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侍女が騎士
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その後も発作の検証は続き、自室に戻って時には太陽が真上に来ていた。戻ってすぐにルイはハリー・ナイトの様子を見せてくれた。やはりハリー・ナイトは何度か魔法陣を発動しているようであったが誰も気づかない。アーサー言っていたが光らずに発動する方法があるようだ。
ルイは魔法陣を通して見ると発動の光が見えるのではないかと言っていた。
そうかもしれない。
しばらくハリー・ナイトを見ていたが彼はずっと壁の方を向いていて顔を見ることができない。まるで顔を隠しているように思えた。やっぱり瞳を隠しているのかもしれない。転送魔法陣でアンドレーに会いにいけないから瞳の色を変えているならばそれが元の色に戻っている可能性がある。
「諦めずに何度も魔法陣を使っているね。魔法陣使用不可の魔法が掛かっていることに気付いていないのかな」
私は何度も繰り返し発動するハリー・ナイトを見てつぶやいた。
アーサーに教えてもらった事だが、今ハリー・ナイトが入っている牢は以前アンドレーが入っていた場所である。アンドレーの魔法対策としてアーサーの母グレースが魔法陣使用不可の魔法をかけていったのである。魔法って発動し続けないと効果がなくなると思ったがそうではないらしい。
発動光が見えなくなる方法も発動後永久的に魔法陣効果がある方法もあるらしいがアーサーはやり方を教えてくれなかった。思い出してみれば、図書室で魔法陣を使っているのが見つかってからアーサーに何度も聞きに行った。しかしその都度「わからない」と言われたことを思い出した。
“わからない”はなく“教えられない”というこ
ルイがハリー・ナイトの映る魔法陣をとじると、部屋の扉を叩く音がして返事をすると専属侍女のサラが現れた。サラは軽食を持っていたので不思議の思うとルイが「頼んだ」と言った。
朝から時間がたちお腹も空いていたので丁度良いと思った。
サラがテーブルにパンやジャムを置くのを見ながら、“サラに話しかけようとした時発作がおきた”のを思い出した。アーサーの話ではサラに魔法陣を書いてサラが入室したタイミングで発動したと言っていた。サラの事を上からしたまで見るがその魔法陣がどこにあるか分からない。ルイも気になったようで同じようにサラを見ている。
突然、ルイは立ち上がったかと思うと剣を抜く。私は慌ててルイに手を伸ばしたが届かず、サラに切りかかった。言葉にならない声を上げた。
「――ッ」
サラがやられると思ったが違った。ルイの剣をサラは短剣で受けとめているのだ。ルイが距離をとろうとした瞬間サラは短剣を床に落とし、地面を蹴ると一気にルイへ近づいた。そして、みぞおちに左の拳をいれる。その痛みで動きがとまったのを狙いサラは彼の剣を手で叩き落とした。
カラン
剣は音を立てて床に落ちた。サラはそれを足で蹴り部屋の隙間やった。ルイはみぞおちを抑えながら手を上げて「降参」といった。その上げた手は叩かれたため真っ赤になっている。
ありえない。
ルイは長剣を持っている。それを真上から振り下ろしたのだ。いくら成人女性でもあの細い腕で受け止められるわけがない。しかもサラの得物は短剣である。
サラは表情を顔に乗せることなく、ルイを見ている。いつものおどおどとした様子とはまるで違った。
なにがどうなっているのかさっぱり分からない。
「彼女はだだの侍女じゃないよ。騎士だよ」
ルイは私に背を向けたまま話している。視線はサラから全く動かさない。
「え?」
ルイは魔法陣を通して見ると発動の光が見えるのではないかと言っていた。
そうかもしれない。
しばらくハリー・ナイトを見ていたが彼はずっと壁の方を向いていて顔を見ることができない。まるで顔を隠しているように思えた。やっぱり瞳を隠しているのかもしれない。転送魔法陣でアンドレーに会いにいけないから瞳の色を変えているならばそれが元の色に戻っている可能性がある。
「諦めずに何度も魔法陣を使っているね。魔法陣使用不可の魔法が掛かっていることに気付いていないのかな」
私は何度も繰り返し発動するハリー・ナイトを見てつぶやいた。
アーサーに教えてもらった事だが、今ハリー・ナイトが入っている牢は以前アンドレーが入っていた場所である。アンドレーの魔法対策としてアーサーの母グレースが魔法陣使用不可の魔法をかけていったのである。魔法って発動し続けないと効果がなくなると思ったがそうではないらしい。
発動光が見えなくなる方法も発動後永久的に魔法陣効果がある方法もあるらしいがアーサーはやり方を教えてくれなかった。思い出してみれば、図書室で魔法陣を使っているのが見つかってからアーサーに何度も聞きに行った。しかしその都度「わからない」と言われたことを思い出した。
“わからない”はなく“教えられない”というこ
ルイがハリー・ナイトの映る魔法陣をとじると、部屋の扉を叩く音がして返事をすると専属侍女のサラが現れた。サラは軽食を持っていたので不思議の思うとルイが「頼んだ」と言った。
朝から時間がたちお腹も空いていたので丁度良いと思った。
サラがテーブルにパンやジャムを置くのを見ながら、“サラに話しかけようとした時発作がおきた”のを思い出した。アーサーの話ではサラに魔法陣を書いてサラが入室したタイミングで発動したと言っていた。サラの事を上からしたまで見るがその魔法陣がどこにあるか分からない。ルイも気になったようで同じようにサラを見ている。
突然、ルイは立ち上がったかと思うと剣を抜く。私は慌ててルイに手を伸ばしたが届かず、サラに切りかかった。言葉にならない声を上げた。
「――ッ」
サラがやられると思ったが違った。ルイの剣をサラは短剣で受けとめているのだ。ルイが距離をとろうとした瞬間サラは短剣を床に落とし、地面を蹴ると一気にルイへ近づいた。そして、みぞおちに左の拳をいれる。その痛みで動きがとまったのを狙いサラは彼の剣を手で叩き落とした。
カラン
剣は音を立てて床に落ちた。サラはそれを足で蹴り部屋の隙間やった。ルイはみぞおちを抑えながら手を上げて「降参」といった。その上げた手は叩かれたため真っ赤になっている。
ありえない。
ルイは長剣を持っている。それを真上から振り下ろしたのだ。いくら成人女性でもあの細い腕で受け止められるわけがない。しかもサラの得物は短剣である。
サラは表情を顔に乗せることなく、ルイを見ている。いつものおどおどとした様子とはまるで違った。
なにがどうなっているのかさっぱり分からない。
「彼女はだだの侍女じゃないよ。騎士だよ」
ルイは私に背を向けたまま話している。視線はサラから全く動かさない。
「え?」
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