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悪役令嬢との恋
2話 女執事と再会
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怪人襲撃の際、ベアトリクス様を罵声した事を思い出した。
大人のフィオナはそんな事で目くじらを立てないだろうが、ステレオタイプの貴族の少女というのはそういうのに過剰に反応する気がする。
要するに、これから会うヘザー家の方々やベアトリクス様がどういう反応を示すかまったく予測がつかない。
「……はぁ」
トボトボと歩きながらため息をつく。
顔を上げて前方を見上げた。
ここは貴族街。
似たような豪邸が所狭しと並び、飯屋や酒場の匂いが漂って来ない特別な場所。
石造りの通路や装飾された水路や噴水、町そのものが芸術のような空間。
王都育ちの私でも、あまり立ち寄った事がない場所だ。
元クルック家の執事とはいえ、私はあくまで地方の別荘に勤めていた者。
この辺に最後に来たのは、学生時代の研修以来だ。
「まいったな。ここ、どこだ?」
迷った。
地図を見てもヘザー男爵家の位置がわからない。
王都の規定でこの辺の家屋は色調を回りに合わせる事になっている。
それは丘の上の宮殿から見ると壮観な街並みに見えるかららしい。
逆を言えばみんな似たような外観になる。
看板などもちろん出ていない。
上流貴族の元クルック家の本館は宮殿の近くだからすぐわかるのだが……。
「え? イーモン!?」
「ん?」
後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこには執事服を着こなした細身の女性がいた。
赤毛でオールバックのソバカスが少し目立つ……ショーナか。
昨日の朝宿場町で本と櫛を交換したショーナがいた。
「やあ、ショーナ。旅行中だったんじゃないのか」
ボソボソと挨拶をした。
声が張らない。
自分で思ったより、気が滅入っているのか。
「昨日は長期休暇の終わりだったの。宿場町に預けてた本を売りがてらのんびりしてたわけ」
「ああ、なるほど」
「それより浮かない顔ね。今や王都でちょっとしたヒーローになってるあなたがどうしたの?」
「実はな……」
まだ時間がある。
とりあえず貴族街の公園の石造りのベンチに座ってショーナと話す事にした。
†††††
ショーナはタバコに火を付けふかし始める。
女物特有の軽い煙と匂いが辺りに広がる。
そういえばこいつ、未成年の頃から喫煙者だった。
「ヘザー男爵家の位置わかるわよ」
「本当か?」
「ええ、ここから東の通りの石橋から北に向かって三件目」
「情報、感謝する」
素直に礼を述べた。
これで召集の時間に遅刻するという最悪の事態だけは避けられそうだ。
「それで? そんな顔して何があったの? 新聞に載ってた事柄とは関係なそうね」
「いや、その件に関わるんだ。怪人襲撃の際にな、仕方なくヘザー男爵家のご息女を罵倒した」
「……ああ」
「ベアトリクス様、その時は怪人の前でモタモタしててな」
そこまで言うと、複雑な表情を返された。
「それは楽観的な事は言えないなあ」
「だよな」
「ええ、ヘザー男爵家のご息女……ベアトリクス様だっけ? たしか十六よね? 多感な時期ね」
「ベアトリクス様を知ってるのか?」
「そりゃ、貴族街ではけっこう有名な方だし」
「……へえ」
ベアトリクス様、有名なのか。
……何かやらかしてるんだろうか。
「ベアトリクス・バレリー・ヘザー様か。容姿端麗、品行方正、性格も良く、この王国の貴族の模範とされてる少女ね」
「え!?」
「だからこそ、罵倒されるなんて慣れてないはず。今頃ふさぎ込んでるかも」
「……?」
誰か別の人物の話ではないだろうか?
ベアトリクス様が性格が良い?
ふさぎ込む?
殴られてもピンピンしてて、翌日から殴った相手に嫌がらせで仕返しするような方が?
「大変ね、あなたも」
「……ああ」
「怪人を追い払ったんだから、解雇とか懲罰なんて無いとは思うけど」
「そ、そうかな?」
「そりゃそうよ。一躍有名になって、実質的にクルック家の使用人のあなたをね、ヘザー家が解雇なんて世間体が悪いでしょ?」
「あ、なるほど」
「でも今後ベアトリクス様とギクシャクすることは大いにあり得るでしょうね」
「ああ」
何だろう。
なぜかあまりギクシャクするイメージがわかない。
そう、仲が良くなるにしろ悪くなるにしろ……。
「すまんなショーナ」
なんとなく謝っていた。
ある思いから、ほとんど無意識に出た言葉だ。
「……? 何の話?」
「昨日の朝、お前が怪人に気をつけろって忠告してくれた件」
「ああ。それがどうかした?」
「……実はな、まったく信じてなかった」
「……あ、そう」
キョトンとした顔を返された。
「まあ、あの時点ではそうでしょうね。でもてっきり、あなたの頭の中に怪人の襲撃の件の予測が入っていたからこその成果かと思ってた」
「だったら腰は抜かさん」
「ふーん」
ショーナは公園に備え付けの灰皿にタバコの先端を押し付ける。
「ま、上手くやりなさいよ。私たちはけっこう割の良い仕事に就けてるんだし」
「ああ、簡単に手放ないようにしないとな」
「ええ。じゃあ、私はこれで」
「ああ」
ショーナに再度礼を言い、私も立ち上がる。
えっと、ヘザー家の本館はここから東の通りだったか。
†††††
この辺は植物が少ない。
貴族街にあるのは基本的に植木鉢のもののみ。
地面は基本的に石畳だ。
「……」
王宮の近くのこの辺は、貴族たちがいかに自分の財力を示せるかの展示場のようなもの。
限られた土地に似たような館を立てて、初めて貴族の仲間入りというわけだ。
そういう意味では貴族たちにとってはこちらが別館かもしれない。
王都近くでは悪さもできないから昨日会ったスケベ爺は窮屈さを感じてよく旅に出るのかも。
「ここか」
ヘザー家の紋章がある館を見つけた。
召集の時間は午後三時で、今は二十分前。
もう入るとするか。
正面玄関ではなく、使用人が出入りする裏口に向かう。
「……」
この貴族街に馬は一頭もいない。
馬小屋がない貴族の館というのも違和感がある。
改めてヘザー家本館を眺めた。
豪華だが、意外に小さい。
尖った屋根や装飾付きの窓などのデザインのそれは、コンセプトは王宮の延長と聞いている。
貴族たちは限られた土地にそれをひしめき合わせているわけだ。
「……イーモン・ケアードです。執事長はおられるか?」
大声をあげ、裏口のベルを鳴らした。
元主人のクルック家の使用人ならいざ知らず、新しい主のヘザー家の本館の使用人に知り合いはいない。
さて、どんな面子が出てくることやら。
大人のフィオナはそんな事で目くじらを立てないだろうが、ステレオタイプの貴族の少女というのはそういうのに過剰に反応する気がする。
要するに、これから会うヘザー家の方々やベアトリクス様がどういう反応を示すかまったく予測がつかない。
「……はぁ」
トボトボと歩きながらため息をつく。
顔を上げて前方を見上げた。
ここは貴族街。
似たような豪邸が所狭しと並び、飯屋や酒場の匂いが漂って来ない特別な場所。
石造りの通路や装飾された水路や噴水、町そのものが芸術のような空間。
王都育ちの私でも、あまり立ち寄った事がない場所だ。
元クルック家の執事とはいえ、私はあくまで地方の別荘に勤めていた者。
この辺に最後に来たのは、学生時代の研修以来だ。
「まいったな。ここ、どこだ?」
迷った。
地図を見てもヘザー男爵家の位置がわからない。
王都の規定でこの辺の家屋は色調を回りに合わせる事になっている。
それは丘の上の宮殿から見ると壮観な街並みに見えるかららしい。
逆を言えばみんな似たような外観になる。
看板などもちろん出ていない。
上流貴族の元クルック家の本館は宮殿の近くだからすぐわかるのだが……。
「え? イーモン!?」
「ん?」
後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこには執事服を着こなした細身の女性がいた。
赤毛でオールバックのソバカスが少し目立つ……ショーナか。
昨日の朝宿場町で本と櫛を交換したショーナがいた。
「やあ、ショーナ。旅行中だったんじゃないのか」
ボソボソと挨拶をした。
声が張らない。
自分で思ったより、気が滅入っているのか。
「昨日は長期休暇の終わりだったの。宿場町に預けてた本を売りがてらのんびりしてたわけ」
