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王都の怪人
7話 悪友と再会
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ここは王都と地方都市を結ぶ街道沿いにある宿場町。
商人や旅人が年中利用するので、それなりに栄えている。
こういう場所は一般用の宿や店と共に、貴族用の宿泊施設と……娼婦を買える宿が混在している。
もちろん後者は裏通りに隔離されてるわけで一般人はその存在を視界に入れる事はない。
†††††
ベアトリクス様との会話の途中、突然話しかけられる。
「イーモン殿、私の存在が気になるのか」
「え? あ、いや」
「お姉さま」
フィオナだ。
彼女の話をしていた手前、少し気まずくなる。
しかし、この短時間で馬を繋ぎ場につないで、馬車に輪留めをしてきたようだ。
仕事が早い。
「とにかく、フィオナお姉さまはお姉さまですわ」
ベアトリクス様は本人の前で私にそう説明する。
それを聞いたフィオナはため息をつく。
「いけまけんよ、ベアトリクス様。あなた様と私は戸籍上関係はございません」
「……」
「何度も言うように、私の事は呼び捨てにして他の使用人と同じように接していただかないと」
これは……貴族にありがちな本妻の子と妾の子と言ったところか?
「えっと。それは腹違いの姉妹という事でしょうか」
気になって質問してしまった。
話題を切り替えるべきだったかもしれなかったが、好奇心に勝てなかった。
「いえ、父親違いになりますわ。お姉さまのお父様は戦争で戦死なされて……」
「……」
「後にその方と親友だったお父様が、お母様と再婚しました」
「理解しました。立ち入った事をお聞きして申し訳ありません」
これは珍しい。
片方は貴族の種違いの姉妹か。
よく周りが許したものだ。
「どちらにせよ、私は死んだ父親の姓を名乗っています。ヘザー男爵様は私に良くしてくれますが、私はあくまでも平民」
「お姉さま……やはりその考えを生涯貫くのですね」
「ええ。イーモン殿、そういうわけで私はそのような存在として扱っていただきたい」
「は、はい」
……なんだかしんみりとした空気になった。
そして私はその話題に興味を失っていた。
大切なのは……フィオナが攻略対象かどうかということ。
「イーモン殿。私はヘンズリー家……亡き父の家を継いだし、婿も取りました。本当に貴族とは無関係の立場です。改めて、今後よろしく」
はい、残念な情報入手。
なぜかこのタイミングで握手を求められたので、応じた。
「ベアトリクス様。あなた様はいつまでも血の繋がりにこだわってはいけません。ヘザー男爵家の跡取りの自覚をお持ちください」
「……ですが、久しぶりに会ったときくらい……」
「……」
もう彼女たちの複雑な事情にほとんど興味が無くなった。
グラマーで美人でサバサバしたフィオナは既婚者。
貴族のベアトリクス様は手が届かない。
二人とも攻略対象ではない。
「馬車の番は私がします。お二人は宿で食事をなさってきては?」
こうなったら、一人でゆっくりするのが一番。
ベアトリクス様の相手は今までたっぷりしてきたわけだし。
あたかも今の話を聞いて気を効かしたような台詞を放った。
まるで姉妹水入らずの機会を演出したかのように……。
「そうですわね。イーモン、お願いします」
「ベアトリクス様、クルック伯爵様の使用人の方に、そんな役目を押し付けては……」
「いいのですよ。今は一時的とはいえ彼はお父様が雇っています。ね? イーモン。馬車の番、お願いしますわ」
「仰せのままに」
一通りの会話の後、ベアトリクス様は嬉しそうな顔でフィオナの腕にしがみつきながら貴族用の宿屋のほうに歩いていった。
……その横顔は、普段虚勢を張ってるいる彼女のものと違い、年相応に可愛らしかった。
†††††
繋ぎ場の馬は桶の飼い葉を一心不乱に食べている。
