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第三章
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しおりを挟む食堂に行くと、お父様とお兄様はもうご飯を食べ始めていた。
「おはようございます」
「おはよう。制服が似合ってるな」
「お父様ありがとうございます。大人っぽいですか?」
私はその場でクルッと回って、お父様達に制服姿を見せる。
「小さい頃はお父様と結婚するって言ってたイリーナが、こんなに立派な淑女に成長したなんて、嬉しいような寂しいような気分だな」
えっ!?
私って小さい頃にそんな事を言ってたの?
お父様が妄想話なんてするわけないから、これって絶対に本当の話よね?
記憶に全く無いけど………、
「いやいやいや!!父上と結婚するって言うよりもずっと前に、イリーナは兄たまと結婚するって言ってた!!」
「そういう時期もあったが、最終的には私と結婚するって言ってたから、イリーナの1番は私だな」
何を競ってるの?
私自身が覚えてないような昔の話で争わないでよ。
この場に私達家族と使用人だけだけど、かなり恥ずかしいわ。
使用人達は私達家族を微笑ましそうに見ているのが、余計に私の羞恥心を刺激してくる。
「もう止めてください!!」
お父様達が離婚するまで気が付かなかったけど、お父様とお兄様って親バカとシスコンよね?
前はこんなにベタベタして来なかったのに、何が2人をここまで変えたのかしら?
私が座ると、使用人達がすぐに朝食を並べていく。
「お嬢様、本日は何がよろしいですか?」
「うーん、緊張してあまり食欲がないから、フルーツが多めが良いかな?」
「畏まりました」
すぐに私の前に、小さいパン1つと小盛りの温野菜とスープと沢山のフルーツが並べられた。
私は生野菜が苦手だから、野菜はいつも温野菜やスープに入れてくれる。
あのシャキシャキした食感が苦手なのよね。
レタスはギリギリ食べられるけど、濃いドレッシングがないと食べられない。
お父様達が何を食べてるのか確認すると、お父様は魚のムニエルとパンとスープ、お兄様は大きいステーキとパンとサラダとスープだった。
改めて考えると凄いわよね。
家族全員がメニューが違うのに用意されてるなんて、シェフ達が毎回色々な種類を作って、選ばれなかったものは使用人達の朝食になる。
お父様のお祖父様は兄弟が多くて、皆が偏食家だったから、この形になったって教えてもらったことがある。
私も小さい頃は食が細いせいで、シェフ達は私にいっぱい食べさせるのに苦労をしていた。
………だから私は今も小さいのかしら?
私の母親だった人は、私の倍は食べてた気がするけどそれは大人だからだよね?
もう少し食べるようにしたら、今からでも伸びるかしら?
「学園に行く前にお父様に確認しておきたいことがあるんですけど」
「なんだい?」
「第2王子と同じクラスになったらどうすれば良いですか?」
「どうするとは?」
何時ものお父様なら察しが良いのに、何で今回は察してくれないの!!
「友人として親しい関係になって良いかです。ただのクラスメイトとして、一定の距離を保ったほうが良いのですか?」
私の質問にお父様は何故かホッとした様子だった。
「なんだそう言うことか……、イリーナが婚約者候補として、近付くのか聞いてきたのかと思ったぞ」
「そんなわけないじゃないですか。第2王子には悪いですが、色々と厄介な問題が多い方の婚約者はお断りしたいですわ。平和が1番ですから」
もしも第2王子の存在が世間にバレて、王位争いに巻き込まれたら面倒よ。
本人にそのつもりは無かったとしても、周りが勝手に担ぎ上げることはよくあることだもの。
私みたいな王太子様の元婚約者候補が、第2王子の婚約者になったら争いにしかならないもの。
第2王子がどんな人物か知らないけど、もしも性格に問題ないなら、ミハイル様よりも第2王子に王様になって欲しいですけどね。
「今の我が家は中立派だから第2王子と仲良くなっても問題ない。私としてはユーリが国王になってくれたら良いんだけど、あいつは嫌がってるからな」
「そうなんですか?」
「本人が言ってたからな。国王になるより甥たちの補佐をするほうが良いって、本人が嫌がるなら仕方ないからな」
そっか…………
ならミハイル様がこのまま国王になるか、第2王子が国王になるかのどちらかよね。
「ミハイル様が国王になるのは難しくないですか?あの方が国王になったら暴君になる未来しか想像できません、今の時代が他国と争ってる時なら頼もしいかもしれませんが、平和な時代が続いてる今は不安要素しかない」
確かに暴君の王は良いイメージが無いけど、他国と争ってる時なら頼もしいかも?
うーん、争ってる時でも王様が暴君は嫌かも…………、
そんな人の下で働くのは不安しかない。
気に入らないことがあったら、すぐに殺されるイメージしか浮かばない。
ミハイル様が国王になっても、第2王子が国王になっても不安しかない。
だって第2王子が立派な人でも、急に存在を明かされて王族だって言われても、大抵の貴族は反感を買うわよね?
王族に相応しい教育をされてきたって言われても、私達には実際にどうなのか分からないですし、本当に王として相応しいか判断のしようがない。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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