そんなに私の婚約者が欲しいならあげるわ。その代わり貴女の婚約者を貰うから

みちこ

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 レオンの家から帰ってから直ぐにさり気なくマクミラン侯爵家の話をすると、信じられないことにお父様は忘れていた。

 マクミラン侯爵家からの縁談話を忘れるってどうなの?

 普通に考えてあり得ないわよね。

 エルガー家からの援助金に目が眩んでいたみたいで、私がマクミラン侯爵家の話をしたら、慌てて書斎に保管してあった手紙を読み直している。

「どうすれば良いんだ」

「正直にお断りのお返事をしたほうが良いんじゃないですか?あちらは私を希望してるみたいですけど、もうエルガー家との婚約話が決まってしまいましたから」

「断るなんて勿体ない。婚約が結ばれたら大金が手に入るんだぞ!!しかもエルガー家が出すと言ってる金額よりも多い」

 確かに手紙には、エルガー家が援助する予定の10倍以上の金額が書かれている。

 大金をチラつかせるって言ってたけど、おじ様ったらかなり奮発したわね。

 私の他に相応しい跡取りが居たなら、喜んで私を差し出していたんでしょうね。

 恐らくだけど、おじ様もこの金額なら私を差し出すかもしれないって思ってるかもしれないわね。

 この家はお金に困ってるから、喉から手が出るほど欲しいはず。

「エミリーをお嫁に出せば良い」

「だからそれは無理ですよ。何度言えば良いんですか!!エミリーでは侯爵夫人に相応しくありません」

「何故そんなにお前は意地悪ばかりを言う。エミリーはお前の妹なんだぞ。妹の幸せを考えられないのか」

 考えられるわけないじゃない。

 エミリーを可愛いって思える要素が1つもない。

 物心ついた時から、エミリーにはうんざりする事しかされてない。

 私の持ってるものを欲しがり、私が親しくしてる人を奪われて、好き勝手生きてるエミリーに好意なんて持てない。

「私はエミリーが恥をかかないように言ってるんです。今のエミリーが侯爵夫人になっても、周りから馬鹿にされるだけです。途中で婚約破棄なんてされたら、エミリーの嫁ぎ先が無くなったしまいますわ」

「何故お前は駄目になる前提で話す!!もしかしたら上手くいくかもしれないだろ。いや……、絶対に上手くいくに決まってる。エミリーは皆から愛される存在だ」

「いい加減に現実を見てください!!侯爵家の花嫁が見た目や愛嬌だけで選ばれるはずはありませんわ」

 もしもそれで選ばれるなら、ジェシカの姉であるアマーリア様が選ばれてるわよね。

 彼女は社交界で妖精姫って呼ばれている。

 アマーリア様はレオンより1つ年上で学園はもう卒業している。

 アマーリア様はレオンが小さい頃から好きで、小さい頃からレオンのお嫁さんになると言っていたらしい。

 大きくなってからは、自分では侯爵家の夫人にはなれないなら諦めたらしいけどね。

 アマーリア様はエミリーと同じように勉強が苦手で、マナーなどもギリギリ合格点を貰える感じらしい。

 公爵令嬢としてはちょっと問題ではあるけど、その代わりに人の心を惹きつけるのが上手い。

 自分の容姿や元々の性格を利用して、情報収集などに力を入れているとジェシカから聞いたことがある。

 エミリーとは違う点はここよね。

 エミリーみたいに誰かを陥れたりしないから、皆からも好かれていてアマーリア様を嫌う人はいない。

 私もアマーリア様のことは大好き。

 ジェシカとアマーリア様は姉妹仲が良くて、ジェシカの家に行くと、アマーリア様は私のことも妹として可愛がってくれる。

「エミリーは皆から好かれる子だ。マクミラン侯爵達だって、エミリーにあったら考えが変わるはずだ」

 高位貴族が好きか嫌い家だけで、息子の嫁を選ぶわけないじゃない。

 おじ様達は沢山の人の生活を支えている。

 我が家みたいに無責任なことはしないはず。

「愛嬌だけで選ぶなら他の人を選んでますよ。バーンズ公爵家の長女はマクミラン侯爵家の息子が好きだと有名ですからね。アマーリア様とエミリーだったら、アマーリア様のほうが何に対しても素晴らしいですから」

 私の意見にお父様も同感なのか、苦々しい顔をしてるけど何も言い返してこない。

 だけど何かに気がついたみたいで、表情が一瞬で明るくなる。

「しかしマクミラン侯爵令嬢とバーンズ公爵令息は従兄弟だ。結婚は難しいだろ」

「そんな事ありませんわ。従兄弟同士でも結婚は出来ますわ。それが何代も続いたら問題ですけど、幸いマクミラン侯爵家とバーンズ公爵家は違いますからね」

「だが…………」

 諦めが悪いわね。

 レオンとエミリーの縁談が進んだほうが計画が上手くいきそうですけど、出来るならお父様が私を跡取りにするのを諦めて、エルガー家とエミリーを結婚させて、私とレオンを結婚させてくれるのが1番楽なんですよね。

「エミリーとマクミラン侯爵令息との結婚が決まったとしても、ここに書いてる金額を貰うことはできないと思いますよ。この半分か半分以下になると思いますわ」

 私が断言するとお父様は不思議そうな顔をする。

 何故わからないのかしら?

 普通に当たり前でしょ。

「当たり前じゃないですか。私とエミリーでは立場が違いますわ。手紙には跡取りである私をマクミラン侯爵家に嫁がせてくれるなら、そのお礼に結納金としてこの金額を渡すって書いてるじゃないですか。跡取りを奪うことになる詫びってことですよ」

「あっ…………」

 やっと理解したみたいね。

 小さい頃から跡取りとして教育された私と、小さい頃から好きなことだけして育ったエミリーでは、価値が全然違うのよ。

 エミリーが優秀に育っていたなら、あの金額のままだったでしょうけど、今のエミリーではあの金額を渡してまで欲しい人材ではない。

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