こういう宿場町では、預かった馬の面倒を見る仕事をする者が必ずいるから、私は馬の世話をする必要はない。
この辺は治安が良い。
本当なら鍵をかけた馬車の番も必要なさそうだが……。
一応貴族用の馬車は責任者ということで一人監視を付ける決まりだ。
そうしないと、宿場町側が何かあったときに責任が取れないからだ。
「さて、寝るかな」
私は真面目にヘザー男爵家所有の馬車の番をする気はない。
監視小屋で寝転ぶ。
ここは暖炉もあるし簡易的な厨房もある、快適そうだ。
もっとも、この季節におそらく暖炉は使わないが……とにかく一晩すごすのに問題のない環境だ。
「あれ? イーモンか?」
「ん?」
木のベッドと粗末な毛布に身を包んで夢の世界に入ろうとしたとき、隣のベッドに寝転んでいた男に声をかけられた。
「その声は……トレイシーか」
「おうよ、親友。久しぶりだな」
驚いた。
悪友のトレイシー・ロブソンだ。
執事を育成する学校でよく連んでいた奴だ。
「奇遇だな。お前も主人のお供か?」
上体を起こす。
視界にはガッチリした体格の黒髪の鼻の高い青年が映る。
思いがけない再会だ。
いろいろ世間話でもしたい。
「ああ、俺の主人のご家族は今ここの娼婦の一人にぞっこんでな」
「え? デッカー男爵様のご子息が? 確かまだ十四だろう?」
「違う違う、引退したデッカー男爵のお父君のほうだ」
「ああ……」
年老いた貴族が、暇を持て余して娼婦を買いに地方へ旅をする。
よくある話だ。
久しぶりに会った事もあり、そのまま話が盛り上がる。
「まったくなあ。大旦那様の嘘に合わせて俺も嘘をつかなきゃならないんだよ」
「どういう事だ?」
「今は大旦那様はここから遥か遠くの狩り場に猟をしに行くと、大奥様に嘘をついている」
「ところが、この町で数日盛ってると?」
「その通り」
なんとなく吹き出した。
こいつもいろいろ大変らしい。
「そうだトレイシー。いいのやるよ」
今の彼の境遇を聞いて、旅行カバンの中にある物を詰めたのを思い出した。
枕元に置いておいたそれを手にする。
「なんだよ? お、いい香りだな」
「ああ、トゥルンペリーの実だ」
「へえ、それが南の地にしか生えないって言われてる……初めて見た」
ケイト様の大好物を見せた。
実は私もけっこう好きだから旅の途中食べようと思って持ってきておいたのだ。
「ありがたくいただくぜ。前からこの実はどんな味か気になってたんだ」
トレイシーは私の手からトゥルンペリーの実を受け取ると、そのまま皮ごと囓ろうとした。
慌てて止める。
「待て待て! お前が食ってどうする?」
「え?」
「お前の大旦那様のアリバイに使うんだよ」
「あ、そうか。これがはるか南に行ってきた証拠になるのか」
「ああ。それ、例のクルック伯爵の大好物でな。私の務める館に南の行商人が常に持ち込むんだよ。それは二日ほど前に木からもいだもののはずだ」
「なるほど。そのアイデア、使わせてもらうぜ。明日、この実を大奥様に見せよう」
トレイシーはニヤリと笑い、礼を言った。
「その代わり、私のほうの馬車も見といてくれよ。寝る」
「仰せのままに」
トレイシーは執事のポーズを私に向ける。
また吹き出しそうになるが、とにかく疲れた。
一眠りするとした。
食事はそれからでいいと思った。
ウトウトし始めたその時、特徴のある足音が聞こえた気がした。
嫌な予感がして慌てて再び上体を起こし窓の外を見た。
監視小屋の扉のほうからノックの音が聞こえた。
「イーモン! ここにいますか?」
「べ、ベアトリクス様?」
心臓が握られたような錯覚を覚える。
その声は聞き慣れた少女のものだった。
何をしに来たんだ?
とにかく慌てて今まで馬車の監視をしていたような素振りを見せる。
「開けますわよ。よっと」
「え?」
ベアトリクス様は足で扉を開けて監視小屋に入ってきた。
その両手にはお盆を二つ持っている。
「……」
本当に何しに来たんだ?
