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第4章 ただのパティシエに何ができる?
第4話 おかしい、普通すぎる
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ニヤニヤと、伊太郎は言って、先にエレベータに乗りこむと、京旗の住戸階のボタンを押した。
――へぇ、階まで同じだったんだ。
二人を乗せたカーゴが上昇し、部屋が近づいてくると、京旗は不意と切り出した。
「今日はどうもありがとうございました」
「なんだよ突然。あらたまって」
「あゆサンが言ったからって、ふつうオレみたいな初心者に、厨房を手伝わせたりしないでしょ。仮にも信用して使ってもらって……ありがとうございました」
後ろを向いたまま、頭を下げる。
「なるほどな」
エレベーターが目的の階につき、ブザーが鳴ってドアが開いた。伊太郎は、京旗と逆の廊下へ、別れて歩いていきながら、首だけで振り向いてみせて破顔した。
「そういうとこ妙に率直で潔ぎいいのが、上に気に入られて可愛がられる理由だな!」
遠ざかっていく背中。カラカラカラ、と、ジェセダとは違う解放式の廊下に笑い声が響く。
「明日からも毎日来いよ! てめぇ見込みあるって今日中思ってたぜ!」
廊下の壁の呼び鈴を押して中の人間を呼び出しながら、伊太郎はまだ笑っていた。
夜風が気持ちいいな、と京旗は素直に思った。
自分の部屋のドアの前に立ち、こちらも笑って、
「おやすみなさい!」
「おうおう、おやすみな~」
向こうで伊太郎がぞんざいに手を振り、中から開けられたドアに吸い込まれて消えた。
京旗は自分のドアの鍵を開けつつ、今のやりとりを爽快な気持ちで反芻して――まずはあゆに電話して、こんなバイトの身代わり報告をして、具合はどうかと聞くのもいいな、などと考えて苦笑し――一秒で、ザッと頭の血の気がひいた。
バッと振り返る。バタバタと息せき切って駆け寄って、伊太郎が消えたドアを確認する。
日本人家庭は安全のためにどこも表札を出さないが、部屋番号だけでじゅうぶん。
「はは……ははは……?」
――マジか?!
勝鹿伊太郎が吸い込まれたのは、竹邑あゆの住む住戸だった。
スガーンッと、衝撃が、京旗の心臓を強撃して走り抜けた。
理由不明の衝撃が。
「一色~、昨日は、悪かったな~?」
ほけら、と笑いかけられた。
玄関を開けたら、立っていた紺色のジャンスカの制服。
「待ってたんだ、一緒に学校に行こう」
京旗は目を逸らし、いいっすよ、とだけ、低く言った。
「それで、シェフが言ってたのだが~、今日から一色も厨房バイトに加わるそうだな~?」
にこり、と笑いかけられて、うっと詰まる。
「……そうっスよ。よろしく、竹邑先輩」
先輩、に異様に力がこもった。
どがっしゃぁん!
