48 / 69
元伯爵令嬢との逃避行
8話 形勢逆転
しおりを挟む
今は深夜だろうか?
時間の感覚がない。
どちらにせよ……何も急ぐ必要はない。
「……」
念の為ケイトから奪った装飾された銃と大型のナイフを握りしめる。
これさえ奪われなければ、目の前の存在は多少すばしっこい小柄な少女だ。
「どうぞ、着がえてきてください。ケイト様」
……無意識に敬語で敬称を付けていた。
「ふふ、どういう風の吹き回し? 繰り返すけど、私は犯罪者で騎士団に追われてる身なんだよ」
「……」
「とっくの昔にクルック家の爵位は剥奪されてるわけだしね」
「……」
「先ほどのあなたの言葉、いろいろ考えさせられました。確かに私は長年クルック家にお世話になったのも事実。最後くらいはあなたに敬意を払いましょう」
執事服でもないが、執事のつもりで声をかける。
……単なる自己満足かもしれない。
それでもこの行動と態度がふさわしい気がした。
「あ、そう。ついでにチャーリーみたいに私についてくれるとありがたいんだけど?」
「……」
いや、調子に乗りすぎだろう。
その問いかけは無視した。
「はあ、だめか。せめて最後は伯爵令嬢気分で騎士団に投降しようかな」
ケイトはスルスル袋から何かを取り出す。
その手には、薄手のドレスとシンプルかつ気品あふれる靴が持たれていた。
「……」
思い返すと、目の前の少女がドレスを着ている場面を見たことがない。
二年前に初めて会ってから彼女はいつも狩りに適した衣装しか着ていなかった。
そしてクルック家の事情で平民になってからはメイド服。
息を飲んでしまう。
この奇跡のバランスの顔立ちと体系をした少女が……貴族のドレスを着ている姿。
それを最後に見る事ができたなら。
「体を拭く布はあるのですか?」
「無いけど……今着てる肌着で拭くからいいや。綺麗な水もトイレの中で出せるし」
「さようですか。ランタンはいかがなされます?」
「あなたが持っててよ。トイレの中のランタンは火を付けっぱなしにしてるの」
……いつの間にか。
本当にいつの間にか。
目の前の殺人犯に対する嫌悪感や恐怖が無くなっていた。
今腕に持っているドレスを着た姿がみたい。
最後は騎士団の元に私がこの手でエスコートしたい。
奇妙な独占欲のような使命感のようなものが心に芽生えている。
それはまるで、繊細な芸術作品を美術館に納品するかのような感覚。
「じゃあ、ドレスに着がえてくるね」
「はい」
ケイトが岩壁をくりぬかれて造られたトイレに消えていく。
私はなんの疑いもなく、それを見送っていた。
「チャーリー……あいつ」
私はかつての友人の名を口にしていた。
彼もこんな気分でここ最近ケイトに協力していたのかもしれない。
†††††
遅い。
あれからかれこれ一時間は経っている。
「ケイト様は何をやっているんだ?」
つぶやいてしまう。
女の身支度が時間がかかるのはわかっているが……いくらなんでも遅すぎる。
焦り始めている。
無意識に銃とナイフを強く握りしめる。
「なぜ私は……ケイトが個室に入るのを許した?」
自分自身による問いかけた。
頭の中がグルグルする。
そして一つの答えが浮かび上がる。
「感情を……コントロールされた?」
血の気が引く。
ケイトは……何度か私とベアトリクス様が似たような性格だと口にしていた。
それをもし、私の考え方に当てはめたら?
「私がかけて欲しい言葉。そして私が聞きたくない言葉……感情がぶれるほどの」
独り言が止まらない。
そうだ。
考えたこともなかった。
私は他人の感情をコントロールするために、相手のかけて欲しい言葉を重ね、禁句を避けるコミュニケーションを他者としてきた。
しかし、私自身の投げかけられて心地よい言葉と禁句とは?
「私が本当にベアトリクス様と似た性格なら……かけて欲しい言葉は……自分で得た能力を賞賛されること?」
ベアトリクス様の事を思い出す。
彼女は家柄もその美貌も賞賛されてもあまり喜ばない。
先天的な資質よりも、後天的な努力で得た能力や、何かによる打ち込んでいる事そのものを指摘されると喜ぶ。
例えその能力が大したことがなくで、打ち込んだものに結果が反映されてなくてもだ。
「私は……さっき……摸写の精度をケイトに賞賛された……まさか」
先ほどまで繊細で神々しかったケイトのイメージが、暗く冷たく妖しいものに変わる。
私は自分の意思でクルック家への恩義を思い出した気がしていた。
しかし、本当はケイトに心を操られたとしたら?
「まずい!」
もう声をかける気はなかった。
敬意を払う気もなかった。
例え今現在、ケイトが裸でも構わない。
今すぐ拘束をし直さなければ。
「……」
ケイトが消えた場所に走る。
そして……驚く。
「こ、これは! ヘザー家の地下室と同じ!」
そこには、粗雑にくり抜かれた岩壁の穴……扉は無かった。
長い奥行きのある空間が扉の役割を果たす古い施設。
貴族街にある図書館の入り口も、ヘザー家の入り口も、書店の入り口もみんなそうだ。
……いやな予感がする。
私はランタンを掲げながら、小走りで奥へ移動する。
先が明るい。
ケイトの言った通りだった。
この地下空間のトイレのランタンは付けっぱなしにしてたらしい。
いや、そんな事はどうでもいい。
「……」
最悪の事態のイメージが頭に浮かぶ。
本日何度目だろう?
冷や汗が止まらない。
「……!?」
行き止まりまで来た。
そこにはヘザー家の地下にあるような、原始的かつ簡易的な仕組みの水洗トイレと水道が。
そして……そこには誰もいなかった。
†††††
「ケイト! どこに行った!」
叫んでも無駄なのはわかっていたが、叫ぶ。
その声はむなしく反響するだけ。
「そうだ! まずは地上に!」
なぜここに誰もいないかはわからない。
しかしやるべき事が頭に浮かんだ。
私自身が地上に出てしまえばいい。
そして騎士団に通報するなり、ベアトリクス様に危険を伝えるなり、行動すればいい。
そう思って踵を返した。
まずはこの地下空間の出口を探さなければ……。
「……!」
しかし、絶望的なものが視界に入る。
「ランタンの……光?」
私が来た方向から……オレンジ色の光が見えてきた。
つまり、背後を取られこの先は行き止まり。
コツンコツンと小気味良い足音が響いてくるのも確認できた。
誰か……来る。
「形勢逆転だねイーモン」
突如現れたランタンの光に照らされたその者は……ゾッとするほど美しかった。
薄手のドレスにハイヒール姿の華奢で小柄な少女。
その手には、私が持っているのと同じ柄の装飾された銃が握られていた。
「ケ、ケイトォォォ!」
「静かにして、後はその銃を地面に置いて両手をあげて」
冷たい口調で命令された。
「銃の打ち合いなら、私にかなわないでしょ?」
「……」
確かにそうだ。
目の前の少女は射撃大会で十一位を取るような存在。
そして……おそらく人を殺すのにためらいがない。
そんな殺人鬼。
時間の感覚がない。
どちらにせよ……何も急ぐ必要はない。
「……」
念の為ケイトから奪った装飾された銃と大型のナイフを握りしめる。
これさえ奪われなければ、目の前の存在は多少すばしっこい小柄な少女だ。
「どうぞ、着がえてきてください。ケイト様」
……無意識に敬語で敬称を付けていた。
「ふふ、どういう風の吹き回し? 繰り返すけど、私は犯罪者で騎士団に追われてる身なんだよ」
「……」
「とっくの昔にクルック家の爵位は剥奪されてるわけだしね」
「……」
「先ほどのあなたの言葉、いろいろ考えさせられました。確かに私は長年クルック家にお世話になったのも事実。最後くらいはあなたに敬意を払いましょう」
執事服でもないが、執事のつもりで声をかける。
……単なる自己満足かもしれない。
それでもこの行動と態度がふさわしい気がした。
「あ、そう。ついでにチャーリーみたいに私についてくれるとありがたいんだけど?」
「……」
いや、調子に乗りすぎだろう。
その問いかけは無視した。
「はあ、だめか。せめて最後は伯爵令嬢気分で騎士団に投降しようかな」
ケイトはスルスル袋から何かを取り出す。
その手には、薄手のドレスとシンプルかつ気品あふれる靴が持たれていた。
「……」
思い返すと、目の前の少女がドレスを着ている場面を見たことがない。
二年前に初めて会ってから彼女はいつも狩りに適した衣装しか着ていなかった。
そしてクルック家の事情で平民になってからはメイド服。
息を飲んでしまう。
この奇跡のバランスの顔立ちと体系をした少女が……貴族のドレスを着ている姿。
それを最後に見る事ができたなら。
「体を拭く布はあるのですか?」
「無いけど……今着てる肌着で拭くからいいや。綺麗な水もトイレの中で出せるし」
「さようですか。ランタンはいかがなされます?」
「あなたが持っててよ。トイレの中のランタンは火を付けっぱなしにしてるの」
……いつの間にか。
本当にいつの間にか。
目の前の殺人犯に対する嫌悪感や恐怖が無くなっていた。
今腕に持っているドレスを着た姿がみたい。
最後は騎士団の元に私がこの手でエスコートしたい。
奇妙な独占欲のような使命感のようなものが心に芽生えている。
それはまるで、繊細な芸術作品を美術館に納品するかのような感覚。
「じゃあ、ドレスに着がえてくるね」
「はい」
ケイトが岩壁をくりぬかれて造られたトイレに消えていく。
私はなんの疑いもなく、それを見送っていた。
「チャーリー……あいつ」
私はかつての友人の名を口にしていた。
彼もこんな気分でここ最近ケイトに協力していたのかもしれない。
†††††
遅い。
あれからかれこれ一時間は経っている。
「ケイト様は何をやっているんだ?」
つぶやいてしまう。
女の身支度が時間がかかるのはわかっているが……いくらなんでも遅すぎる。
焦り始めている。
無意識に銃とナイフを強く握りしめる。
「なぜ私は……ケイトが個室に入るのを許した?」
自分自身による問いかけた。
頭の中がグルグルする。
そして一つの答えが浮かび上がる。
「感情を……コントロールされた?」
血の気が引く。
ケイトは……何度か私とベアトリクス様が似たような性格だと口にしていた。
それをもし、私の考え方に当てはめたら?