商人や旅人が年中利用するので、それなりに栄えている。
こういう場所は一般用の宿や店と共に、貴族用の宿泊施設と……娼婦を買える宿が混在している。
もちろん後者は裏通りに隔離されてるわけで一般人はその存在を視界に入れる事はない。
†††††
ベアトリクス様との会話の途中、突然話しかけられる。
「イーモン殿、私の存在が気になるのか」
「え? あ、いや」
「お姉さま」
フィオナだ。
彼女の話をしていた手前、少し気まずくなる。
しかし、この短時間で馬を繋ぎ場につないで、馬車に輪留めをしてきたようだ。
仕事が早い。
「とにかく、フィオナお姉さまはお姉さまですわ」
ベアトリクス様は本人の前で私にそう説明する。
それを聞いたフィオナはため息をつく。
「いけまけんよ、ベアトリクス様。あなた様と私は戸籍上関係はございません」
「……」
「何度も言うように、私の事は呼び捨てにして他の使用人と同じように接していただかないと」
これは……貴族にありがちな本妻の子と妾の子と言ったところか?
「えっと。それは腹違いの姉妹という事でしょうか」
気になって質問してしまった。
話題を切り替えるべきだったかもしれなかったが、好奇心に勝てなかった。
「いえ、父親違いになりますわ。お姉さまのお父様は戦争で戦死なされて……」
「……」
「後にその方と親友だったお父様が、お母様と再婚しました」
「理解しました。立ち入った事をお聞きして申し訳ありません」
これは珍しい。
片方は貴族の種違いの姉妹か。
よく周りが許したものだ。
「どちらにせよ、私は死んだ父親の姓を名乗っています。ヘザー男爵様は私に良くしてくれますが、私はあくまでも平民」
「お姉さま……やはりその考えを生涯貫くのですね」
「ええ。イーモン殿、そういうわけで私はそのような存在として扱っていただきたい」
「は、はい」
……なんだかしんみりとした空気になった。
そして私はその話題に興味を失っていた。
大切なのは……フィオナが攻略対象かどうかということ。
「イーモン殿。私はヘンズリー家……亡き父の家を継いだし、婿も取りました。本当に貴族とは無関係の立場です。改めて、今後よろしく」
はい、残念な情報入手。
なぜかこのタイミングで握手を求められたので、応じた。
「ベアトリクス様。あなた様はいつまでも血の繋がりにこだわってはいけません。ヘザー男爵家の跡取りの自覚をお持ちください」
「……ですが、久しぶりに会ったときくらい……」
「……」
もう彼女たちの複雑な事情にほとんど興味が無くなった。
グラマーで美人でサバサバしたフィオナは既婚者。
貴族のベアトリクス様は手が届かない。
二人とも攻略対象ではない。
「馬車の番は私がします。お二人は宿で食事をなさってきては?」
こうなったら、一人でゆっくりするのが一番。
ベアトリクス様の相手は今までたっぷりしてきたわけだし。
あたかも今の話を聞いて気を効かしたような台詞を放った。
まるで姉妹水入らずの機会を演出したかのように……。
「そうですわね。イーモン、お願いします」
「ベアトリクス様、クルック伯爵様の使用人の方に、そんな役目を押し付けては……」
「いいのですよ。今は一時的とはいえ彼はお父様が雇っています。ね? イーモン。馬車の番、お願いしますわ」
「仰せのままに」
一通りの会話の後、ベアトリクス様は嬉しそうな顔でフィオナの腕にしがみつきながら貴族用の宿屋のほうに歩いていった。
……その横顔は、普段虚勢を張ってるいる彼女のものと違い、年相応に可愛らしかった。
†††††
繋ぎ場の馬は桶の飼い葉を一心不乱に食べている。
こういう宿場町では、預かった馬の面倒を見る仕事をする者が必ずいるから、私は馬の世話をする必要はない。
この辺は治安が良い。
本当なら鍵をかけた馬車の番も必要なさそうだが……。
一応貴族用の馬車は責任者ということで一人監視を付ける決まりだ。
