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第三章
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そろそろリリヤにはこの場から離れて欲しいわね。
この子と仲良いなんて思われたら困るわ。
「王太子様がどのクラスに入られるかなんて、私には一切関係ないですわ。私は自分の将来のために特進クラスを選んだだけです」
「でも!!イリーナお姉様が一般クラスに居ないのはおかしい!!」
「貴女が何故そんな事を言うのか分かりませんが、私が決めたことに貴女が文句を言うのはおかしいですわ。それと2度と私をお姉様と呼ばないでください」
「何でそんな酷いことを言うの!!私はイリーナお姉様の妹よ。オリガお母様の娘になったのだから、そろそろ認めてくれても良いじゃない」
リリヤと話してると頭が痛くなってくる。
何で同じことを何度も言わないといけないの?
話が進まないじゃない。
「私は忠告しましたよ?もしもこのまま呼び方を変えないことで、貴女が危険な目に遭っても、我が家は一切関わりませんし、助けたりしませんので」
本当に面倒臭い。
ここで怒りに任せて暴言吐いたり、怒りに任せて暴力を振るったら私が悪いことになるのよね。
「脅すつもりなの!?私はイリーナお姉様と仲良くしたいだけなのに………」
リリヤは悲しそうに顔を俯かせるけど、顔がちょっと嬉しそうにニヤついている。
自分が思い描いた通りになったと思って喜んでるだろうけど、そうはさせないわよ。
「脅してるなんて人聞き悪いこと言わないでくれる?私は事実を言ってるだけよ。これから起きる可能性がある話をしてるのよ」
「だからそれが脅してるってことでしょ?私がイリーナお姉様の妹だと認めたくないから、お姉様って呼び続けるなら酷い目に遭わせるってことでしょ?」
「違うわよ。貴女を酷い目に遭わせるのは私ではなく、関係ない他の第三者よ。相手が誰かは私も想像できないわ」
貴族として生活してきたなら、ここまで言えば予想できるだろうけど、リリヤは理解出来るかしら?
「回りくどい事を言ってないでハッキリ言ってよ!!」
「ずっと貴族として生活してきた筈なのにわからないの?平和ボケし過ぎじゃないかしら?例えば公爵令嬢である私に対して、馴れ馴れしい貴女を許せない第三者が制裁を下す可能性があるでしょ?」
公爵家の私に近付きたい貴族なんて沢山いるのだから、馴れ馴れしいリリヤに対して許せないって思う人は結構いるはず。
しかも私が迷惑そうにしていたら、正義の鉄槌等と言って制裁する人が居てもおかしくない。
かなりの確率で現れると思うのよね。
そうなった場合は、リリヤの自業自得なのだから私は止めようとは思ってない。
「そしたらイリーナお姉様が止めてくれたら良いじゃない。だってイリーナお姉様のせいで私は虐められるかもしれないってことでしょ?」
「何故私が貴女を守らないといけないの?注意したのに呼び続ける貴女がイケないんでしょ?もしそうなったら貴女の自業自得よ」
私の横で黙って話を聞いてるエリーも隣で頷いてる。
普通に考えてそうよね?
なんかリリヤと話してると、私の常識がおかしいのかと思ってしまうわ。
「それと貴女が私をお姉様って呼んでると、我が家の関係者と思って誘拐されたり、危険な目に遭うかもしれないけど、もしそうなっても我が家は関与しませんから悪しからず」
リリヤが私をイリーナお姉様って呼んでると、かなりの確率でリリヤがお父様が外で作った妾の子だと思われるはず。
普通に考えて、離婚したことで私と絶縁した女の子供が、私を姉なんて言うはずないって思うわよね。
貴族は離婚した場合は相続関係で争わないで済むように、子供は親権を放棄した方とは絶縁をする。
たまに書類上だけで縁切りをしても、親しくしてる親子も居るけど滅多に居ないのよね。
離婚するってことは余程のことがあるってことですからね
リリヤがお父様の子供じゃないことは、調べれば違うってすぐに分かるけど、犯罪を犯す人が面倒臭いことをするか分からない。
調べたとしても仲いいと勘違いして、お金目当てで誘拐されることだってあるかもしれない。
「何でそんな酷いことを言うの?もしかしたらサフィナ公爵家のせいで、私が危険な目に遭うかもしれないんでしょ?だったら助けるのが普通でしょ?」
「何を言ってますの?貴女が私と関わらないで、お姉様呼びを止めたら良いだけのことでしょ?何で貴女の尻拭いを私達がしないといけませんの?」
「だったらイリーナお姉様の隣に居るその子が危険な目に遭っても助けないの!!そんなの冷酷よ!!」
何を言ってるのかしら?
リリヤとエリーではまず条件が違うじゃない。
「馬鹿ですの?貴女とエリーを一緒にしないでください。貴女は私にとって迷惑な相手だから放置しますけど、エリーは私が友達になりたいと思って自分から関わってるのだから、もしも私と関わったことでエリーが危険な目に遭うなら、助けるに決まってるじゃないですか」
何でこんな当たり前なことも分からないのかしら?
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