「ああ、なるほど」
「それより浮かない顔ね。今や王都でちょっとしたヒーローになってるあなたがどうしたの?」
「実はな……」
まだ時間がある。
とりあえず貴族街の公園の石造りのベンチに座ってショーナと話す事にした。
†††††
ショーナはタバコに火を付けふかし始める。
女物特有の軽い煙と匂いが辺りに広がる。
そういえばこいつ、未成年の頃から喫煙者だった。
「ヘザー男爵家の位置わかるわよ」
「本当か?」
「ええ、ここから東の通りの石橋から北に向かって三件目」
「情報、感謝する」
素直に礼を述べた。
これで召集の時間に遅刻するという最悪の事態だけは避けられそうだ。
「それで? そんな顔して何があったの? 新聞に載ってた事柄とは関係なそうね」
「いや、その件に関わるんだ。怪人襲撃の際にな、仕方なくヘザー男爵家のご息女を罵倒した」
「……ああ」
「ベアトリクス様、その時は怪人の前でモタモタしててな」
そこまで言うと、複雑な表情を返された。
「それは楽観的な事は言えないなあ」
「だよな」
「ええ、ヘザー男爵家のご息女……ベアトリクス様だっけ? たしか十六よね? 多感な時期ね」
「ベアトリクス様を知ってるのか?」
「そりゃ、貴族街ではけっこう有名な方だし」
「……へえ」
ベアトリクス様、有名なのか。
……何かやらかしてるんだろうか。
「ベアトリクス・バレリー・ヘザー様か。容姿端麗、品行方正、性格も良く、この王国の貴族の模範とされてる少女ね」
「え!?」
「だからこそ、罵倒されるなんて慣れてないはず。今頃ふさぎ込んでるかも」
「……?」
誰か別の人物の話ではないだろうか?
ベアトリクス様が性格が良い?
ふさぎ込む?
殴られてもピンピンしてて、翌日から殴った相手に嫌がらせで仕返しするような方が?
「大変ね、あなたも」
「……ああ」
「怪人を追い払ったんだから、解雇とか懲罰なんて無いとは思うけど」
「そ、そうかな?」
「そりゃそうよ。一躍有名になって、実質的にクルック家の使用人のあなたをね、ヘザー家が解雇なんて世間体が悪いでしょ?」
「あ、なるほど」
「でも今後ベアトリクス様とギクシャクすることは大いにあり得るでしょうね」
「ああ」
何だろう。
なぜかあまりギクシャクするイメージがわかない。
そう、仲が良くなるにしろ悪くなるにしろ……。
「すまんなショーナ」
なんとなく謝っていた。
ある思いから、ほとんど無意識に出た言葉だ。
「……? 何の話?」
「昨日の朝、お前が怪人に気をつけろって忠告してくれた件」
「ああ。それがどうかした?」
「……実はな、まったく信じてなかった」
「……あ、そう」
キョトンとした顔を返された。
「まあ、あの時点ではそうでしょうね。でもてっきり、あなたの頭の中に怪人の襲撃の件の予測が入っていたからこその成果かと思ってた」
「だったら腰は抜かさん」
「ふーん」
ショーナは公園に備え付けの灰皿にタバコの先端を押し付ける。
「ま、上手くやりなさいよ。私たちはけっこう割の良い仕事に就けてるんだし」
「ああ、簡単に手放ないようにしないとな」
「ええ。じゃあ、私はこれで」
「ああ」
ショーナに再度礼を言い、私も立ち上がる。
えっと、ヘザー家の本館はここから東の通りだったか。
†††††
この辺は植物が少ない。
貴族街にあるのは基本的に植木鉢のもののみ。
地面は基本的に石畳だ。
「……」
王宮の近くのこの辺は、貴族たちがいかに自分の財力を示せるかの展示場のようなもの。
限られた土地に似たような館を立てて、初めて貴族の仲間入りというわけだ。
そういう意味では貴族たちにとってはこちらが別館かもしれない。
王都近くでは悪さもできないから昨日会ったスケベ爺は窮屈さを感じてよく旅に出るのかも。
「ここか」
ヘザー家の紋章がある館を見つけた。
召集の時間は午後三時で、今は二十分前。
もう入るとするか。
正面玄関ではなく、使用人が出入りする裏口に向かう。
「……」
この貴族街に馬は一頭もいない。
馬小屋がない貴族の館というのも違和感がある。
改めてヘザー家本館を眺めた。
豪華だが、意外に小さい。
尖った屋根や装飾付きの窓などのデザインのそれは、コンセプトは王宮の延長と聞いている。
貴族たちは限られた土地にそれをひしめき合わせているわけだ。
「……イーモン・ケアードです。執事長はおられるか?」
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