聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ

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第一章

12

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 この場の空気が険悪になってると、気不味そうに聖職者の服を着た男性が近付いてくる。

「あの~、準備が整ったのですが洗礼を行っても宜しいでしょうか?」

「あぁ、空気が悪くて済まないね。始めてくれ」

 う~ん。

 聖職者の階級ってどんなだったかな?

 司祭が一般の聖職者で、その上が司教だっけ?

 神父も居るよね?

 他の宗教?

 それとも司教より上の立場を神父って言うの?

 分からない………

 今の私は喋れないから問題ないかな?

 周りの様子を見てたらわかるよね?

 神殿の中に入るとステンドグラスに光が当たり、とても神秘的な風景で圧倒される。

「お待ちしておりました。聖女様、ジェイミー殿下、本日はおめでとう御座います。お2人のご息女の洗礼に携わる事が出来るこの日を待ちわびておりました」

「司教様大袈裟ですよ。あまり期待し過ぎだら娘が可哀想です。私は聖女ですけど、娘は何の取り柄もない普通の娘でしょうから、この子にプレッシャーを与えないであげて欲しいです」

 お母さんの言葉でこの場が一瞬でピリッとする。

 お父さんは深く頷いてるけど、他の人達は不愉快に感じたのか険しい顔をする。

 確かにお母さんの発言は色々と問題だよね。

 周りに期待されすぎて、潰れてしまわないか心配してるようにも聞こえるけど、自分と違って子供には価値がないって言ってるようにも聞こえる。

 お母さんが私に関心があるとは思えないから、絶対に後者だよね。

 お母さんって絶対に周りにマウントをするタイプだよね。

 聖女って身分がお母さんを付け上がらせてる気がする。

 この人を見てると、この人の他の子供たちが心配になる。

 兄か姉か分からないけど3人いるらしいから、その子達の精神面が心配になる。

 私みたいに転生者なら諦めることも出来るけど、普通の子供だったら母親を求めるよね?

 母親の愛情が欲しいのに、子供に愛情を持てないこの人が親では可哀想過ぎる。

 そう考えると、私は前世の記憶を持ったまま転生して良かった。

「ご息女がどんな能力を持ってるかは、神のみぞ知ってることですから、諦めるのはまだ早いですよ。それでは洗礼を始めましょうか」

 司教様は雰囲気を変える為に、明るく提案をしてくれる。

 この人とても良い人だ。

 多分ここにいる聖職者の中で一番偉い人だよね?

 ファンタジーとかで聖職者が出てくるけど、司教様の性格って2パターンに分類される気がする。

 神様に一生を捧げて神様の下僕になってる人と、神様の名前を使って金儲けや人を操ったりする人のイメージがある。

 この人は絶対に良い人だよね。

「洗礼ってどんな事をするんですか~、時間掛かったりするの?」

「聖女様もこの世界に来た時にしたと思いますが、泉に体を沈めるんです」

「あぁ~、覚える。とても綺麗な泉だよね。あれ以来1度も行ってないけど、まだ見れるなんて嬉しい~」

 泉に体を沈めるの!?

 まさか1人でじゃないよね?

 ミリーに抱っこをされながら、私達はどんどん神殿の奥に進むと、部屋の中に泉があった。

 部屋の中に何で泉があるの?

「それでは姫様だけをこの泉に入れて手を離してください」

「だ、大丈夫何ですか!?姫様は泳げませんので、補助がないと溺れてしまいます!!」

「大丈夫ですよ。この泉は特別なんです。この泉で王族が死ぬことは絶対にありません。ですから安心して姫様を泉に入れてください」

「………はい」

 〝はい〟じゃないから!!

 溺れるって!!

 まだ死にたくない!!

『ばぁ~~~、いにゃ~~』

 必死にミリーにしがみ付いて抵抗をする。

「姫様」

 ミリーは私の悲痛な叫びに動揺をする。

 私を絶対に離さないで~

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