「私がかけて欲しい言葉。そして私が聞きたくない言葉……感情がぶれるほどの」
独り言が止まらない。
そうだ。
考えたこともなかった。
私は他人の感情をコントロールするために、相手のかけて欲しい言葉を重ね、禁句を避けるコミュニケーションを他者としてきた。
しかし、私自身の投げかけられて心地よい言葉と禁句とは?
「私が本当にベアトリクス様と似た性格なら……かけて欲しい言葉は……自分で得た能力を賞賛されること?」
ベアトリクス様の事を思い出す。
彼女は家柄もその美貌も賞賛されてもあまり喜ばない。
先天的な資質よりも、後天的な努力で得た能力や、何かによる打ち込んでいる事そのものを指摘されると喜ぶ。
例えその能力が大したことがなくで、打ち込んだものに結果が反映されてなくてもだ。
「私は……さっき……摸写の精度をケイトに賞賛された……まさか」
先ほどまで繊細で神々しかったケイトのイメージが、暗く冷たく妖しいものに変わる。
私は自分の意思でクルック家への恩義を思い出した気がしていた。
しかし、本当はケイトに心を操られたとしたら?
「まずい!」
もう声をかける気はなかった。
敬意を払う気もなかった。
例え今現在、ケイトが裸でも構わない。
今すぐ拘束をし直さなければ。
「……」
ケイトが消えた場所に走る。
そして……驚く。
「こ、これは! ヘザー家の地下室と同じ!」
そこには、粗雑にくり抜かれた岩壁の穴……扉は無かった。
長い奥行きのある空間が扉の役割を果たす古い施設。
貴族街にある図書館の入り口も、ヘザー家の入り口も、書店の入り口もみんなそうだ。
……いやな予感がする。
私はランタンを掲げながら、小走りで奥へ移動する。
先が明るい。
ケイトの言った通りだった。
この地下空間のトイレのランタンは付けっぱなしにしてたらしい。
いや、そんな事はどうでもいい。
「……」
最悪の事態のイメージが頭に浮かぶ。
本日何度目だろう?
冷や汗が止まらない。
「……!?」
行き止まりまで来た。
そこにはヘザー家の地下にあるような、原始的かつ簡易的な仕組みの水洗トイレと水道が。
そして……そこには誰もいなかった。
†††††
「ケイト! どこに行った!」
叫んでも無駄なのはわかっていたが、叫ぶ。
その声はむなしく反響するだけ。
「そうだ! まずは地上に!」
なぜここに誰もいないかはわからない。
しかしやるべき事が頭に浮かんだ。
私自身が地上に出てしまえばいい。
そして騎士団に通報するなり、ベアトリクス様に危険を伝えるなり、行動すればいい。
そう思って踵を返した。
まずはこの地下空間の出口を探さなければ……。
「……!」
しかし、絶望的なものが視界に入る。
「ランタンの……光?」
私が来た方向から……オレンジ色の光が見えてきた。
つまり、背後を取られこの先は行き止まり。
コツンコツンと小気味良い足音が響いてくるのも確認できた。
誰か……来る。
「形勢逆転だねイーモン」
突如現れたランタンの光に照らされたその者は……ゾッとするほど美しかった。
薄手のドレスにハイヒール姿の華奢で小柄な少女。
その手には、私が持っているのと同じ柄の装飾された銃が握られていた。
「ケ、ケイトォォォ!」
「静かにして、後はその銃を地面に置いて両手をあげて」
冷たい口調で命令された。
「銃の打ち合いなら、私にかなわないでしょ?」
「……」
確かにそうだ。
目の前の少女は射撃大会で十一位を取るような存在。
そして……おそらく人を殺すのにためらいがない。
そんな殺人鬼。
0
あなたにおすすめの小説
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
悪役令嬢は間違えない
スノウ
恋愛
王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。
その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。
処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。
処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。
しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。
そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。
ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。
ジゼットは決意する。
次は絶対に間違えない。
処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。
そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。
────────────
毎日20時頃に投稿します。
お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる