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第二章 妖星少女とギガ―ス
第十二話 遠野えるふの夢が叶う日
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オレは遠野さんを起こそうとする。
しかし、名前を呼んでも、揺すっても起きて来ない。
どうすればいいか考えていると、伏野さんがこう言う。
「ふふふ、お姫様を起こすには、ナイトのキスしかないんじゃない?
口移しで飲ませるしかないわよ♡」
野村警部も真剣にそれに応える。
「ああ、もう口移ししか方法がないだろうな。
それ以外の方法なら、うまく飲ませられないかもしれない」
「そういう事。ベッドを汚したりしたら怒るからね♡」
オレは二人にそう言われ、遠野さんの唇を見る。
ピンクの唇がオレを誘っているように見えるが、さすがに本人の意識がない状態でのキスはまずい気がする。
伏野さんも口移しを強く勧めて来ているし、何かの罠かもしれない。
オレはそう思いながら、カフェオレを見る。
カフェオレは紙のタイプであり、ストローが付いていた。
ストローでカフェオレを吸って、遠野さんの口に流し込めば、口移しでなくても飲ませる事ができる。
オレはそう考え、ストローを使い、遠野さんにカフェオレを飲ませる事ができた。
カフェオレを飲んでしばらくすると、遠野さんのエルフモードが回復したようで、髪の色が鮮やかな赤色になる。
遠野さんは静かに目を開け、オレが口を付けたストローを使い、一気にカフェオレを飲み乾した。
「ふー、助かりました。
まあ、だいたいの二人の会話の内容は聞こえていたので、補足程度で事件を解決する事ができます。
エルフモードで精神力が切れた場合、強制的に眠りの状態になりますが、声は聞こえていたので内容はバッチリです」
「へー、じゃあ、口移しであなたが起きた事も知っているんだ♡」
伏野さんがそう言うと、遠野さんが口を押さえてオレを見る。
凄く動揺しているようで、言葉が出せないほどだ。
伏野さんは、遠野さんの性格を見抜き、キスした場合どうなるかも知っていたのだ。
エルフモードなのに口を押さえて震えている。
まずは、誤解を解かなければ、動揺して話も出来そうにない。
「ち、違うよ! ストローを使って、口に流し込んだんだ。
だから、オレと遠野さんは、キスをしてないよ……」
遠野さんはカフェオレの容器を見て言う。
「ストローは一本、轟木霊(とどろきこだま)がまずカフェオレを吸い、私に飲ませた。
そして、私がそのストローでカフェオレを飲んだという事は、つまり……」
「関節キスはしている事になるね。ごめん」
遠野さんは一瞬考える時間を使ったようで、止まっていた。
二秒ほどしてから、会話を再開させた。
「大丈夫です。関節キスなら、照れずに何とか事件を解決できます」
遠野さんはゆっくりとベッドから立ち上がる。
そして、ベッドから降り、伏野さんにこう話しかける。
「事件はだいたい野村警部の言っていた通りです。
あなたは、不眠症に苦しんでいた国治さんを眠らせるのに、睡眠薬とスタンガンを使った。私も昨日、似た様にして人を眠らせた経験があったので気が付きました。
国治さんの遺体には、スタンガンによる火傷の痕があったそうです。
その痕が分からない様に、首の後ろのうなじに隠すようにあったと聞きました。
私が気付かなければ、スタンガンの存在さえも分からなかった事でしょう」
「そうね。でも、そのスタンガンはどこにあるのかしら?
私の勤めているコンビニの中かしら? それともこの家の中かしら?
ゴミは処分される前に集めたらしいけど、スタンガンらしき物はなかったそうよ。
まあ、警部さんは事実を偽って、私を罠にはめようとしたけど……」
伏野さんはそう言って、遠野さんを追い詰める。
証拠のスタンガンが出て来ない以上、伏野さんを逮捕する事は出来ない。
遠野さんは、伏野さんの威嚇に対して、ゆっくりと喋り出した。
「ゴミ箱ではなく、大型郵便用のポストに投函したんです。
宛先が海外で不明だった場合、数ヵ月後に戻って来ますからね。
警察が警戒を外した時を狙って、こっそり処分するつもりだったのでしょうが、残念でしたね。
今なら、郵便局に問い合わせれば、スタンガンを回収できます。
国治さんの遺体とスタンガンによる傷の照合、スタンガンが投函されたポストの位置、スタンガンに入っている電池の指紋の分析、スタンガンを投函した時に使用された封筒、これらを警察が調べ上げてから、あなたが犯人じゃないという主張をしてください。
まあ、裁判所の法廷時にですけど……」
「なあ、くっそ!
