだった。
子供の大輔は、勧善懲悪のその刑事ドラマが大好きで、母に録画をせがんで何度も繰り返して観るほどだった。
そしてその「デカダマ!」の二人の主人公、破天荒でワイルドな刑事大山――通称ダイ――と、クールで頭脳明晰な美貌のハーフ刑事玉木――通称タマ――が、当時の大輔のヒーローだったのだ。
子供の目にも美形のタマが、テレビの中で「行くぜダイ!」と叫ぶと、大輔という名の自分が呼ばれたようでドキドキした。
タマのかけ声に合わせ、一緒に敵のアジトに乗り込むダイは本当に格好良くて、自分もいつかあんな男になりたいと憧れた。
それはどちらも、初恋に似たトキメキだった。
戦隊モノのレッドでもなく、なんとかライダーでもなく、二人の刑事が大輔の心のヒーローで、大人になった今でも――ダイ役のワイルド俳優は、最近ではBS放送の通販番組ぐらいでしか見かけなくても、タマ役のイケメン俳優が実質引退状態でも――あの時憧れた気持ちは少しも消えていない。
「俺、大きくなったら、ダイとタマみたいな刑事になるんだ!」
幼い大輔は、大輔オリジナルの拳銃ポーズを決めながらそう誓った。
それから二十年後――幼き日の誓いが、ついに叶えられることになる。
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