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しおりを挟むメイドが持ってきてくれた軽食を食べながら読書を楽しんでると、部屋の外からドタドタと足音が近付いて来るのに気が付く。
こんなに大きい音を鳴らしながら歩くのは、エミリーしか居ないわよね。
目的は私なんだろうけど、私に何の用事があるのかしら?
私に会いに来るよりも、自分のせいで乗り込んできたお客様に会った方が良いんじゃないかしら?
部屋の扉がバンッて音を鳴らしながら開かれる。
「ノックぐらいしなさい。家族相手でもそれが礼儀でしょ」
エミリーには何度も注意してるのに、1度も直ったためしがないのよね。
私が着替え途中だったらどうするつもりなのかしら?
家族で同性相手でも、私は着替えを人に見られるのが大嫌い
着替えを見られるのは使用人相手でも良い気はしないから、私の専属メイド以外には絶対に任せない。
「ノックぐらい良いでしょ?何かやましい事でもあるの?」
「家族間でも気遣いが必要だと言ってるのよ。私はプライベートな空間に土足で入られるのが許せないのよ。それが家族だったとしてもよ」
「そんなだから冷たいって言われるんだよ。そんなんだと婚約者にも愛想尽かされるよ?」
何でここで婚約者の話になるのかしら?
気の所為かもしれないけど、エミリーの顔がニヤついてる気がするわね。
「こんなことで冷たいって言うなら、そんな人と仲良くしたいとは思わないわ。だって私と感覚が違うってことでしょ?そんな人と関わってもストレスになるだけだわ」
「ミカエル様がそう言ってても気にならないの?結婚する相手がメアリーの性格が気に入らないって言ってるんだよ?」
ふ~~ん。
いつそんな話をしたのかしら?
ミカエル様に私の性格を悪く言われるほど、ミカエル様とまともに話した記憶がないんですけど?
この前の顔合わせだって、私との話し合いを放棄して、エミリーと庭に出て行ってしまったしね。
ミカエル様に嫌われても、私はあの人に興味がないから、どうでもいいんだけど、それをエミリーに悟らせるわけにはいかないのよね。
エミリーには、ミカエル様と絶対に浮気をして貰う必要がある。
私が自由を手に入れるために、この子には犠牲になってもらうわ。
ちょっとの犠牲で私から婚約者が奪えて、この家の当主になれるんだから、この子だって悪いことではないわよね。
私にはこの家に価値を感じないけど、エミリーは小さい頃からこの家の当主になりたいって言ってましたしね。
「ミカエル様といつそんな話をしたの?そんなことを言われるほど酷いことをした記憶はないですけど?」
「この前の顔合わせの時と今日お話したんだよ。メアリーが冷たくて今後が不安だって言ってたんだから」
今日はいつもより帰りが遅いと思ってたら、ミカエル様と会ってたのね。
この子のこういう時の行動は早いのよね。
行動が早いおかげで早く婚約破棄が出来そうで良かったわ。
「何で貴女がミカエル様と会ってるの?ミカエル様は私の婚約者なのよ。それにミカエル様には1度しか会ってないのだから、不安に思われるようなことをした覚えはないわ。まさかエミリーが何か言ったんじゃないでしょうね?」
興味がない相手に興味があるふりをするのは面倒臭いわね。
相手がレオンなら幾らでも執着できるけど、ミカエル様が相手ってなると、やる気が半減するのよね。
私のプライドがあんな男を好きだと思われることに、かなりの屈辱でボロボロになりそうだわ。
あんな男を選ぶほど私はセンスは悪くないわ。
婚約破棄が前提でも、1度でもあんな男の婚約者だったってことは汚点でしかないわよね。
出来るならあの男と婚約を知られる前に婚約破棄したいけど、エミリーの性格を考えると無理なのよな。
あの子は姉の婚約者が自分を選んだって知って貰いたいはずだから、完全に奪う前に私の婚約者だと周りに知られるように行動するはず、エミリーは愚かだから姉の婚約者を略奪したら、周りからどんな評価をされるか分かってないのよね。
普通なら姉から婚約者を奪ったことがバレたら、周りからの評価が下がるって分かるはずなのに、エミリーはあまり気にしないのよね。
エミリーにとって、私のものを奪うのは当たり前の事になりすぎてる。
それを叱る人も居ないですからね。
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