バットをひっくり返した。ついでにナベに包丁が躍り込み、フードカッターのコードが宙を舞った。
「どしたの、お前?」
伊太郎の呆れた声に、
「すっ、すいふぁへんッ!」
こけたときに床に強打した鼻を押さえて、デシャップ台とレンジ台の間から、コックコート姿の京旗が跳ね起きた。
今日何度目かの大失敗。伊太郎は太い眉をしかめ、
「調子わりーのか? 生キズがボロボロ増えていくじゃねぇかよ?」
「なっ、なんでもないですッ!!」
大使公邸の厨房に正式に入って一週間。
調子すっごい悪いです、気になることがありまして!!と背中から看板が生えているような京旗。伊太郎にはその看板の文字が見えているようで、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべていたが、京旗本人は、必死に否認し続けていた。
あゆは隅で、淡々と魚をおろしている。
「ねえねえ、最近おかしくないっ?!」
学校で、めいあに勢いよく突っ込まれて、どっきー!!と飛び出しそうになった心臓を、京旗は押さえた。
「そそそうすか?」
「おかしいわよっ! ぜったい!! あゆちゃん!!」
「うわぁあああああ!!」
その名を出すなぁッ!極力意識しないようにしてんだよッ!と頭を抱えて涙を目から吹きださせたくなる京旗。
「って、……へ? あゆサン? オレでなくて?」
「なに言ってるの? だから、あゆちゃんだってば。もっかい言うけど、最近おかしくない?」
言われて京旗は、部屋の向こう端のあゆをちらりと盗み見る。休み時間、日本人学校のリビングの窓辺で、他の生徒とお喋りをしている姿。
「ごくごく普通に見えますが?」
めいあが、口を半開きにして呆れた顔をしたあと、イライラと言った。
「だから。あゆちゃんが普通なんて、おかしいでしょ!?」
「あ……!!」
竹邑あゆが、まるで普通の女の子のように談笑。
ゾゾオ、と、京旗は背筋を寒くした。
「やっとわかった?!」
と、めいあが腰に両手をあてて、肘を張り、肩をいからせて噛みつくようにまくしたてる。
「あゆちゃん最近釣りにも行かないし、マルシェで買い物しても鬼のよーに値切らないし、裏路地でワール人の小学生と喧嘩ごしでケンケンパもしないし、ラグーンの釣り友達にヤシ焼酎の飲みくらべに誘われても断ってたし、港でスペインのマグロ漁船見てもうっとりトリップしてヨダレたらしたりしなかったし、昨日なんて、ハマダラ蚊を見てキャアって怯えたのよ。あの、あゆちゃんがよっ?!」
「うーむ。それは正常すぎる……ネジが飛んでるとしか思えないすね」
「でしょお?!」
「ってか、実は普通にしててくれたほうが人畜無害でいいんじゃないかと……」
「人畜無害ですって?!」
めいあが言った。
京旗の鼻先に、びっと指を一本突き立て、
「あゆちゃんが人畜無害なんてね、面白くもなんともないのよっ!」
面白い面白くないを人間の動機の第一基準にしちゃまずいだろ、とも思ったが、めいあの心配ももっともだった。
なんとかしてやらなくては。
あゆがおかしくなったのは、明らかに動物園でセザールに会ってからで、そのときその場にいたのは、京旗だけだったのだから。
――けど、いったいオレに、何が出来る?
一〇年前だかに何か厭な過去があったのは事実らしく、そのときのことを知ってる男とここで出会っちまったとは、あまりに運が悪かったような。
てか、だいたいなんでアイツがこの国にいるんだよ?!
向こうも京旗がワール国にいるとは思わなかっただろうが、セザールがワール国にいるのも、ずいぶんおかしい。観光や保養に積極的にくる国ではない。
パリのメトロのホームで会った、人のいい顔を思い出す。
実業界に華麗な転身。
そうセザール・グディノーは言っていた。
この国で、もとパティシエに、どんな仕事があるっていう?