そうしないと、宿場町側が何かあったときに責任が取れないからだ。
「さて、寝るかな」
私は真面目にヘザー男爵家所有の馬車の番をする気はない。
監視小屋で寝転ぶ。
ここは暖炉もあるし簡易的な厨房もある、快適そうだ。
もっとも、この季節におそらく暖炉は使わないが……とにかく一晩すごすのに問題のない環境だ。
「あれ? イーモンか?」
「ん?」
木のベッドと粗末な毛布に身を包んで夢の世界に入ろうとしたとき、隣のベッドに寝転んでいた男に声をかけられた。
「その声は……トレイシーか」
「おうよ、親友。久しぶりだな」
驚いた。
悪友のトレイシー・ロブソンだ。
執事を育成する学校でよく連んでいた奴だ。
「奇遇だな。お前も主人のお供か?」
上体を起こす。
視界にはガッチリした体格の黒髪の鼻の高い青年が映る。
思いがけない再会だ。
いろいろ世間話でもしたい。
「ああ、俺の主人のご家族は今ここの娼婦の一人にぞっこんでな」
「え? デッカー男爵様のご子息が? 確かまだ十四だろう?」
「違う違う、引退したデッカー男爵のお父君のほうだ」
「ああ……」
年老いた貴族が、暇を持て余して娼婦を買いに地方へ旅をする。
よくある話だ。
久しぶりに会った事もあり、そのまま話が盛り上がる。
「まったくなあ。大旦那様の嘘に合わせて俺も嘘をつかなきゃならないんだよ」
「どういう事だ?」
「今は大旦那様はここから遥か遠くの狩り場に猟をしに行くと、大奥様に嘘をついている」
「ところが、この町で数日盛ってると?」
「その通り」
なんとなく吹き出した。
こいつもいろいろ大変らしい。
「そうだトレイシー。いいのやるよ」
今の彼の境遇を聞いて、旅行カバンの中にある物を詰めたのを思い出した。
枕元に置いておいたそれを手にする。
「なんだよ? お、いい香りだな」
「ああ、トゥルンペリーの実だ」
「へえ、それが南の地にしか生えないって言われてる……初めて見た」
ケイト様の大好物を見せた。
実は私もけっこう好きだから旅の途中食べようと思って持ってきておいたのだ。
「ありがたくいただくぜ。前からこの実はどんな味か気になってたんだ」
トレイシーは私の手からトゥルンペリーの実を受け取ると、そのまま皮ごと囓ろうとした。
慌てて止める。
「待て待て! お前が食ってどうする?」
「え?」
「お前の大旦那様のアリバイに使うんだよ」
「あ、そうか。これがはるか南に行ってきた証拠になるのか」
「ああ。それ、例のクルック伯爵の大好物でな。私の務める館に南の行商人が常に持ち込むんだよ。それは二日ほど前に木からもいだもののはずだ」
「なるほど。そのアイデア、使わせてもらうぜ。明日、この実を大奥様に見せよう」
トレイシーはニヤリと笑い、礼を言った。
「その代わり、私のほうの馬車も見といてくれよ。寝る」
「仰せのままに」
トレイシーは執事のポーズを私に向ける。
また吹き出しそうになるが、とにかく疲れた。
一眠りするとした。
食事はそれからでいいと思った。
ウトウトし始めたその時、特徴のある足音が聞こえた気がした。
嫌な予感がして慌てて再び上体を起こし窓の外を見た。
監視小屋の扉のほうからノックの音が聞こえた。
「イーモン! ここにいますか?」
「べ、ベアトリクス様?」
心臓が握られたような錯覚を覚える。
その声は聞き慣れた少女のものだった。
何をしに来たんだ?
とにかく慌てて今まで馬車の監視をしていたような素振りを見せる。
「開けますわよ。よっと」
「え?」
ベアトリクス様は足で扉を開けて監視小屋に入ってきた。
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「……」
本当に何しに来たんだ?
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