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執着

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 さっきまで勢いよく食べていたルイが固まっている。

 おそらく魔法陣破ったのがショックだったのだろう。

 このまま魔法陣を発動させたままではルイが危険であると判断した。ルイは剣術に長けており鍛えているが、そのわりには食事が細い。そのルイの異常な食欲を目の当たりにすれば焦る。本人に危機感がないようなのが余計な不安になった。

「ルイ」 

 固まっているルイを見てギョッとした。ポロポロと涙を流しているのだ。魔法陣を破った事がそんなにショックだったかのと思うとため息がでる。
 何度呼んでも返事がない。あまりの衝撃に外部の情報が入らないらしい。

 面倒くさい。

 この1日で王位継承者に対して有り得ない行動や発言をしてしまっている。本当に“思いは言葉で、言葉は行動に”だと思う。

 とりあえず、動かないこれルイを何とかしなくてはいけない。

 ルイが常に私を見ていたいのは、なんでだろう。

 私は殆ど城から出て行く事はない。それはルイも同様である。個人的に外部の人間と会う事は手軽に出来る身分ではないため、嫉妬の対象もいないはずである。
 私は殆ど、演習場か図書室にいる事が多い。

不安…

 昨日の図書室で、“さみしかったの”と言う私の言葉に頷くルイを思い出した。そういえば、何年も私はルイを避けていた。そして、大人はルイに王位継承としての期待を寄せていた。

 小さいルイは無理していたのかな。

 それなのに私は家庭教師から逃げたりルイを避けたり苦手だからと茶会の参加も最低限にしてきた。

 それは私の甘えだ。

 思わず殴ってしまったけどルイが安心するなら部屋での様子を見られる位たいした事ではない。しかし、魔法陣使うのはルイ自身の負担が大きいと思った。

「そうだ。ルイに私の石を上げるよ。」

 城に関わるものなら誰もが知っている対象者を探索する事のできる石である。対象者を設定した石を魔法陣の上にのせて魔法陣を発動させる。その石を地図の上にのせれば対象者の位置を示す。

「本当」

 今まで一切外部の情報を否定した人間とは思えないほど素早い返事であった。
 ルイが話ができる状態になった事が確認できたためルイから離れて元の席に戻った。
「私を設定した石と魔法陣を描いた紙わたすよ。だたその前に魔法陣について話したい。」
 石をもらえるのが相当嬉しいらしく、いい返事を返してくれた。
「そうだ。」
 元の状態に戻ったルイは扉の方に行き、動画魔法陣を確認してる。さっき私が伝えた疑問を検証したいのであろう。確認を終えると魔法陣に触れることなく戻ってきた。
「動画魔法陣は変化なかった。」
 映像魔法陣の紙をやぶった時魔法陣が消えた事から動画魔法陣は発動していると考えていいのだろうか。動画魔法陣は紙魔法陣が書かれるたけだから発動しているか見た目ではよく分からない。

「よく、わからなくなってきた。もう一度最初から考えなおさないといけない。」

 私の言葉にルイは頷くとすぐに棚から紙を数枚持ってきた。
「記録するは…」
 私が戸惑っていると“まとめるだけ”だと言った。お互いに理解したら紙は破りすて記録とはしないということらしい。

 魔法陣の記録が他者に見つかってはまずいことになる。特にこれから私たちが確認するには今までの周知されていた魔法陣とは異なるため慎重になる。
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