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最終章 暴走する悪役令嬢を止める禁句とは
10話 古びた日記帳
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ブルーノが三つのランタンに火を灯す。
そして私とベアトリクス様に一つずつ手渡した。
「ベアトリクス様、兄貴」
「ん?」
「これ持ってくるときアレンに聞いたんだけどな、旦那様はあと数時間後にここに到着するそうだ」
ブルーノはそう語る。
「伝書鳩の連絡ですの?」
「そうです。アレンは鳩の扱いが上手い」
「ふーん。では急ぎましょう、お父様が来る前にある程度見切りをつけなければね」
「お、おい。ベアトリクス」
普通はこういう時に貴族の娘は使用人に様子を探らせるものだ。
しかし彼女は健康的な尻をこちらに向けて、四つんばいで絵画の下に現れた穴に潜っていく。
「何があるかわからないんだぞ。私が先に行く」
心配で声をかけたが、返ってきたのは好奇心を抑えられないような弾んだ声だった。
「心配いりませんわ。とりあえずは広い空間だし、足場もしっかりしてます」
「・・・・・・」
「二人とも早く」
ブルーノがチラリと私を見る。
「って事は俺も行っていいの?」
「行きたいのか?」
「当たり前。都会に住んでる兄貴と違ってさ、こんな所で暮らしてると刺激のない毎日なんだよ」
「はいはい」
私が生返事をした瞬間、ブルーノも四つんばいで穴に潜っていく。
不本意にも、私が一番安全なタイミングで穴に入る事になった。
「よっと」
足の怪我はとっくに治ってる。
しばらく穴を這うと、ベアトリクス様の言った通り広い空間に出た。
「やっと来ましたわね」
「おお、すげえ」
「私とイーモンには見慣れた空間です。ここ、王都貴族街の地下と同じような造りですね。壁に彫られた紋章とかも似てる」
確かに、ここは私たちが暮らすヘザー家の地下に似てる。
「・・・・・・」
なんとなく奥をランタンの光で照らした。
先はすぐに行き止まりの壁だった。
ここは亡きクルック夫人の部屋の壁の奥の空間。
つまり、その気になれば壁を壊せばたどり着ける場所。
おそらくこんな所にケイトの秘密はない。
「地下への階段ですか」
「ずいぶん急な角度だな」
「・・・・・・」
「拷問室、はおそらくこの下でしょうね」
ベアトリクス様がこちらを見た。
ランタンの薄暗い光でもわかる。
やはり彼女は雰囲気が変わった。
それは精神的に成長したなどというものではなく。
・・・・・・歪みかけてる。
そんな笑いを浮かべていた。
†††††
不安がよぎる。
ベアトリクス様の醸し出すこの空気。
なんなんだ。
「おりましょう。ケイトの生前の痕跡は本当にここにもあるかもしれません」
「ここにも?」
「・・・・・・!?」
言葉の使い方が少し気になった。
まるでここの他にも何かあるかのような。
「もう隠す必要もないですわね」
「・・・・・・?」
「移動しながら話します」
ベアトリクス様が喋りながら地下へ下りていく。
また先頭。
「実は似たような地下室を、ずっと前に私は見つけていました」
「え?」
「イーモン。夏に私がクルック家の狩猟小屋を燃やしたのを覚えていますか」
「あ、ああ」
言われて記憶を辿る。
「ベアトリクスがケイトとケンカをして・・・・・・あの時か」
「ああ、その事件は聞いた。狩猟小屋を燃やされてケイト様が怒ってベアトリクス様を殴ったって」
そんな事もあった。
少し懐かしい気持ちになって聞いていると・・・・・・。
冷や水をかけられるような一言を浴びせられる。
「あの狩猟小屋の地下にあったのは、おそらくケイト専用の拷問室ですわ」
「・・・・・・なっ!?」
「あの時、ケイトは私に拷問室が見られたと思ったから激昂した」
「秘密がバレたと思った?」
「ええ。まあ私はあの時燃やした狩猟小屋の中は見てないと嘘をついたわけですが・・・・・・本当はしっかり地下も探索してましたの」
「・・・・・・ゴホッ」
急に腐臭が鼻を刺激した。
埃対策で口元を覆っているのに、それでも臭ってくる激臭。
「ブルーノ。あなたは見ない方がいいかもしれませんわ。私は狩猟小屋の地下を見たときはね、しばらくお肉が食べられ・・・・・・」
「ひっ、ぐえええ」
「あーあ。言わんこっちゃない」
隣でビシャビシャと音がした。
ブルーノが呻きながら吐いている。
つまり、吐くほどの何かを見た。
おそらく、腐臭の元凶。
「・・・・・・」
私はおそるおそるランタンを掲げる。
そして階段の先の空間を照らし出す。
「こ、これは」
そこには・・・・・・。
裸の腐乱死体が横たわっていた。
おそらく男性。
そして部屋の至る所に、拷問器具らしきものが設置されてあった。
刃物がついた椅子。
縄がぶら下がる大きな車輪。
三角木馬。
どう使うのかも想像したくないような禍々しいもの。
「うっ」
私も吐きそうになる。
胃液が逆流して、ツンとした臭いが鼻をつく。
「この遺体。どなたかしら? 状態からすると最近死んだばかりのようですが」
一人だけ冷静なベアトリクス様が独り言のようにつぶやく。
今にも死にそうな表情のブルーノと顔を見合わせた。
確かに・・・・・・この遺体は誰のだ?
