【R18】愛しのウサギ~可愛い男の子にいいようにされる長身イケメン~

黒夜須(くろやす)

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第1話 会社

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太陽が真上に来た頃。

それを知らせる何かがなるわけでもないが、社員は皆、時間を見て各自食事に出かけた。
優吾(ゆうご)は机にある時計で12時になったのを確認すると、会社のラウンジに向かった。

ラウンジは食堂も兼ねていたが、あまり褒められた味ではないため殆どの社員が外食をしていた。今日も空席が目立っていた。

優吾は窓際の席に座るとお弁当を取り出すとマスクを外してポケットにしまった。するとその時、真横に見慣れた人物が現れ、優吾は横目でその人物を見た。

「星(ほし)、最近弁当なんだね」

ニタニタ笑いながら、優吾の横に座ったのは速水祐介(はやみずゆうすけ)だ。

「速水。何のようだ」
「いや、一緒に食べようかと思ってね」

優吾は眉間に皺を寄せたが、気にせずに祐介は鞄からパンを取り出した。

「なぁ、その弁当、誰が作ってるの? 今までお昼、液体のみだったよね」
「……」

優吾は祐介の言葉に返事をせずに、弁当を眺めて堪能していた。その弁当をみていると心が洗われ幸せな気持ちになった。

「弁当になったから長時間マスク外すよね。だから周り見てみなよ」

祐介はチラチラと、こちらを見る女子社員に視線を向けて笑顔で手を振った。すると「キャーッ」という声がした。

優吾は祐介に一切返事をせずに、弁当を口に入れ噛み締めた。食べると作った人物の顔が自然と浮かんだ。彼の思い出すと優吾は胸がいっぱいになった。

「ほら、そういう顔して。いい人できたんだね」
「……」

優吾は自分の顔を抑えた。

「幸せそうな顔して食べてるってことだよ」
「……幸せ。そうだな」

優吾は小さな声で言った。すると、祐介はパンを口に入れながらニヤニヤした。

「マジかぁ。で、どんな子? 可愛い?」
「……美しい」

優吾は自分の恋人である“うさ”のことを思い出すと、自然と顔が綻んだ。

その時。

後ろから視線を感じて、優吾は食べ途中の弁当の蓋をしてマスクをつけると振り向いた。

「あの……」

吉川美結(よしかわみゆ)が緊張しがら書類を優吾に差し出していた。

「なんだ? 今、休憩中だ」
「申し訳ありません。でも、これ、午後一の会議で必要で、リーダーの確認サインが必要で」

優吾は眉間に皺を寄せて目を細めた、座ったまま美結を見上げた。

「本日の会議で必要な書類であることは昼になってからわかったのか?」
「いえ、以前から作成してたのですが、終わらず今終わりました」
「では、完成がギリギリになることが分かっていながら報告をしなかったは何故だ?」
「あ……」

美結が涙目になると、祐介が「まぁまぁ」と言って間に入った。すると、彼女はパァッと明るい顔になった。

「彼女も頑張っていたんだよ。そんなに責めないでよ」
「必要ない」

優吾の言葉に、祐介と美結は同時に「え?」っと言って驚いた顔をした。彼は鞄を開けると、書類を出して彼女に渡した。美結は目を点にしてそれを受け取った。

「君が何も言わないから、用意するつもりは無いのだと思って作った」

二つの書類を持って美結は固まった。それを見て、祐介はため息をついて立ち上がった。

「えっと、ちょっと見せてね」

祐介は彼女から二つの書類を受け取ると、すぐに全てに目を通した。

誰が見ても優吾が作った書類の方が完璧だというだろと祐介は思った。
入社2年目の彼女とチームリーダーの彼の仕事を比べるのが間違えている。

「ちょっときて」

祐介は美結を呼ぶと、書類をテーブルに置いて丁寧に説明した。優吾はクルリとテーブルに向いて、マスクを取り弁当を美味しそうに食べ始めた。

それを横目で見た祐介は困った顔をしながら、美結と優吾の書類と比べ、修正箇所を美結に伝えた。

「ありがとうございます」

美結が嬉しそうに礼を言った。

「会議には間に合わないから、今回は星の資料を使用しようか」
「でも、私、説明できるか……」

不安そうに、両手を自分の胸の前に持ってきて重ねると身体をゆすった。彼女の“私可愛いアピール”に、祐介はため息が出そうになったが飲み込み優しく微笑んだ。

「大丈夫。俺がなんとかするよ。君はこれの内容をしっかり把握しといてね。わからなければなんでも聞いてね」
「ありがとうございます」

美結は礼を言うと、モジモジと身体を動かした。そして、頬に手を持ってくると祐介を見た。

「あの、教えて頂いたお礼にお食事にどうですか?」
「そうだね。機会があればね」

早口で答え席を立とうとする祐介のスーツの裾を彼女が掴んだ。

「えっと、私、今日時間あるんです。それに、明日は祝日ですし……」
「うーん……」

祐介が困った顔していると、「君に時間はない」と言う声が聞こえた。驚いて、2人が振り向くと優吾が無表情で仁王立ちしていた。

「私が作った資料を理解したら、会議が終わり次第それを実装するんだ」
「え、そんな。私、分かんないですぅ」

甘えた声を出すが、優吾の表情はピクリともしなかった。彼女は少し考えると、祐介の方を見て首を傾げた。

「速水さん。教えてください」
「……うーん」

祐介は頬をかきながら、天井をみた。

その時。

優吾は通路を歩く人物に手を振った。その人物はへらへら笑いながら「なんですか?」っと言い、近づいてきた。
すると、彼女は露骨に顔を引きつらせた。

「彼女が、教えてほしいそうだ」

岡田正樹(おかだまさき)は“彼女”と言われた人物を見て目を輝かせた。

「マジですか。なんでも教えます」
「……大丈夫です。自分で出来ます」

彼女は立ち上がると、その場を何も言わずに去った。

「えー、そんな。折角お近づきになれると思ったんですけど……」

正樹は悲しそうな顔をして大きなお腹を揺らした。そんな彼に祐介は声を掛けた。

「近づきたかったの?」
「そうですね。彼女じゃなくてもいいですけど、女の子とお話したいです。できれば、彼女もほしいです」

手に力を入れて語る正樹に、祐介は「頑張れ」と彼の肩を叩いた。

優吾は何も言わずに頷くと、鞄を持ってその場を後にした。祐介も「また」と言って自分のフロアーへ戻った。
正樹はふぅとため息をつくと、利用する人が少なくなったラウンジを見た。

「戻ろう……」

正樹が廊下を歩いていると、先ほど優吾と祐介と一緒にいた美結とその友だちらしき女子社員が数名いた。
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