2 / 54
第二話 兄弟②
しおりを挟む
ふと目が覚めると、遥斗がいないことに驚いて遥は飛び起きた。彼が寝ていた布団がまだ暖かいことを確認すると寝室の扉を開け廊下に出た。すると、リビングルームの方で音がしたため向かった。
「……兄」
キッチンを除くと、そこには料理を作る遥斗の姿があった。彼は遥に気づくと振り向き、ゆっくりと口を動かして「おはよう」と言った。
持っていた包丁を置くと、傍にきて遥の手を取り、手のひらに口をつけた。
「ご飯にするから顔洗っておいで」
遥斗の口が動いた。彼のとってはただの会話の手段であるが遥にとっては心臓の動きが速くなる行動であった。それを知られこの行動をやめられるのが怖かった。
彼が自分を弟としてしか見てない事は知っている。
冷水で顔を洗い、気持ちを引き締めた。
自分の気持ちを一生隠し通すつもりはなかった。アピールして頃合いを見て告白しようと思っていたが全く脈を感じない。負け試合はしたくなかった。
小さく息を吐くと、鏡の中の自分を見た。遥斗の好みは分からないが自分の顔が整っている方だと自覚はしている。しかし、生まれた瞬間から一緒にいて同性である遥斗には通用しない。そもそも、兄弟であるから多少は似ている。
「……兄弟」
遥はつぶやきながら自分の仕事をしない耳に触れた。
その時、背後で気配を感じた。振り返ると眉を寄せた遥斗が立っていた。彼の形の良い口は、「さっさとご飯を食べろ」と言っているようだ。普段はゆっくりと口を動かすが今は早かった。
彼は腕にしている時計を見せてきた。遥は目を細めてみると、出発時間十五分前であった。
「あ……、ごめん」
慌てて、リビングルームに戻ると食事をすませ寝室へ行った。着替え終わり、リビングルームに戻るとキッチンにお弁当が置いてあった。遥はそれを鞄に入れて玄関を出ると、周囲を見た。
「……さき行った」悲しげな声を上げると、エレベーターへ乗り駐車場へ行った。
駐車場に着くとすぐに、遥斗の車に駆け寄った。
「……先行くなって」
文句を言いながら助手席に乗り込む遥を運転席にいた遥斗は確認すると、すぐにアクセルを踏んだ。しばらく走った所で遥は横目で運転する遥斗を見た。黙って運転する彼の姿はとてもかっこいい。運転する時だけかけているサングラスはよく似合い、それを見るだけで気持ちが高揚した。
そんな楽しい時間もあっという間にすぎ、大学の門で車は止まった。
「気を付けて」
遥斗はゆっくりと口を動かしてから手も動かした。口だけでも彼の言いたいことは理解できるが手も付けてくれる事に感謝した。
遥斗の赤い車を見送った後、ゆっくりと正門に向かった。多くの学生が楽しそうに話しながら登校していたが遥は特に気にせずに足を進めた。正門を入ってしばらくすると、視界に女子生徒が入ってきた。
「……兄」
キッチンを除くと、そこには料理を作る遥斗の姿があった。彼は遥に気づくと振り向き、ゆっくりと口を動かして「おはよう」と言った。
持っていた包丁を置くと、傍にきて遥の手を取り、手のひらに口をつけた。
「ご飯にするから顔洗っておいで」
遥斗の口が動いた。彼のとってはただの会話の手段であるが遥にとっては心臓の動きが速くなる行動であった。それを知られこの行動をやめられるのが怖かった。
彼が自分を弟としてしか見てない事は知っている。
冷水で顔を洗い、気持ちを引き締めた。
自分の気持ちを一生隠し通すつもりはなかった。アピールして頃合いを見て告白しようと思っていたが全く脈を感じない。負け試合はしたくなかった。
小さく息を吐くと、鏡の中の自分を見た。遥斗の好みは分からないが自分の顔が整っている方だと自覚はしている。しかし、生まれた瞬間から一緒にいて同性である遥斗には通用しない。そもそも、兄弟であるから多少は似ている。
「……兄弟」
遥はつぶやきながら自分の仕事をしない耳に触れた。
その時、背後で気配を感じた。振り返ると眉を寄せた遥斗が立っていた。彼の形の良い口は、「さっさとご飯を食べろ」と言っているようだ。普段はゆっくりと口を動かすが今は早かった。
彼は腕にしている時計を見せてきた。遥は目を細めてみると、出発時間十五分前であった。
「あ……、ごめん」
慌てて、リビングルームに戻ると食事をすませ寝室へ行った。着替え終わり、リビングルームに戻るとキッチンにお弁当が置いてあった。遥はそれを鞄に入れて玄関を出ると、周囲を見た。
「……さき行った」悲しげな声を上げると、エレベーターへ乗り駐車場へ行った。
駐車場に着くとすぐに、遥斗の車に駆け寄った。
「……先行くなって」
文句を言いながら助手席に乗り込む遥を運転席にいた遥斗は確認すると、すぐにアクセルを踏んだ。しばらく走った所で遥は横目で運転する遥斗を見た。黙って運転する彼の姿はとてもかっこいい。運転する時だけかけているサングラスはよく似合い、それを見るだけで気持ちが高揚した。
そんな楽しい時間もあっという間にすぎ、大学の門で車は止まった。
「気を付けて」
遥斗はゆっくりと口を動かしてから手も動かした。口だけでも彼の言いたいことは理解できるが手も付けてくれる事に感謝した。
遥斗の赤い車を見送った後、ゆっくりと正門に向かった。多くの学生が楽しそうに話しながら登校していたが遥は特に気にせずに足を進めた。正門を入ってしばらくすると、視界に女子生徒が入ってきた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる