【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

文字の大きさ
65 / 143
第三章


 食堂に行くと、お父様とお兄様はもうご飯を食べ始めていた。

「おはようございます」

「おはよう。制服が似合ってるな」

「お父様ありがとうございます。大人っぽいですか?」

 私はその場でクルッと回って、お父様達に制服姿を見せる。

「小さい頃はお父様と結婚するって言ってたイリーナが、こんなに立派な淑女に成長したなんて、嬉しいような寂しいような気分だな」

 えっ!?

 私って小さい頃にそんな事を言ってたの?

 お父様が妄想話なんてするわけないから、これって絶対に本当の話よね?

 記憶に全く無いけど………、

「いやいやいや!!父上と結婚するって言うよりもずっと前に、イリーナは兄たまと結婚するって言ってた!!」

「そういう時期もあったが、最終的には私と結婚するって言ってたから、イリーナの1番は私だな」

 何を競ってるの?

 私自身が覚えてないような昔の話で争わないでよ。

 この場に私達家族と使用人だけだけど、かなり恥ずかしいわ。

 使用人達は私達家族を微笑ましそうに見ているのが、余計に私の羞恥心を刺激してくる。

「もう止めてください!!」

 お父様達が離婚するまで気が付かなかったけど、お父様とお兄様って親バカとシスコンよね?

 前はこんなにベタベタして来なかったのに、何が2人をここまで変えたのかしら?

 私が座ると、使用人達がすぐに朝食を並べていく。

「お嬢様、本日は何がよろしいですか?」

「うーん、緊張してあまり食欲がないから、フルーツが多めが良いかな?」

「畏まりました」

 すぐに私の前に、小さいパン1つと小盛りの温野菜とスープと沢山のフルーツが並べられた。

 私は生野菜が苦手だから、野菜はいつも温野菜やスープに入れてくれる。

 あのシャキシャキした食感が苦手なのよね。

 レタスはギリギリ食べられるけど、濃いドレッシングがないと食べられない。

 お父様達が何を食べてるのか確認すると、お父様は魚のムニエルとパンとスープ、お兄様は大きいステーキとパンとサラダとスープだった。

 改めて考えると凄いわよね。

 家族全員がメニューが違うのに用意されてるなんて、シェフ達が毎回色々な種類を作って、選ばれなかったものは使用人達の朝食になる。

 お父様のお祖父様は兄弟が多くて、皆が偏食家だったから、この形になったって教えてもらったことがある。

 私も小さい頃は食が細いせいで、シェフ達は私にいっぱい食べさせるのに苦労をしていた。

 ………だから私は今も小さいのかしら?

 私の母親だった人は、私の倍は食べてた気がするけどそれは大人だからだよね?

 もう少し食べるようにしたら、今からでも伸びるかしら?

「学園に行く前にお父様に確認しておきたいことがあるんですけど」

「なんだい?」

「第2王子と同じクラスになったらどうすれば良いですか?」

「どうするとは?」

 何時ものお父様なら察しが良いのに、何で今回は察してくれないの!!

「友人として親しい関係になって良いかです。ただのクラスメイトとして、一定の距離を保ったほうが良いのですか?」

 私の質問にお父様は何故かホッとした様子だった。

「なんだそう言うことか……、イリーナが婚約者候補として、近付くのか聞いてきたのかと思ったぞ」

「そんなわけないじゃないですか。第2王子には悪いですが、色々と厄介な問題が多い方の婚約者はお断りしたいですわ。平和が1番ですから」

 もしも第2王子の存在が世間にバレて、王位争いに巻き込まれたら面倒よ。

 本人にそのつもりは無かったとしても、周りが勝手に担ぎ上げることはよくあることだもの。

 私みたいな王太子様の元婚約者候補が、第2王子の婚約者になったら争いにしかならないもの。

 第2王子がどんな人物か知らないけど、もしも性格に問題ないなら、ミハイル様よりも第2王子に王様になって欲しいですけどね。

「今の我が家は中立派だから第2王子と仲良くなっても問題ない。私としてはユーリが国王になってくれたら良いんだけど、あいつは嫌がってるからな」

「そうなんですか?」

「本人が言ってたからな。国王になるより甥たちの補佐をするほうが良いって、本人が嫌がるなら仕方ないからな」

 そっか…………

 ならミハイル様がこのまま国王になるか、第2王子が国王になるかのどちらかよね。

「ミハイル様が国王になるのは難しくないですか?あの方が国王になったら暴君になる未来しか想像できません、今の時代が他国と争ってる時なら頼もしいかもしれませんが、平和な時代が続いてる今は不安要素しかない」

 確かに暴君の王は良いイメージが無いけど、他国と争ってる時なら頼もしいかも?

 うーん、争ってる時でも王様が暴君は嫌かも…………、

 そんな人の下で働くのは不安しかない。

 気に入らないことがあったら、すぐに殺されるイメージしか浮かばない。

 ミハイル様が国王になっても、第2王子が国王になっても不安しかない。

 だって第2王子が立派な人でも、急に存在を明かされて王族だって言われても、大抵の貴族は反感を買うわよね?

 王族に相応しい教育をされてきたって言われても、私達には実際にどうなのか分からないですし、本当に王として相応しいか判断のしようがない。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

【完結】無関心夫の手を離した公爵夫人は、異国の地で運命の香りと出会う

佐原香奈
恋愛
建国祭の夜、冷徹な公爵セドリック・グランチェスターは、妻セレスティーヌを舞踏会に残し、早々に会場を後にした。 それが、必死に縋り付いていた妻が、手を離す決意をさせたとも知らず、夜中まで仕事のことしか考えていなかった。 セドリックが帰宅すると、屋敷に残されていたのは、一通の離縁届と脱ぎ捨てられた絹の靴。そして、彼女が置いていった嗅いだことのない白檀の香りだけだった。 すべてを捨てて貿易都市カリアへ渡った彼女は、名もなき調香師「セレス」として覚醒する。 一方、消えた妻を追うセドリックの手元に届いたのは、かつての冷たい香りとは似て非なる、温かな光を宿した白檀の香水。 「これは、彼女の復讐か、それとも再生か——」 執念に駆られ、見知らぬ地へ降り立った公爵が目にしたのは、異国の貿易王の隣で、誰よりも自由に、見たこともない笑顔で微笑む「他人」となった妻の姿だった。 誤字、修正漏れ教えてくださってありがとうございます!

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

【完結】何でも欲しがる妹?お姉様が飽き性なだけですよね?

水江 蓮
ファンタジー
「あれは…妹が…アンリが欲しがったから…渡すしかなかったんです…。お父様、新しいドレスをお願いします。ドレスも宝石も欲しいと言われたら…姉として渡すしかなくて…」 お姉様は泣きながらお父様に伝えております。 いえ…私1つも欲しいなんて言ってませんよね? 全てはお姉様が要らなくなっただけですよね? 他サイトにも公開中。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです