No Thank you~殿方なんていりません。悪役令嬢一択~

黒夜須(くろやす)

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第21話 魔力制御2

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自分の手にある葉をミヅキはじっと見つめた。
いまだに、魔力の出し方が分からなかった。

しばらく考えてから、目を閉じて指輪の時と同じように葉に神経を集中させた。すると身体が熱くなるのを感じた。

その瞬間、男性の顔が脳裏に浮かんだ。彼が誰だかはすぐに分かった。
国王だ。
国中に彼の絵があり、見ない日はない。

国王は生徒会室の王太子の席に座っていた。

「なんだったんだ……?」

驚いて、目を開けると枯れ葉は少しずつ赤色が変わってきた。全て赤色になると砕けちってしまった。近くにあった落ち葉を拾い同じことをするとまた砕け散った。
その間も国王の顔が脳裏から離れなかった。

「……」

おじさんの顔がいつまでも頭にあり不快だった。

近くにあった葉を手にとり、レイージョをイメージしながら集中した。おじさんの顔を忘れたかったのだ。
レイージョの頬を赤くして照れた表情を思い浮かべると心が優しくなった。

すると、手に持った葉は赤く染まったが崩れなかった。

「おぉ」

レイージョの愛らしい笑顔を思い浮かべてみた。すると、赤く染まった葉にレイージョの顔が描かれた。それはイメージした通りの顔であった。

「面白い」

調子にのり、何度も繰り返したため周囲に落ちている葉には全てレイージョの顔が掛かれていた。
楽しくなり、目を閉じて葉の中に埋もれた。
ほのかにレイージョの香りがする気がした。

「な、なにをしているの?」

転がってレイージョ葉を堪能していると、聞きなれた美しい声がした。
それがすぐにレイージョだとわかった。

彼女の声は震えていた。

勝手に葉っぱに顔を描いたことを怒っているのかと思い慌てて目を開けて、飛び起きた。目の前には真っ赤な顔をして震え立っているレイージョがいた。

可愛い。

「レイに埋もれています」と笑顔で答えるとレイージョは「そう」と言った。
彼女は呼吸を整えて、ミヅキの隣に座った。

そしてレイージョの顔が描かれている葉を一枚拾った。

「よく出来ているわ。どうやったの?」
「レイを思い浮かべたのです」
「どのわたくしも笑っているのね」とレイージョは持っている葉以外の葉っぱにも視線を送った。
「ええ、レイはいつも優しく微笑んでくれますから」

満面の笑みを浮かべた。すると、レイージョはまた頬を赤くした。

「そういえば、何か私に御用ですか? 私を探すなんて初めてですよね?」
「パーティーにいないから」
「……パーティー」
「ええ。今日は広間でパーティーが行わる日でしょ。卒業の時のように大規模ではないけど、社交界にでる人間としては大切な行事よ」

朝、クラスの人間が受かれていたのを思い出した。
パーティーがあるからこそ、自分はここにいた。

「自由参加という話ですので、ここにいます」
「そうね。無理して出るものではないわ」レイージョは何か考えているようであった。「ずっと、ここにいたの?」

「ええ」綺麗な顔でじっと見つめられるとドキドキした。「あ、さっきユウキ様にお会いしましたよ。パーティーに出ないのですね」
「ユウキはいつも参加しないわ。身長が足りないから踊れないとか言って逃げるのよ。それはいいのだけど、本当にここいたのよね」
「ええ」

何度も確認するレイージョを不思議に思い首を傾げた。

「そう、ならいいのよ。それで、この葉はどうするの?」レイージョは自分の顔の描かれた葉を恥ずかしそうに見た。「このままはちょっと……」

「あ、そうですよね」

自分の顔の葉がバラまかれているなんて誰でも恥ずかしい。
ミヅキは手を広げて葉にかざすと集中した。一度に多くの数に対応できるか分からなかったがやってみることにした。
力を出しすぎないように、水道の蛇口をイメージした。すこしずつ水を出していく感覚だ。

すると、葉は赤くなり砕けた。

その時、首から下げている石が入ったチャームが熱くなったように感じた。そっとそれに触れると確かに熱を持っているようであった。
それをレイージョに伝えようとしたが……。

「全て、ミヅキがやったのよね?」レイージョに砕けだ葉を見て眉を寄せた。
「はい。先ほど、ユウキ様に言われて練習していました」
「そう。予知だけじゃなくて……、そんなこともできるの?」
「できちゃいました」

いつになく怖い顔をしているレイージョに不安になった。

「時間がないからはっきり言うわ。アキヒト様と結婚したくないのよね?」
「いやです」

唐突な質問に驚いたがはっきりと答えた。

「なら、わたくしとならいい?」
「はい」できるのかわからないけど、はっきりと答えた。

「では、そうしましょう」
「よろしくお願いいたします」彼女の言っている意図が分からなかったが元気よく頭を下げた。
「どういうことだか分かってないでしょ? 即答していいの?」
「はい」

確かに、唐突な話過ぎて理解できなかったがレイージョと結婚できるならどうでもいい話であった。

こんな幸せなことはない。

レイージョは呆れたように、笑った。

「承諾してくれたから全部話すわ」
「はい」
「ミヅキも知っての通り、アキヒト様は高魔力である貴女を側妃にするつもりだったわ。それは、国とためでもあり貴女自身のためでもあったの。それを断ったのよね」
「そうですね」

王太子と結婚するぐらいなら国なんか滅びればいいと思った。以前は大丈夫であったが今は、レイージョと王太子が仲良くする姿を見たくない。

「仲良くしないわよ」
「へ?」
「結婚するから話すわね。特殊能力で心が読めるの」

ぬぉぉぉぉぉぉ。

レイージョの能力を聞いた途端、心の中で雄叫びをあげた。顔が熱くなるどころか、燃えているようであった。今まで思っていたことが全て筒抜けなんて羞恥。

「ごめんなさいね」

申し訳なさそうにするレイージョに大きく首をふた。

「いえいえいえいえいえいえ。私、気持ち悪くてごめんなさい」
「そんなことないわ。女神なんでしょ」
「はい。愛しています」

すると、ぼっとレイージョ顔が赤くなった。

「あ、こ、言葉で聞くとなんかアレね」

レイージョは頬を抑えた。

あああああ。
レイ、レイ。
かわゆいよ。
照れた顔も最高だよ。

もう超大好き。
愛している。

「あ、うん。わ、わかったわ。もう……」

赤い顔のレイージョに抱きしめられた。

そして、耳元で「落ち着いて」と言われたが、そんなことされたら落ち着けるわけがない。心臓がハイスピードで動き100年ぐらい寿命が進んだ気がした。

頭は大爆発。

「あ、情報過多よね。ごめんね」

レイージョが背中を優しくなぜてくれた。すると次第に気持ちが落ち着いてきた。
心臓の音が正常になったころ、レイージョはミヅキを離した。

「生徒会の人間全員に特殊能力があるだけど、それはおいおいね」
「……はい」
「話進めるわ。貴女の魔力が強すぎるのよ。隣国が気づいたみたなの」
「あら」
「あら、じゃないの」レイージョは葉がなくなった地面を見た。「魔力制御できるようになったのね。朝は出来なかったわよね」
「ユウキ様にした方がいいて言われたからやってみました」
「さっきもその話していたわね。天才すぎるわ。普通、教えてもらって何年もかかるのよ」レイージョは小さく息を吐くと座りなおした。「まぁいいわ」

「このままじゃ、隣国に誘拐される可能性があるの。それは我が国にとっても貴女にとってもいい事ではないわ」
「レイにとっても?」
「勿論よ。貴女には国にいてほしいわ」
「嬉しいです」

自分の国も隣国もどうでも良かった。ただ、レイージョに必要とされるだけで嬉しかった。高魔力で、それを扱える“天才”だからだとしても、レイージョが手放したくないと思ってくれているのは嬉しかった。

その時、レイージョ大きなため息をついた。

「わたくしの“愛”については、のちのち伝えるわ。今は時間がないの」
「愛」

頭の中がハートでいっぱいになった。
ニヤニヤしているミヅキを見てレイージョは困った顔をした。

「ちょっと来て」

レイージョに手を引かれて立ち上がった。そのまま、彼女について走った。彼女はとても焦っているようで足が速くついていくのがやっとだった。
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