20 / 143
第一章
19
しおりを挟むリリヤside
私は気が付いたら前世で好きだった乙女ゲームのヒロインに転生していた。
前世の記憶を持って生まれ変わったことに気が付いたのは5歳のときだった。
転んで石に頭をぶつけて、気を失って目を覚ましたときには全て思い出していた。
転生あるあるよね。
この世界が私が好きだった乙女ゲームの中だって気が付いたのは、パパとママが亡くなって公爵家に行ってからだった。
悪役令嬢のイリーナ、攻略対象のセミュン、もう一人の攻略対象である二人の父親であるイワンを見たからだった。
セミュンは他の攻略対象を攻略しないと落とすことが出来ないキャラ、イワンはセミュンを攻略して、イリーナと友情エンドを1度しないと攻略ができない。
イリーナの友情エンドは難しくないけど、セミュンを落とすのは難しいのよね。
ちょっとでも選択を間違ったり、イリーナよりもちょっとでも能力が低かったらバットエンド、他のキャラはそれぞれの分野があり、その分野の能力がイリーナより上だったら攻略できる。
分野は5つに分かれていて、ダンス、知力、武力、マナー、美貌
5つ全てを均等に育ててイリーナより上なのは鬼畜仕様よね。
イワンを攻略する時もセミュンと同じで、能力が全てイリーナより上なのは絶対条件で、それプラス他の攻略キャラに口説かれてはいけない。
少しでも1つのパラメーターが上だったら、他のキャラに口説かれてしまう。
私がこのゲームを始めたのは開始してから半年後だったから、ある程度攻略法が出た後だった。
だからパラメーターを気にすればそこまで苦労しなかったけど、攻略法がない時にクリアした人は凄いわよね。
セミュンのは全てのパラメーターをイリーナ以上にするのは予想できるけど、イワンを攻略するときに、他の攻略キャラに口説かれないなんて予想できないわよ。
全てのキャラクターの攻略をさせるぐらいこの世界が好きだったから、神様は私をこの世界に転生させてくれたのかな?
でも亡くなった時の記憶がないのよね?
何歳で亡くなったのかも分からない
まぁ、事故で亡くなったのか病気で亡くなったのか知らないけど、苦しかったことや辛いことは思い出さないほうが、精神衛生上良いわよね。
私がこの世界のヒロイン!!
私のために用意された世界よね。
だけどこのゲームで気に入らない所もあるのよね。
何で悪役令嬢が悪役令嬢じゃないのよ!!
悪役令嬢なのに、性格が良くて優秀で周りから慕わられてるなんて設定は要らないのよ!!
悪役令嬢なら性格悪くてザマァした時にスッキリしないと駄目じゃない。
このゲームでも最後は悪役令嬢を排除するために、私を蔑ろにしたからって理由で公爵家が没落するけど、殆どのユーザーが納得してなかったのよね。
悪役令嬢が可哀想過ぎるって言われていた。
ヒロインより悪役令嬢の方が人気だったのよね。
ヒロインと悪役令嬢の容姿も問題だったのよ。
ヒロインはスタイル抜群で妖艶な容姿で、悪役令嬢は小柄で守ってあげたくなる容姿だった。
絶対にヒロインと悪役令嬢の容姿は逆よね。
多くのユーザーの希望でアナザーストーリーで、悪役令嬢が主役のシナリオが追加されていた。
私は興味がなかったからやらなかったのよね。
全くシナリオが分からないけど、この世界の主人公は私で間違いないはず、だって本編通りに進んでるもの
悪役令嬢を破滅させたいな~
悪役令嬢は最終的に惨めな思いをして欲しいのに、最後まで家族に愛されて守られてる設定だった。
セミュンとイワンを攻略した時は、悪役令嬢は王太子妃になって、私は攻略キャラと幸せになって終わり。
私はそれじゃあ満足出来ない。
でも今は私がヒロインなんだから何でも出来るわよね。
悪役令嬢に虐められてるように装う事も出来る。
周りに悪役令嬢が性格悪い傲慢な令嬢だって思われたら、私の事を可愛がる人が増えるはず、イワンとセミュンも含めた攻略キャラ全員を逆ハーレム状態にする事も出来たりして!!
今は二人は私に冷たいけど、きっと私を愛するはずよ。
だって私はこの世界の主人公なんだから!!
903
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる