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第7章 少年パティシエは世界を変える
第6話 ヤムイモン襲撃部隊の謎
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「ごめんな、めいあ~」
あゆは京旗でなく、めいあに向かって手を合わせ、謝っていた。一緒にフレンチスクールへ行こうね~、と言っためいあに向かっての謝罪。
「って? え?」
はた、と京旗が状況に気がつく。
そのとき、あゆがまっすぐ京旗を見た。
「一色の仕事に、あゆはカンドーしたッ!!」
「……は?」
「あゆは実は、ものすごーく一色にカンドーをもらった。頂いた!」
「は、はい?」
「それでな、あゆはやっぱり、一色は料理人になるのがいいと思う。応援したいんだ」
「なななな、何言ってるんすか?! オレのことより、あんたはどーするつもりなんすか!! まずは自分のことを、ちょっとは考えて下さいよ!! 中学卒業は?! 自分の料理人修行は?!」
「うん♪」
あゆは、からりと、爽快に笑った。
「あゆもやっと、自分の人生というやつを自分で選択して、生きてゆく気になってきた。一色のいい影響のおかげだ。というわけで、ブラジル行きの豪華客船に乗ろう♪」
「はぁッ?」
「ほんの大西洋の対岸だ。サンパウロもおいしい街らしいし、訪ねよう。アマゾンのどっかでは、むかーしむかしにあるぜんちな丸とかいう船で渡った親戚の孫が農場やってるそうだし、訪ねよう。暑いとこばっかじゃなくて、ブラジリアは涼しくていいとこだっていうから、訪ねよう。とーちゃんももしかしたら、来年はブラジルに行けってJICAにゆわれるかもしれないっていうし♪ 訪ねよう」
「――って?!」
「サファイア・プリンセス号。世界一周クルーズ中の船で、オーストラリア船籍で、ちょうどギニア湾沖にきてて、募集してたんだ。あゆはもう、キッチン・スタッフの試験を受けに行って、面接も実技も、ぱすしたのだ。お前は伊太郎の推薦状と、あゆの口添えっていうのか~? そんなんで、コネ合格だ♪ 世界をまたにかけ、料理修行に出発だ~、お~!」
勝手に拳を握ってゴーのポーズ。
「はぁぁぁぁあッ?! じょっ! じょーだんじゃねぇ!! 勝手に人の進路を決めんなぁッ!! オレはフランスに、パリに帰るんだよッ!!」
「え~~~~っ……?」
あゆは、目に見えてしょぼんとなった。
「つーかあんた、いちいち考えることが飛んでもなさすぎなんだよッ!!」
京旗は動揺しまくっていた。自分があゆの将来を考えてやっているつもりが、逆転ホームラン的にひっくり返されてしまったからだ。いくらあゆがいい方向に向いてくれたといっても、これでは……
あゆは、がくーんと首を落としてうつむいていた。
料理修行は学校に限らないし、日本の調理師専門学校に行くんじゃなければ中学卒業なんてしなくてもいいのにぃ~。と、しょげる声が細い。
あ、あ、あ、動転したとはいえ、ちょっと言い過ぎだったか?と京旗が慌てた瞬間。
「えーと、こほん」
あゆは堪えた様子もなく、首を起こすと、わざとらしい咳払いをした。次に言った言葉は、ちょっと作り声で、女の子っぽく、
「京旗? たまにはおねーちゃんのゆーこと、聞きなさい?」
「…………はいぃぃいいいい?!」
アゴがはずれるほど、かっくんと口を開ける京旗。
してやったり、とあゆがニッと笑った。
「なななな、な――!!」
――なんであゆサンが、知ってるんすか!!
「言わないって、言ったじゃないすか!」
京旗は竹邑に噛みつかんばかりに振り向いていた。くぷぷぷぷ、と二人のやりとりを見守りながら笑いだしていた竹邑は、正直な顔で、
「言ってないよ?」
「…………!?」
竹邑の目はまっすぐで、疑われると困っちゃうなあ、と言っていた。
「すまん、伊太郎から聞いていたのだ~、実は~」
へらり、とあゆが笑う。
「い、い、い、いつから、知って……?」
てへへ、とあゆは笑った。
「最初からっ♪」
――こんのっ、クソ女っ!! あんの、クソ料理人ッ!!
京旗は心の底から呪詛を叫んだ。
――ついでにマドモアゼル・ショコラもアグーチオヤジも、でぇっきれぇだぁぁああああッ!!
黒いぴかぴかのルノーが走る。
ダメジャンへ向かう、コンクリート舗装の国道一号線。――といっても、国道は南北に国を貫くこの幹線道路一本しか、まだ、整備されていないのだが。
それだけに快適な、まっすぐ続く立派な道。首都へは三時間弱で帰れる。
秘書官は、ちらりと横を見た。
顧問が、髭をなでなで、満足な顔で車窓からバナナ農園や綿花の畑を眺めている。
「顧問……。国会で、どう言いわけをするんです?」
彼の頭の中では、今回、アフリカ担当大統領顧問室として歳費に計上しなければならない出費の額のデカさが、ぐるぐると回っていた。
なんのことです?とは、レミュール顧問は聞き返さなかった。にっこりと笑い、
「機密費ですよ。あくまでも秘密に、有事に備えて抜き打ちの演習をしてもらっただけですから。――私の担当するアフリカにおいて、ね」
ぴくぴくぴく、と、秘書官の額に、青筋が立った。
理由が理由だったにしても、あれはやりすぎだろう!!
顧問も身を投げうって迫真の演技をしたのだし、自分も応援していたが、後半は、本当に気が気でなかった。
「チョコレート作戦」と名付けられ遂行された今回の演習では、事前に、事故や誤認誤射がおきないよう市民は全て避難させてあり、人の命にはひとっつも損害を与えなかったとはいえ……!!
顧問の茶目っ気のおかげで、事前に予定されていたより一段と派手に計画変更されていて、時間も、展開した車両や航空機の数も、人員の数も、何より弾薬の量も……!!
「顧問! 実はあなた、今回、とってもストレスを溜めていたでしょう!!」
「おや、バレましたか?」
ほっほっほ、と顧問は笑った。暴れるに暴れられなかったストレスを、ワール国駐屯軍をおもちゃの兵隊のように動かして最後に解消したと認めて、悪びれもしない。
「ああ……できることなら、ギニア湾にシャルル・ド・ゴールを浮かべてもみたかった……」
とんでもないことを言ってため息をつき、遙かな空へと遠い目を向けたりまでする。
「あんなの、一ナノメートルでも動かしたら機密費が顧問室ごと吹っ飛びます!」
あゆは京旗でなく、めいあに向かって手を合わせ、謝っていた。一緒にフレンチスクールへ行こうね~、と言っためいあに向かっての謝罪。
「って? え?」
はた、と京旗が状況に気がつく。
そのとき、あゆがまっすぐ京旗を見た。
「一色の仕事に、あゆはカンドーしたッ!!」
「……は?」
「あゆは実は、ものすごーく一色にカンドーをもらった。頂いた!」
「は、はい?」
「それでな、あゆはやっぱり、一色は料理人になるのがいいと思う。応援したいんだ」
「なななな、何言ってるんすか?! オレのことより、あんたはどーするつもりなんすか!! まずは自分のことを、ちょっとは考えて下さいよ!! 中学卒業は?! 自分の料理人修行は?!」
「うん♪」
あゆは、からりと、爽快に笑った。
「あゆもやっと、自分の人生というやつを自分で選択して、生きてゆく気になってきた。一色のいい影響のおかげだ。というわけで、ブラジル行きの豪華客船に乗ろう♪」
「はぁッ?」
「ほんの大西洋の対岸だ。サンパウロもおいしい街らしいし、訪ねよう。アマゾンのどっかでは、むかーしむかしにあるぜんちな丸とかいう船で渡った親戚の孫が農場やってるそうだし、訪ねよう。暑いとこばっかじゃなくて、ブラジリアは涼しくていいとこだっていうから、訪ねよう。とーちゃんももしかしたら、来年はブラジルに行けってJICAにゆわれるかもしれないっていうし♪ 訪ねよう」
「――って?!」
「サファイア・プリンセス号。世界一周クルーズ中の船で、オーストラリア船籍で、ちょうどギニア湾沖にきてて、募集してたんだ。あゆはもう、キッチン・スタッフの試験を受けに行って、面接も実技も、ぱすしたのだ。お前は伊太郎の推薦状と、あゆの口添えっていうのか~? そんなんで、コネ合格だ♪ 世界をまたにかけ、料理修行に出発だ~、お~!」