連想ゲームのように、ぱぱぱといろいろなモノが見えてきては消える。
ワール国 元パティシエ
↓ ↓
↓ !パティシエ
↓ ↓ ↓
↓ !チョコレート
↓ ↓ ↓
!カカオ ↓
↓ !コンクール
↓ ↓ ↓
!合成油脂の混入 ↓
↓ ↓ ↓
↓ !ムカつく記憶
↓ ↓
!キャタピラー・キャピタル
↓ ↓
!アメリカ資本 !スカウト/パティシエ
――→!実業界に、華麗な転身。
「ん? 今、何か見えたような……?」
頭を捻る京旗。
当然のように、今日も周囲にはきつね色の菓子の山脈ができている。朝、登校前に作った分だ。その山の中で、うーうーと唸りながら、頭を振る。
メイドのムサはここのところ、坊ちゃんがお菓子を作りまくるのにすっかり慣れていた。が、今日はまた別の意味で眉をひそめ、物陰から京旗の様子を息を殺して見つめて怯えていた。
「おかしい……ムッシューがお菓子を作らないなんて、普通すぎる!」
――
この物語はフィクションであり、実在の団体・個人・事件とは一切関係ありません
――
お読みいただきありがとうございます。これからも面白い物語にしていきます。ぜひブックマーク・応援・レビューをお願いします
――へぇ、階まで同じだったんだ。
二人を乗せたカーゴが上昇し、部屋が近づいてくると、京旗は不意と切り出した。
「今日はどうもありがとうございました」
「なんだよ突然。あらたまって」
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後ろを向いたまま、頭を下げる。
「なるほどな」
エレベーターが目的の階につき、ブザーが鳴ってドアが開いた。伊太郎は、京旗と逆の廊下へ、別れて歩いていきながら、首だけで振り向いてみせて破顔した。
「そういうとこ妙に率直で潔ぎいいのが、上に気に入られて可愛がられる理由だな!」
遠ざかっていく背中。カラカラカラ、と、ジェセダとは違う解放式の廊下に笑い声が響く。
「明日からも毎日来いよ! てめぇ見込みあるって今日中思ってたぜ!」
廊下の壁の呼び鈴を押して中の人間を呼び出しながら、伊太郎はまだ笑っていた。
夜風が気持ちいいな、と京旗は素直に思った。
自分の部屋のドアの前に立ち、こちらも笑って、
「おやすみなさい!」
「おうおう、おやすみな~」
向こうで伊太郎がぞんざいに手を振り、中から開けられたドアに吸い込まれて消えた。
京旗は自分のドアの鍵を開けつつ、今のやりとりを爽快な気持ちで反芻して――まずはあゆに電話して、こんなバイトの身代わり報告をして、具合はどうかと聞くのもいいな、などと考えて苦笑し――一秒で、ザッと頭の血の気がひいた。
バッと振り返る。バタバタと息せき切って駆け寄って、伊太郎が消えたドアを確認する。
日本人家庭は安全のためにどこも表札を出さないが、部屋番号だけでじゅうぶん。
「はは……ははは……?」
――マジか?!
勝鹿伊太郎が吸い込まれたのは、竹邑あゆの住む住戸だった。
スガーンッと、衝撃が、京旗の心臓を強撃して走り抜けた。
理由不明の衝撃が。
「一色~、昨日は、悪かったな~?」
ほけら、と笑いかけられた。
玄関を開けたら、立っていた紺色のジャンスカの制服。
「待ってたんだ、一緒に学校に行こう」
京旗は目を逸らし、いいっすよ、とだけ、低く言った。
「それで、シェフが言ってたのだが~、今日から一色も厨房バイトに加わるそうだな~?」
にこり、と笑いかけられて、うっと詰まる。
「……そうっスよ。よろしく、竹邑先輩」
先輩、に異様に力がこもった。
どがっしゃぁん!
バットをひっくり返した。ついでにナベに包丁が躍り込み、フードカッターのコードが宙を舞った。
「どしたの、お前?」
伊太郎の呆れた声に、
「すっ、すいふぁへんッ!」
こけたときに床に強打した鼻を押さえて、デシャップ台とレンジ台の間から、コックコート姿の京旗が跳ね起きた。
今日何度目かの大失敗。伊太郎は太い眉をしかめ、
「調子わりーのか? 生キズがボロボロ増えていくじゃねぇかよ?」
「なっ、なんでもないですッ!!」
大使公邸の厨房に正式に入って一週間。
調子すっごい悪いです、気になることがありまして!!と背中から看板が生えているような京旗。伊太郎にはその看板の文字が見えているようで、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべていたが、京旗本人は、必死に否認し続けていた。
あゆは隅で、淡々と魚をおろしている。
「ねえねえ、最近おかしくないっ?!」
学校で、めいあに勢いよく突っ込まれて、どっきー!!と飛び出しそうになった心臓を、京旗は押さえた。
「そそそうすか?」
「おかしいわよっ! ぜったい!! あゆちゃん!!」
「うわぁあああああ!!」
その名を出すなぁッ!極力意識しないようにしてんだよッ!と頭を抱えて涙を目から吹きださせたくなる京旗。
「って、……へ? あゆサン? オレでなくて?」
「なに言ってるの? だから、あゆちゃんだってば。もっかい言うけど、最近おかしくない?」
言われて京旗は、部屋の向こう端のあゆをちらりと盗み見る。休み時間、日本人学校のリビングの窓辺で、他の生徒とお喋りをしている姿。
「ごくごく普通に見えますが?」
めいあが、口を半開きにして呆れた顔をしたあと、イライラと言った。
「だから。あゆちゃんが普通なんて、おかしいでしょ!?」
「あ……!!」
竹邑あゆが、まるで普通の女の子のように談笑。
ゾゾオ、と、京旗は背筋を寒くした。
「やっとわかった?!」
と、めいあが腰に両手をあてて、肘を張り、肩をいからせて噛みつくようにまくしたてる。
「あゆちゃん最近釣りにも行かないし、マルシェで買い物しても鬼のよーに値切らないし、裏路地でワール人の小学生と喧嘩ごしでケンケンパもしないし、ラグーンの釣り友達にヤシ焼酎の飲みくらべに誘われても断ってたし、港でスペインのマグロ漁船見てもうっとりトリップしてヨダレたらしたりしなかったし、昨日なんて、ハマダラ蚊を見てキャアって怯えたのよ。あの、あゆちゃんがよっ?!」
「うーむ。それは正常すぎる……ネジが飛んでるとしか思えないすね」
「でしょお?!」
「ってか、実は普通にしててくれたほうが人畜無害でいいんじゃないかと……」
「人畜無害ですって?!」
めいあが言った。
京旗の鼻先に、びっと指を一本突き立て、
「あゆちゃんが人畜無害なんてね、面白くもなんともないのよっ!」
面白い面白くないを人間の動機の第一基準にしちゃまずいだろ、とも思ったが、めいあの心配ももっともだった。
なんとかしてやらなくては。
あゆがおかしくなったのは、明らかに動物園でセザールに会ってからで、そのときその場にいたのは、京旗だけだったのだから。
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一〇年前だかに何か厭な過去があったのは事実らしく、そのときのことを知ってる男とここで出会っちまったとは、あまりに運が悪かったような。
てか、だいたいなんでアイツがこの国にいるんだよ?!
向こうも京旗がワール国にいるとは思わなかっただろうが、セザールがワール国にいるのも、ずいぶんおかしい。観光や保養に積極的にくる国ではない。
パリのメトロのホームで会った、人のいい顔を思い出す。
実業界に華麗な転身。
そうセザール・グディノーは言っていた。
この国で、もとパティシエに、どんな仕事があるっていう?
連想ゲームのように、ぱぱぱといろいろなモノが見えてきては消える。
ワール国 元パティシエ
↓ ↓
↓ !パティシエ
↓ ↓ ↓
↓ !チョコレート
↓ ↓ ↓
!カカオ ↓
↓ !コンクール
↓ ↓ ↓
!合成油脂の混入 ↓
↓ ↓ ↓
↓ !ムカつく記憶
↓ ↓
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↓ ↓
!アメリカ資本 !スカウト/パティシエ
――→!実業界に、華麗な転身。
「ん? 今、何か見えたような……?」
頭を捻る京旗。
当然のように、今日も周囲にはきつね色の菓子の山脈ができている。朝、登校前に作った分だ。その山の中で、うーうーと唸りながら、頭を振る。
メイドのムサはここのところ、坊ちゃんがお菓子を作りまくるのにすっかり慣れていた。が、今日はまた別の意味で眉をひそめ、物陰から京旗の様子を息を殺して見つめて怯えていた。
「おかしい……ムッシューがお菓子を作らないなんて、普通すぎる!」
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