このクソガキが!」
遠野さんがそう言うと、穏やかだった伏野さんが慌て出す。
顔が恐ろしい表情に変わり、美女とは思えないほどになった。
遠野さんを殴ろうとするのを、野村警部が必死で押さえ込んでいた。
しばらくすると、伏野さんは怒りも治まったのか冷静な表情を見せる。
遠野さんに笑いかけながら、俺の方を見てこう尋ねる。
「ふん、今は恋愛に夢中で他の事なんて分からないだろうけど、世の中には愛より大切な物があるのよ!
国治君、折角遺産が転がり込んで来るというのに、あっさりとお兄さんに譲るなんてバカよね。
バカだから保険金目当てで殺したの!
それに、しばらくしたら愛も冷めていくわ。
愛する人から暴力やののしりの言葉を浴びせられた時、あなた達は変わらずに愛し合う事ができるのかしらね。
人生は何があるか分からないのよ。
最も愛する者が、最も憎むべき者に変わるかもしれないわよ!」
遠野さんは一瞬目を閉じてこう言った。
「確かに、あなたの言う事は正しいかもしれない。
生活するために愛より必要な物があるかもしれない。
でも、多くの夫婦はずっと愛し続けている。
だから、絶対でもない。
何がそういう結果を出すのか、今は分からない。
だけど、いずれは誰でも同じような決定を迫られる時が来ると思うわ。
それは私達も避ける事ができないかもしれない。
その時よりも前に、あなたに会えて良かった。
私はあなたの事を忘れないわ、ギガ―スさん!」
「ふん、感謝される筋合いはないけどね。
あなた達の愛が変わらないことを期待しているわ。
まあ、事故の可能性が高い事件だし、仮にスタンガンが見付かっても裁判で何とでも言い訳できるわ。
国治君とケンカして、スタンガンで気絶させて寝かせたら、まさかハンモックが外れて死ぬなんて思わなかったわ。
傷害事件になるかと思って、スタンガンを隠したりしたけど、殺すつもりなんて無かった。
裁判所で涙ながらにそう語れば、傷害事件で処理されるでしょうね。
少し時間はかかるけど、あなた達に会える日を楽しみに待っているわ。
いずれまた会いましょう♡」
笑顔で野村警部に連れられて行く伏野さんを見て、オレは異様に思う。
「無期懲役だろ。何年かかるか……」
「いえ、情状酌量の余地があり、模範囚なら十年以内には出て来るはずです。
婚期は逃してしまいますけど……」
「ええ! そうなの……」
驚くオレに、遠野さんは顔を覗き込んで訊く。
「そうなのです。
どうですか? 轟木霊(とどろきこだま)は、私の事が怖いですか?」
「キス程度で動揺する遠野さんは怖くないよ」
「な、キスは脳に直接刺激を与えるんですよ。
感覚中枢がより密集しているので、動揺するのは当たり前です!」
遠野さんがそう言うと、髪の毛がまた黒く変色し始めた。
エルフモードの限界が来たのだろう。
遠野さんは髪の毛を解き、ロングヘアーに戻した。
しかし、精神力が尽きたのは同じようで、急激な眠気に襲われていた。
「すいません。家までおんぶしてください。もう限界なんです……」
「あの、実はこの後、オレの家に来て欲しかったんだけど……」
「分かりました。どこでもいいですから、とにかく休ませてください」
遠野さんはそう言って、オレの背中で眠りに入った。
酒牧の時とは違い、女の子なので軽い。
オレ一人でも家まで辿り着く事ができる。
オレは、伏野さんの家の前で待っていた鏡野に感謝を述べた後、別れる事にする。
鏡野は他にもアルバイトの仕事が詰まっているようで、意外にあっさりと別れる事ができた。
オレは遠野さんを連れ、自宅に戻る。
途中でオレ達を疑っていた火山警部と出会ったが、オレ達には興味ないのか会釈もせず、野村警部の車に、犯人の伏野さんと一緒に乗り込む。
共同の捜査という名目になるのだろうか?
要領が良い警部はいる者だなと思って見守っていた。
その後は、何事も無くオレの家に辿り着いた。
オレは遠野さんを家に上げ、とりあえずベッドに寝かせる。
お母さんはびっくりしていたが、ただ疲れているだけだと知ると、彼女の近くで待機していた。
オレはする事も無いので、近くのスーパーに買い物に行く。
オレは遠野さんと一緒に食事がしたかったので、簡単に作れる鍋料理を制作にする。
最後の味付けはお母さんに任せるが、野菜や肉はオレが調理する。
普段やり慣れないので、二時間ほどかかってしまった。
その間に遠野さんは眼を覚ましていた。
遠野さんが眼を覚ますと、オレのお母さんが目の前にいる。
初対面の割に、何だか近い感じがするのを二人とも感じていた。
しかし、遠野さんが最初に驚いたのは、オレの母さんが若い事だ。
もう三十六歳だというのに、二十歳にも満たない感じがする。
オレはこの時まだ知らなかったが、お母さんと遠野さんには共通の特徴があった。
遠野さんは生まれながらに幻獣化するが、オレの母さんは不老長寿の副作用により幻獣化できる。
オレや他の家族(父親以外)には、隠していたようだが、似た境遇の遠野さんにはすぐに幻獣化を教えたようだ。
遠野さんの様に、オレの母さんも幻獣化の使い過ぎにより眠くなってしまう経験があったのだろう。
オレの母さんが幻獣化できる事を知った遠野さんは、驚くと同時に嬉しさも込み上げて来たようだ。
今まで、本人しか分からなかった苦労などがあるのだろう。
遠野さんが幻獣を捜す理由は分からないが、オレは探している事だけは知っていた。
今日は、遠野さんが他の幻獣化できる人物にあった記念すべき日となったのだった。
「ようやく幻獣化できる人にあったのですね。
木霊君のお母さんだったなんて感激です!」
遠野さんは長年追い続けた人物を目の前にして涙を流していた。
彼女達は血の繋がりこそないが、幻獣化という特別な絆で結ばれていたのだ。
そんなこと全然知らないオレは、黙々と鍋の材料を準備していた。
この事が、後々オレと遠野さんを離れさせる原因になるのだが……。
轟風火(とどろきふうか) 旧姓水地(みずち)
元幻住高校一年C組(カプリコーン) 三十六歳(見た目は十五歳)
身長 160センチ 体重 45キロ
血液型 A型 B83 W55 H82
誕生日 5月24日
しかし、名前を呼んでも、揺すっても起きて来ない。
どうすればいいか考えていると、伏野さんがこう言う。
「ふふふ、お姫様を起こすには、ナイトのキスしかないんじゃない?
口移しで飲ませるしかないわよ♡」
野村警部も真剣にそれに応える。
「ああ、もう口移ししか方法がないだろうな。
それ以外の方法なら、うまく飲ませられないかもしれない」
「そういう事。ベッドを汚したりしたら怒るからね♡」
オレは二人にそう言われ、遠野さんの唇を見る。
ピンクの唇がオレを誘っているように見えるが、さすがに本人の意識がない状態でのキスはまずい気がする。
伏野さんも口移しを強く勧めて来ているし、何かの罠かもしれない。
オレはそう思いながら、カフェオレを見る。
カフェオレは紙のタイプであり、ストローが付いていた。
ストローでカフェオレを吸って、遠野さんの口に流し込めば、口移しでなくても飲ませる事ができる。
オレはそう考え、ストローを使い、遠野さんにカフェオレを飲ませる事ができた。
カフェオレを飲んでしばらくすると、遠野さんのエルフモードが回復したようで、髪の色が鮮やかな赤色になる。
遠野さんは静かに目を開け、オレが口を付けたストローを使い、一気にカフェオレを飲み乾した。
「ふー、助かりました。
まあ、だいたいの二人の会話の内容は聞こえていたので、補足程度で事件を解決する事ができます。
エルフモードで精神力が切れた場合、強制的に眠りの状態になりますが、声は聞こえていたので内容はバッチリです」
「へー、じゃあ、口移しであなたが起きた事も知っているんだ♡」
伏野さんがそう言うと、遠野さんが口を押さえてオレを見る。
凄く動揺しているようで、言葉が出せないほどだ。
伏野さんは、遠野さんの性格を見抜き、キスした場合どうなるかも知っていたのだ。
エルフモードなのに口を押さえて震えている。
まずは、誤解を解かなければ、動揺して話も出来そうにない。
「ち、違うよ! ストローを使って、口に流し込んだんだ。
だから、オレと遠野さんは、キスをしてないよ……」
遠野さんはカフェオレの容器を見て言う。
「ストローは一本、轟木霊(とどろきこだま)がまずカフェオレを吸い、私に飲ませた。
そして、私がそのストローでカフェオレを飲んだという事は、つまり……」
「関節キスはしている事になるね。ごめん」
遠野さんは一瞬考える時間を使ったようで、止まっていた。
二秒ほどしてから、会話を再開させた。
「大丈夫です。関節キスなら、照れずに何とか事件を解決できます」
遠野さんはゆっくりとベッドから立ち上がる。
そして、ベッドから降り、伏野さんにこう話しかける。
「事件はだいたい野村警部の言っていた通りです。
あなたは、不眠症に苦しんでいた国治さんを眠らせるのに、睡眠薬とスタンガンを使った。私も昨日、似た様にして人を眠らせた経験があったので気が付きました。
国治さんの遺体には、スタンガンによる火傷の痕があったそうです。
その痕が分からない様に、首の後ろのうなじに隠すようにあったと聞きました。
私が気付かなければ、スタンガンの存在さえも分からなかった事でしょう」
「そうね。でも、そのスタンガンはどこにあるのかしら?
私の勤めているコンビニの中かしら? それともこの家の中かしら?
ゴミは処分される前に集めたらしいけど、スタンガンらしき物はなかったそうよ。
まあ、警部さんは事実を偽って、私を罠にはめようとしたけど……」
伏野さんはそう言って、遠野さんを追い詰める。
証拠のスタンガンが出て来ない以上、伏野さんを逮捕する事は出来ない。
遠野さんは、伏野さんの威嚇に対して、ゆっくりと喋り出した。
「ゴミ箱ではなく、大型郵便用のポストに投函したんです。
宛先が海外で不明だった場合、数ヵ月後に戻って来ますからね。
警察が警戒を外した時を狙って、こっそり処分するつもりだったのでしょうが、残念でしたね。
今なら、郵便局に問い合わせれば、スタンガンを回収できます。
国治さんの遺体とスタンガンによる傷の照合、スタンガンが投函されたポストの位置、スタンガンに入っている電池の指紋の分析、スタンガンを投函した時に使用された封筒、これらを警察が調べ上げてから、あなたが犯人じゃないという主張をしてください。
まあ、裁判所の法廷時にですけど……」
「なあ、くっそ!
このクソガキが!」
遠野さんがそう言うと、穏やかだった伏野さんが慌て出す。
顔が恐ろしい表情に変わり、美女とは思えないほどになった。
遠野さんを殴ろうとするのを、野村警部が必死で押さえ込んでいた。
しばらくすると、伏野さんは怒りも治まったのか冷静な表情を見せる。
遠野さんに笑いかけながら、俺の方を見てこう尋ねる。
「ふん、今は恋愛に夢中で他の事なんて分からないだろうけど、世の中には愛より大切な物があるのよ!
国治君、折角遺産が転がり込んで来るというのに、あっさりとお兄さんに譲るなんてバカよね。
バカだから保険金目当てで殺したの!
それに、しばらくしたら愛も冷めていくわ。
愛する人から暴力やののしりの言葉を浴びせられた時、あなた達は変わらずに愛し合う事ができるのかしらね。
人生は何があるか分からないのよ。
最も愛する者が、最も憎むべき者に変わるかもしれないわよ!」
遠野さんは一瞬目を閉じてこう言った。
「確かに、あなたの言う事は正しいかもしれない。
生活するために愛より必要な物があるかもしれない。
でも、多くの夫婦はずっと愛し続けている。
だから、絶対でもない。
何がそういう結果を出すのか、今は分からない。
だけど、いずれは誰でも同じような決定を迫られる時が来ると思うわ。
それは私達も避ける事ができないかもしれない。
その時よりも前に、あなたに会えて良かった。
私はあなたの事を忘れないわ、ギガ―スさん!」
「ふん、感謝される筋合いはないけどね。
あなた達の愛が変わらないことを期待しているわ。
まあ、事故の可能性が高い事件だし、仮にスタンガンが見付かっても裁判で何とでも言い訳できるわ。
国治君とケンカして、スタンガンで気絶させて寝かせたら、まさかハンモックが外れて死ぬなんて思わなかったわ。
傷害事件になるかと思って、スタンガンを隠したりしたけど、殺すつもりなんて無かった。
裁判所で涙ながらにそう語れば、傷害事件で処理されるでしょうね。
少し時間はかかるけど、あなた達に会える日を楽しみに待っているわ。
いずれまた会いましょう♡」
笑顔で野村警部に連れられて行く伏野さんを見て、オレは異様に思う。
「無期懲役だろ。何年かかるか……」
「いえ、情状酌量の余地があり、模範囚なら十年以内には出て来るはずです。
婚期は逃してしまいますけど……」
「ええ! そうなの……」
驚くオレに、遠野さんは顔を覗き込んで訊く。
「そうなのです。
どうですか? 轟木霊(とどろきこだま)は、私の事が怖いですか?」
「キス程度で動揺する遠野さんは怖くないよ」
「な、キスは脳に直接刺激を与えるんですよ。
感覚中枢がより密集しているので、動揺するのは当たり前です!」
遠野さんがそう言うと、髪の毛がまた黒く変色し始めた。
エルフモードの限界が来たのだろう。
遠野さんは髪の毛を解き、ロングヘアーに戻した。
しかし、精神力が尽きたのは同じようで、急激な眠気に襲われていた。
「すいません。家までおんぶしてください。もう限界なんです……」
「あの、実はこの後、オレの家に来て欲しかったんだけど……」
「分かりました。どこでもいいですから、とにかく休ませてください」
遠野さんはそう言って、オレの背中で眠りに入った。
酒牧の時とは違い、女の子なので軽い。
オレ一人でも家まで辿り着く事ができる。
オレは、伏野さんの家の前で待っていた鏡野に感謝を述べた後、別れる事にする。
鏡野は他にもアルバイトの仕事が詰まっているようで、意外にあっさりと別れる事ができた。
オレは遠野さんを連れ、自宅に戻る。
途中でオレ達を疑っていた火山警部と出会ったが、オレ達には興味ないのか会釈もせず、野村警部の車に、犯人の伏野さんと一緒に乗り込む。
共同の捜査という名目になるのだろうか?
要領が良い警部はいる者だなと思って見守っていた。
その後は、何事も無くオレの家に辿り着いた。
オレは遠野さんを家に上げ、とりあえずベッドに寝かせる。
お母さんはびっくりしていたが、ただ疲れているだけだと知ると、彼女の近くで待機していた。
オレはする事も無いので、近くのスーパーに買い物に行く。
オレは遠野さんと一緒に食事がしたかったので、簡単に作れる鍋料理を制作にする。
最後の味付けはお母さんに任せるが、野菜や肉はオレが調理する。
普段やり慣れないので、二時間ほどかかってしまった。
その間に遠野さんは眼を覚ましていた。
遠野さんが眼を覚ますと、オレのお母さんが目の前にいる。
初対面の割に、何だか近い感じがするのを二人とも感じていた。
しかし、遠野さんが最初に驚いたのは、オレの母さんが若い事だ。
もう三十六歳だというのに、二十歳にも満たない感じがする。
オレはこの時まだ知らなかったが、お母さんと遠野さんには共通の特徴があった。
遠野さんは生まれながらに幻獣化するが、オレの母さんは不老長寿の副作用により幻獣化できる。
オレや他の家族(父親以外)には、隠していたようだが、似た境遇の遠野さんにはすぐに幻獣化を教えたようだ。
遠野さんの様に、オレの母さんも幻獣化の使い過ぎにより眠くなってしまう経験があったのだろう。
オレの母さんが幻獣化できる事を知った遠野さんは、驚くと同時に嬉しさも込み上げて来たようだ。
今まで、本人しか分からなかった苦労などがあるのだろう。
遠野さんが幻獣を捜す理由は分からないが、オレは探している事だけは知っていた。
今日は、遠野さんが他の幻獣化できる人物にあった記念すべき日となったのだった。
「ようやく幻獣化できる人にあったのですね。
木霊君のお母さんだったなんて感激です!」
遠野さんは長年追い続けた人物を目の前にして涙を流していた。
彼女達は血の繋がりこそないが、幻獣化という特別な絆で結ばれていたのだ。
そんなこと全然知らないオレは、黙々と鍋の材料を準備していた。
この事が、後々オレと遠野さんを離れさせる原因になるのだが……。
轟風火(とどろきふうか) 旧姓水地(みずち)
元幻住高校一年C組(カプリコーン) 三十六歳(見た目は十五歳)
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