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嫌なのに
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激しい接待の後、佳織は裸のままベッドに倒れ込んで、眠ってしまっていた。セックスはスポーツと同様に、大量のカロリーを消費する。
「んん……」
寝返りをうったときだった。 ふわり、とした感覚が背中を駆け抜けていった。身体に薄手のブランケットがかけられたのだ。佳織はゆっくりと重い瞼を開く。
(誰……?)
目を開けると、そこには佳織を心配そうに見つめる氷室の姿があった。
「社長……?」
どうしてホテルに氷室がいるのか──?
氷室も突然目が覚めた佳織を前にして、驚きを隠せなかった。
「あ、その…今日は早乙女が休みだから、代わりに俺が……」
氷室の落ち着きのなさは佳織にもはっきりと分かった。いつもは冷静沈着な社長なのに、今は別人のようだった。
「そうですか……」
部屋に気まずい空気が漂う。
「その、心配だったから──」
「心配?」
佳織が訝しげに訊く。氷室を見上げる佳織は、自分とは別世界に住む人間のようで、妖艶だった。氷室は一歩後ずさる。
「う、その……今日の接待相手は複数だっただろ」
(複数か……今更何を言っているのかしら)
佳織は息を吸って、氷室を睨みつけた。
「それだけですか?複数の日だってあるじゃないですか」
これまでも複数の相手をしながら氷室に見られていた。思い出すだけで、頭に血が上るようだった。
「社長の命令でしょ……」
ブランケットを握る手が怒りで震える。
「ご心配なく。皆さんには大変満足していただきました」
涙が溢れてきそうだった。
「二宮さん……」
氷室が差し出した手を佳織は跳ねのけた。
「接待は終わったんだから、休ませてください」
佳織は氷室に顔を見せまいと、ベッドの上で膝を抱えて身体を丸めるように小さくした。早くこの部屋から出て行ってくれと願う。
「二宮さん」
いつも聞いている声が耳から忍び込む。それはどこか苦しげだった。
「そうだったな……僕は先に帰るよ。二宮さん。いつでも連絡していいから」
部屋のドアが閉まる音がした。氷室が出て行ったのだ。
「何でなの。社長が分からない」
嫌なのに。氷室が嫌なのに。
いつもは冷たいのに、時折温かい手を差し伸べては、優しい微笑みを見せる。氷室に翻弄されてっぱなしな自分にも苛立ちがつのる。それなのに、氷室をもっと知りたいを思ってしまう。
「苦しい」
鼓動が早鐘を打ち出して、呼吸が上手くできない。胸の動悸は中々治まらず、氷室の残像が頭を駆け巡っていた。
「んん……」
寝返りをうったときだった。 ふわり、とした感覚が背中を駆け抜けていった。身体に薄手のブランケットがかけられたのだ。佳織はゆっくりと重い瞼を開く。
(誰……?)
目を開けると、そこには佳織を心配そうに見つめる氷室の姿があった。
「社長……?」
どうしてホテルに氷室がいるのか──?
氷室も突然目が覚めた佳織を前にして、驚きを隠せなかった。
「あ、その…今日は早乙女が休みだから、代わりに俺が……」
氷室の落ち着きのなさは佳織にもはっきりと分かった。いつもは冷静沈着な社長なのに、今は別人のようだった。
「そうですか……」
部屋に気まずい空気が漂う。
「その、心配だったから──」
「心配?」
佳織が訝しげに訊く。氷室を見上げる佳織は、自分とは別世界に住む人間のようで、妖艶だった。氷室は一歩後ずさる。
「う、その……今日の接待相手は複数だっただろ」
(複数か……今更何を言っているのかしら)
佳織は息を吸って、氷室を睨みつけた。
「それだけですか?複数の日だってあるじゃないですか」
これまでも複数の相手をしながら氷室に見られていた。思い出すだけで、頭に血が上るようだった。
「社長の命令でしょ……」
ブランケットを握る手が怒りで震える。
「ご心配なく。皆さんには大変満足していただきました」
涙が溢れてきそうだった。
「二宮さん……」
氷室が差し出した手を佳織は跳ねのけた。
「接待は終わったんだから、休ませてください」
佳織は氷室に顔を見せまいと、ベッドの上で膝を抱えて身体を丸めるように小さくした。早くこの部屋から出て行ってくれと願う。
「二宮さん」
いつも聞いている声が耳から忍び込む。それはどこか苦しげだった。
「そうだったな……僕は先に帰るよ。二宮さん。いつでも連絡していいから」
部屋のドアが閉まる音がした。氷室が出て行ったのだ。
「何でなの。社長が分からない」
嫌なのに。氷室が嫌なのに。
いつもは冷たいのに、時折温かい手を差し伸べては、優しい微笑みを見せる。氷室に翻弄されてっぱなしな自分にも苛立ちがつのる。それなのに、氷室をもっと知りたいを思ってしまう。
「苦しい」
鼓動が早鐘を打ち出して、呼吸が上手くできない。胸の動悸は中々治まらず、氷室の残像が頭を駆け巡っていた。
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