【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

文字の大きさ
46 / 143
第二章

しおりを挟む

 レイチェルがこの国に来るためにお兄様と婚約したのは理解したけど、何でお兄様を選んだのか疑問なのよね。

「レイチェルは何でそんなにあの学園に入りたかったの?確かにあそこはレベルの高い教育をするから、就職に有利だったりするみたいだけど、それはこの国での話だから隣国ではあまり意味ないよね?それに第3王女なら就職のことを考える必要は無いでしょうし」

 国として発展が遅れてるなら、技術とかを学ぶために留学はありだろうけど、隣国はこの国とそんなに違いはないはず

 箔をつける為とか?

 私達の国で高位貴族があそこの学園を選ぶのは、自分たちが優秀な人物だと証明するための手段になっている。

 でも隣国で自慢になるか疑問よね。

 自分の国のことならどれぐらい凄いのか分かるだろうけど、隣国の人達がどれぐらい理解できるのかも疑問よね。

 あの学園にわざわざ他国から留学してくる人なんて滅多に居ないから、分かってもらえるとは思えないのよね。

「表向きは国のためにこの国の人達と交流を持ちたいからって言ったよ。でも本心は自分の目で乙女ゲームの世界を見たかったからだよ。運命的に私は乙女ゲームの本編が始まる時期に学園に入れる年齢だったから、これは何が何でも行くしかないよね」

 この子は転生しても全然変わらないわね。

 興味を1度持ったら、危険だったとしても無茶な行動をしようとする。

 本人はそれで満足かもしれないけど、家族である私達はすごく心配してるのに

「入学時期を1年遅らせたのはわざとなの?」

「それはお父様の説得に時間がかかったからだよ。でも結果的に考えたらヒロインと同じ学年になれるからラッキー?」

「本人が入学してくるかもわからないけどね。流石に修道院に入れられてるんだから無理じゃないかしら?」

 お祖母様の話では結構厳しい修道院に入れたって話だから、簡単には出てこれないと思うけど?

「だからお姉ちゃんは甘いんだよ。絶対に私は出てくると思うよ。お姉ちゃんの話を聞いてる感じ、ヒロインちゃんは黙ってそのまま退場するとは思えないもん」

 うーん、私的にはレイチェルの予想が外れてる方が有り難いんだけどな。

 またあの子と関わるって考えたら面倒臭い。

 あの子が出て行ってから色々と大変だったんだよね。

 お母様とリリヤを追い出したら問題ないと思ってたんだけど、一部の使用人たちがあの子が居なくなってから、抜け殻のようになったり暴れたりしていたのよね。

 精神的におかしくなってしまったみたいだから、そういう人たちが集まる施設に入れるしかなくなったけど、あれはリリヤと関係あるのかしら?

 もしそうならリリヤはどうやってあんな状態にしたの?

 薬物中毒者に似てるけど、使用人から薬物反応は出て来なかった。

 考えても分からないものはどうしようもないわよね。

「レイチェルは何でお兄様を選んだの?第3王女ならこの国の王太子様だって狙えたよね?ゲームをしてた時は王太子様に夢中だったのに」

「あれはゲームだから良いんだよ。実際に結婚相手が俺様なんて絶対に無理、それにゲームの中のミハイル様って、ヒロインとその他では態度が結構違ったでしょ?」

「そうだっけ?」

 イリーナにとても冷たい印象はあるけど、他の人にも冷たい印象はなかったな。

 でも傲慢なところはあった気もする?

「そうなんだよ。自分がヒロインの立場になれるならまだいいかもしれないけど、………それでも無理かも。自分の好きな人に冷たいとか幻滅しかない」

「王太子様が無理なのはわかったけど、お兄様を選んだ理由は?」

「お姉ちゃんはどうしてもそこが気になるんだね?」

「だって自分の家族のことは心配になるわよ。貴女がいい加減な気持ちでお兄様を選んだとは思えないけど、もしもこの国に来るためだけに適当に選んだとか言われたら、ちょっと複雑な気分になるわ。お兄様には幸せな結婚してもらいたいからね」

 お兄様は公爵家の跡取りとして毎日を重圧の中で頑張ってる、当主になったらその重圧はもっと重くなるわよね?

 だからこそお兄様の奥さんになる人には、お兄様の心休まる居場所になって欲しい。

 私のお母様だった人はそれが出来ていたとは思えないけど

「私がセミュンを選んだのは家族思いだったからだよ。日本に居た時はそれが普通だったけど、この世界で生活してからそれは当たり前じゃないって思ったの。セミュン様なら理想の家族になれる気がするんだ」

「確かにそうね。私の家はとても仲が良いけど、基本的に貴族の家は冷たい印象があるわね。表では仲良くしてるけど、裏では会話もまともにしないところもあるわ」

「私は遅くに生まれた娘だから可愛がられた。だけどお兄様達やお姉様達は厳しく育てられていたの…………、お兄様達とお父様達は上司と部下みたいな関係だったんだ。お兄様達が厳しくされたのは期待されてるからかもしれないけど、私にはとても見てて耐えられなかった」

 前世の記憶がなかったら気にならなかったかもしれないけど、前世の記憶があるレイチェルには辛かったかもしれないわね。

 自分だけが甘やかされてることも辛い要因になってるかもしれない、私なら罪悪感と自分は期待されてないっていう絶望が同時に来ると思う。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる

冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」 謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。 けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。 なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。 そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。 恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

処理中です...