いや、誰がこの者を殺した?
ケイト、チャーリーはとっくの昔に死んでる。
クルック夫人にいたっては、半年以上前にこの上の部屋で首を括っている。
「・・・・・・」
しばらく沈黙が続く。
今にも腐臭漂うこの空間から逃げ出したいが、まだ謎が解けていない。
「これ多分日記帳・・・・・・ですね」
「・・・・・・!?」
いつの間にかベアトリクス様が何かの古びた本を手にしている。
「古代語で書かれてますわ、読めません。イーモンお願いします」
「あ、ああ」
吐き気をこらえながら、ベアトリクス様からそれを受け取った。
そこには・・・・・・貴族アーノルド・レイシャス・ゴメス、姦淫の罪の罰の記録。
そう書かれている。
「その字、読めませんが・・・・・・間違いなくケイトの字ですわ」
「・・・・・・!」
ベアトリクス様はケイトに固執して、生前は彼女に強く興味を持っていた。
なら、この日記帳はケイトが書いたものに間違いないのだろう。
「素晴らしい、素晴らしいわケイト。あなたの意志は私が継ぐから」
「・・・・・・はあ?」
感極まり独り言をつぶやくベアトリクス様。
それを見て眉をひそめるブルーノ。
今さらだがわかりかけてきた。
ベアトリクス様が、今現在目標にしているもの。
結局は、ひそかに憧れていたケイトの生き方のトレースだろう。
そして私とベアトリクス様に一つずつ手渡した。
「ベアトリクス様、兄貴」
「ん?」
「これ持ってくるときアレンに聞いたんだけどな、旦那様はあと数時間後にここに到着するそうだ」
ブルーノはそう語る。
「伝書鳩の連絡ですの?」
「そうです。アレンは鳩の扱いが上手い」
「ふーん。では急ぎましょう、お父様が来る前にある程度見切りをつけなければね」
「お、おい。ベアトリクス」
普通はこういう時に貴族の娘は使用人に様子を探らせるものだ。
しかし彼女は健康的な尻をこちらに向けて、四つんばいで絵画の下に現れた穴に潜っていく。
「何があるかわからないんだぞ。私が先に行く」
心配で声をかけたが、返ってきたのは好奇心を抑えられないような弾んだ声だった。
「心配いりませんわ。とりあえずは広い空間だし、足場もしっかりしてます」
「・・・・・・」
「二人とも早く」
ブルーノがチラリと私を見る。
「って事は俺も行っていいの?」
「行きたいのか?」
「当たり前。都会に住んでる兄貴と違ってさ、こんな所で暮らしてると刺激のない毎日なんだよ」
「はいはい」
私が生返事をした瞬間、ブルーノも四つんばいで穴に潜っていく。
不本意にも、私が一番安全なタイミングで穴に入る事になった。
「よっと」
足の怪我はとっくに治ってる。
しばらく穴を這うと、ベアトリクス様の言った通り広い空間に出た。
「やっと来ましたわね」
「おお、すげえ」
「私とイーモンには見慣れた空間です。ここ、王都貴族街の地下と同じような造りですね。壁に彫られた紋章とかも似てる」
確かに、ここは私たちが暮らすヘザー家の地下に似てる。
「・・・・・・」
なんとなく奥をランタンの光で照らした。
先はすぐに行き止まりの壁だった。
ここは亡きクルック夫人の部屋の壁の奥の空間。
つまり、その気になれば壁を壊せばたどり着ける場所。
おそらくこんな所にケイトの秘密はない。
「地下への階段ですか」
「ずいぶん急な角度だな」
「・・・・・・」
「拷問室、はおそらくこの下でしょうね」
ベアトリクス様がこちらを見た。
ランタンの薄暗い光でもわかる。
やはり彼女は雰囲気が変わった。
それは精神的に成長したなどというものではなく。
・・・・・・歪みかけてる。
そんな笑いを浮かべていた。
†††††
不安がよぎる。
ベアトリクス様の醸し出すこの空気。
なんなんだ。
「おりましょう。ケイトの生前の痕跡は本当にここにもあるかもしれません」