勝手に拳を握ってゴーのポーズ。
「はぁぁぁぁあッ?! じょっ! じょーだんじゃねぇ!! 勝手に人の進路を決めんなぁッ!! オレはフランスに、パリに帰るんだよッ!!」
「え~~~~っ……?」
あゆは、目に見えてしょぼんとなった。
「つーかあんた、いちいち考えることが飛んでもなさすぎなんだよッ!!」
京旗は動揺しまくっていた。自分があゆの将来を考えてやっているつもりが、逆転ホームラン的にひっくり返されてしまったからだ。いくらあゆがいい方向に向いてくれたといっても、これでは……
あゆは、がくーんと首を落としてうつむいていた。
料理修行は学校に限らないし、日本の調理師専門学校に行くんじゃなければ中学卒業なんてしなくてもいいのにぃ~。と、しょげる声が細い。
あ、あ、あ、動転したとはいえ、ちょっと言い過ぎだったか?と京旗が慌てた瞬間。
「えーと、こほん」
あゆは堪えた様子もなく、首を起こすと、わざとらしい咳払いをした。次に言った言葉は、ちょっと作り声で、女の子っぽく、
「京旗? たまにはおねーちゃんのゆーこと、聞きなさい?」
「…………はいぃぃいいいい?!」
アゴがはずれるほど、かっくんと口を開ける京旗。
してやったり、とあゆがニッと笑った。
「なななな、な――!!」
――なんであゆサンが、知ってるんすか!!
「言わないって、言ったじゃないすか!」
京旗は竹邑に噛みつかんばかりに振り向いていた。くぷぷぷぷ、と二人のやりとりを見守りながら笑いだしていた竹邑は、正直な顔で、
「言ってないよ?」
「…………!?」
竹邑の目はまっすぐで、疑われると困っちゃうなあ、と言っていた。
「すまん、伊太郎から聞いていたのだ~、実は~」
へらり、とあゆが笑う。
「い、い、い、いつから、知って……?」
てへへ、とあゆは笑った。
「最初からっ♪」
――こんのっ、クソ女っ!! あんの、クソ料理人ッ!!
京旗は心の底から呪詛を叫んだ。
――ついでにマドモアゼル・ショコラもアグーチオヤジも、でぇっきれぇだぁぁああああッ!!
黒いぴかぴかのルノーが走る。
ダメジャンへ向かう、コンクリート舗装の国道一号線。――といっても、国道は南北に国を貫くこの幹線道路一本しか、まだ、整備されていないのだが。
それだけに快適な、まっすぐ続く立派な道。首都へは三時間弱で帰れる。
秘書官は、ちらりと横を見た。
顧問が、髭をなでなで、満足な顔で車窓からバナナ農園や綿花の畑を眺めている。
「顧問……。国会で、どう言いわけをするんです?」
彼の頭の中では、今回、アフリカ担当大統領顧問室として歳費に計上しなければならない出費の額のデカさが、ぐるぐると回っていた。
なんのことです?とは、レミュール顧問は聞き返さなかった。にっこりと笑い、
「機密費ですよ。あくまでも秘密に、有事に備えて抜き打ちの演習をしてもらっただけですから。――私の担当するアフリカにおいて、ね」
ぴくぴくぴく、と、秘書官の額に、青筋が立った。
理由が理由だったにしても、あれはやりすぎだろう!!
顧問も身を投げうって迫真の演技をしたのだし、自分も応援していたが、後半は、本当に気が気でなかった。
「チョコレート作戦」と名付けられ遂行された今回の演習では、事前に、事故や誤認誤射がおきないよう市民は全て避難させてあり、人の命にはひとっつも損害を与えなかったとはいえ……!!
顧問の茶目っ気のおかげで、事前に予定されていたより一段と派手に計画変更されていて、時間も、展開した車両や航空機の数も、人員の数も、何より弾薬の量も……!!
「顧問! 実はあなた、今回、とってもストレスを溜めていたでしょう!!」
「おや、バレましたか?」
ほっほっほ、と顧問は笑った。暴れるに暴れられなかったストレスを、ワール国駐屯軍をおもちゃの兵隊のように動かして最後に解消したと認めて、悪びれもしない。
「ああ……できることなら、ギニア湾にシャルル・ド・ゴールを浮かべてもみたかった……」
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