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第四章
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しおりを挟む私のすぐ横に来たユーリ様は、何故か私の肩を抱き寄せる。
「何か揉めてるようだけど、一体何があったのかな?」
『ユ、ユーリ様!?流石に発表前にこんなにベタベタするのは………』
コソッと小声でユーリ様を注意すると、ユーリ様は悪戯っ子のように私に笑いかけてくる。
「数分後には発表するんだから、ちょっとぐらい先にバレたって構わないよ。内緒にしてたのもミハイルに邪魔をされないようにするためだしね」
確かにそうなのかもしれない?
目の前にいるパトリシア様は、ユーリ様の突然の行動にビックリしたのか、口をポカンっと開けて呆然としている。
「お、お二人はどのような関係なのです。そんなに仲良かったなんて知りませんでしたわ」
「イリーナ嬢とは、つい最近縁があってとても仲良くさせてもらってるんだよ。彼女の父親は私の部下だから、彼女とは元々親しい関係ではあったからね」
うわぁ~、とても含みのある言い方。
勘がいい人は今の発言で全て把握してるわよね。
パトリシア様も察したのか、私とユーリ様を交互に見てから、苦々しい表情をしている。
ユーリ様は宰相だけあって、ちょっとした言い回しで匂わせたりするのが上手い。
私にはユーリ様の真似は絶対に出来ない。
公爵家の娘としてはあれぐらいは出来ないとイケないんだろうけど、私はこういう事が苦手なのよね。
私は会話はストレートな会話が好きだけど、貴族としてはそれでは駄目なのよね。
パトリシア様みたいに私を嫌ってる相手とは、出来るなら関わらずに生きてきたいけど、将来は大公夫人になるのだからそれでは駄目なのよね。
ユーリ様に背中を押されて、この場から離れようとすると、会場の扉が開いて王族の方々が入場してくる。
入ってきた人達を見て、私はビックリして目を見開いた。
王妃様と陛下の後ろにミハイル様が居て、ミハイル様はリリヤをエスコートをしていた。
よく見るとミハイル様の着ているものと、リリヤのドレスが所々がお揃いになっていた。
男女でお揃いのコーデを許されるのは、夫婦や婚約者だけと暗黙の決まりがあり、周りもミハイル様とリリヤのお揃いのコーデを見て騒ぎになる。
「ユーリ様………、あの2人が婚約したと聞いてますか?」
「イヤ………、そんな話は全く聞いてないね」
2人が独断でしたのかしら?
でも陛下達と一緒に入場したなら、2人の服装をみた陛下達が止めるわよね?
陛下と王妃様は2人の仲を認めたってこと?
「あの女は誰ですの………」
すぐ近くに居たパトリシアは、わなわなと体を震わせながらミハイル様とリリヤを睨みつける。
「彼女はテイラー伯爵令嬢よ。ミハイル様とは学園でとても仲良くしてるのを知ってましたけど、親公認の仲だとは初めて知りましたわね」
でも意外だったわね。
王妃様はマナーに厳しい人だから、リリヤみたいなタイプは毛嫌いしてると思ったのですけど?
それに2人の仲を認めてたとしても、まだ2人の婚約発表などしてないから、2人があんな格好をしてたら注意するはずなのに?
「王妃様らしくないですわね?王妃様達はミハイル様を見限ったのかしら?」
「どうだろうね?兄上が何か企んでるのは知ってたけど、こんな不誠実なことはしないと思ってたけど?ミハイルには婚約者候補がまだ居るのだから、もしも婚約者が決まったなら、他の候補者に知らせてるはずだけど………」
ユーリ様はそう言って、パトリシア様をチラッと確認をする。
そうよね…………、
パトリシア様の様子を見た感じは、そんな話は全く出でないみたいよね。
改めてリリヤとミハイル様を見ると、リリヤは勝ち誇った顔をしてミハイル様の腕に抱き着いている。
本人達がそれでいいなら勝手にすればいいけど、もしもそれで国が荒れたりしたら困るのよね。
リリヤが次期王妃になって、私に何もしてこないとは思えないのよね。
何故か私のことを目の敵にしてますし、もしかしたら私とユーリ様の結婚を邪魔するかもしれない。
リリヤは私にとって頭の痛い存在ね。
何であんなに私を敵対視するのかしら?
この世界が舞台になってる乙女ゲームを知ってるから、私を警戒してるのかもしれないけど、私は乙女ゲームの舞台から辞退してるんだから放置すれば良いのに
今の平和な生活を邪魔されるのは困るわ。
あの子が私の大切な人たちに関わらないのなら、あの子がミハイル様と結婚しようがどうでもいい。
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