「ここにも?」
「・・・・・・!?」
言葉の使い方が少し気になった。
まるでここの他にも何かあるかのような。
「もう隠す必要もないですわね」
「・・・・・・?」
「移動しながら話します」
ベアトリクス様が喋りながら地下へ下りていく。
また先頭。
「実は似たような地下室を、ずっと前に私は見つけていました」
「え?」
「イーモン。夏に私がクルック家の狩猟小屋を燃やしたのを覚えていますか」
「あ、ああ」
言われて記憶を辿る。
「ベアトリクスがケイトとケンカをして・・・・・・あの時か」
「ああ、その事件は聞いた。狩猟小屋を燃やされてケイト様が怒ってベアトリクス様を殴ったって」
そんな事もあった。
少し懐かしい気持ちになって聞いていると・・・・・・。
冷や水をかけられるような一言を浴びせられる。
「あの狩猟小屋の地下にあったのは、おそらくケイト専用の拷問室ですわ」
「・・・・・・なっ!?」
「あの時、ケイトは私に拷問室が見られたと思ったから激昂した」
「秘密がバレたと思った?」
「ええ。まあ私はあの時燃やした狩猟小屋の中は見てないと嘘をついたわけですが・・・・・・本当はしっかり地下も探索してましたの」
「・・・・・・ゴホッ」
急に腐臭が鼻を刺激した。
埃対策で口元を覆っているのに、それでも臭ってくる激臭。
「ブルーノ。あなたは見ない方がいいかもしれませんわ。私は狩猟小屋の地下を見たときはね、しばらくお肉が食べられ・・・・・・」
「ひっ、ぐえええ」
「あーあ。言わんこっちゃない」
隣でビシャビシャと音がした。
ブルーノが呻きながら吐いている。
つまり、吐くほどの何かを見た。
おそらく、腐臭の元凶。
「・・・・・・」
私はおそるおそるランタンを掲げる。
そして階段の先の空間を照らし出す。
「こ、これは」
そこには・・・・・・。
裸の腐乱死体が横たわっていた。
おそらく男性。
そして部屋の至る所に、拷問器具らしきものが設置されてあった。
刃物がついた椅子。
縄がぶら下がる大きな車輪。
三角木馬。
どう使うのかも想像したくないような禍々しいもの。
「うっ」
私も吐きそうになる。
胃液が逆流して、ツンとした臭いが鼻をつく。
「この遺体。どなたかしら? 状態からすると最近死んだばかりのようですが」
一人だけ冷静なベアトリクス様が独り言のようにつぶやく。
今にも死にそうな表情のブルーノと顔を見合わせた。
確かに・・・・・・この遺体は誰のだ?
いや、誰がこの者を殺した?
ケイト、チャーリーはとっくの昔に死んでる。
クルック夫人にいたっては、半年以上前にこの上の部屋で首を括っている。
「・・・・・・」
しばらく沈黙が続く。
今にも腐臭漂うこの空間から逃げ出したいが、まだ謎が解けていない。
「これ多分日記帳・・・・・・ですね」
「・・・・・・!?」
いつの間にかベアトリクス様が何かの古びた本を手にしている。
「古代語で書かれてますわ、読めません。イーモンお願いします」
「あ、ああ」
吐き気をこらえながら、ベアトリクス様からそれを受け取った。
そこには・・・・・・貴族アーノルド・レイシャス・ゴメス、姦淫の罪の罰の記録。
そう書かれている。
「その字、読めませんが・・・・・・間違いなくケイトの字ですわ」
「・・・・・・!」
ベアトリクス様はケイトに固執して、生前は彼女に強く興味を持っていた。
なら、この日記帳はケイトが書いたものに間違いないのだろう。
「素晴らしい、素晴らしいわケイト。あなたの意志は私が継ぐから」
「・・・・・・はあ?」
感極まり独り言をつぶやくベアトリクス様。
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