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番外編エピソード 名探偵シャーケット・ネコーズの誕生

ラブリーヨナ書その6 相棒の誕生

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「そう! 基本はまず骨組みの製作からだ。
 最初はこれをうまく作れるようになるまで、何日かやってもらうぞ! 
そして、筋の良い子から肉付け、ポーズ決めをマスターしていき、最終的に色付けまでやってもらうニャン。
 分かったね。お、真美ちゃんは筋がいいニャン! 
 僕が特別個人指導してあげるよ!」

 「ちっ、肉球で乳をさわんじゃねよ! セクハラで訴えるぞ、こら!」

いつもはやさしい真美ちゃんが、今日は突然キレ気味になった。
ヨナはビックリして謝る。

 「ニャー、ごめんちゃい。
つい、肉球が滑っちゃったニャン!」

 「猫だからって許されると思ってんじゃねえぞ! セクハラ野郎! 
この責任とって、会社を私に渡しなさい。それでチャラだ!」

 「ニャー、なんて強欲な子だ。今まで猫かぶってたな……」

 「へっ、そうだよ。この都市をこの会社ごと手に入れるためにな!
 機会を探っていたというわけだ」

 真美ちゃんの強気な態度を見て、ヨナは不敵に笑う。
 何か策があるのだろうか?

 「ふっふっふ、フィギュア作りは計画の第一段階ニャ。
 次に第二段階のメイドカフェ作りが待っている。
 仮に君がフィギュア会社の社長になろうとも、他に第三、第四の人気企業が現れ、この町を潤していく。この都市は所詮、僕の手で踊らさせているにすぎないのだ」

 「くっ、複数の企業を立ち上げ、競争させて強くしていく作戦か……。
こいつ、ただの猫じゃねえ……」

 「ふっ、僕の有能さが今頃分かったのか?
 誰を相手にするかは、慎重に決めた方が良いニャ」

 「くっそ! 私以外の女がブスだったのも、作戦の内だったと言うのか……。
メイドカフェの訓練は別でしていたとは……。恐れ入ったよ……」

 「分かればいいニャン! 職場内で自分だけ美人だったから、ちょっと調子こいちゃったのかな? 
 今夜は僕のベットになるニャン」

 「くっ、文字道理のベットか……。
 重くて肩が疲れるんだが、仕方ないな」

 「ふっふっふ、今夜が楽しみだぜ! 
 船やら海やら魚の中やらで、身体が冷えちゃったから風邪をひいたニャン! 
 今夜は人肌でぬくぬくさせてもらうニャン!」

 「暑っ苦しい夜になるわ……」

ヨナが美人秘書の真美ちゃんとラブラブの会話をしていると、悪い情報が入って来ました。

 「ヨナ社長、大変です! 
 旅客船のニートがバイトの募集に来たのですが、突然にそいつがフィギュアに向かって土下座をし始めたんです。
そいつを現行犯で取り押さえました。
 今、こちらに向かっています! 名前はM君だとか……」

 「なんだって? なんて愚かな事を……」

ヨナの前にM君が姿を現しました。

 「あ、ヨナさん! 僕は以前にヨナさんと一緒の船に乗っていた者です。
みんながヨナさんに感動し、会いに行くと言っていましたが、船長の提案により、僕が代表でここへ出向きました。
どうか、お手伝いさせてください!」

 「M君か……。それはみんなに填められたな。
 軽い解雇処分だよ。可哀想に……。
 邪魔な奴をどうやって止めさせるかで、みんなで結託するのは良くあることだ。
 正直、同情するよ……」

 「そんな……」

 「しかし、M君がしたことは許しがたい……」

 「え? 僕、何かしましたか?」

 「君は自分が何をしたか分かっていないのか? 
みんなを危険にさらしたんだぞ! たとえフィギュアであっても、違反行為に当たるのだ! 
 本来ならば死刑だが、チャンスをやろう。
なぜ、フィギュアに向かって土下座してはいけないか分かるかニャ?」

 「はい……。たとえフィギュアであっても、崇拝行為をしたら偶像礼拝になるからです!」

 「バカモン! 全然違う!」

ヨナは肉球でM君の顔を叩いた。
そして、ヨナは猫ジャーキーを口に含み、ゆっくりと語り出す。

 「いいかね、M君。土下座とは最後の切り札なんだ。
つまり、自然と土下座していい対象は決まっている。
 創造者、嫁、彼女の両親だけだ。
そう簡単に土下座していたら、効果が薄れるだろうが! 

 創造者に対し、目の前でやられる、もうやばいと思った時に土下座。
 嫁に向かって、浮気や重大な過ちをしてしまった時に土下座。
 彼女の両親に彼女を下さいと結婚前に言う時、必死の思いで土下座。

 許されるのは、この三つの場合だけだ!

 会社の上司とかは所詮、一時期の付き合いだ。やばくなれば、どの道切られる。
 土下座する価値もない! 
 一生一緒にいるという対象にのみ、許される行為なのだ。
 君がした行為は、この大宇宙の法則の品質を下げる効果があるのだよ。

 考えてもみたまえ、軽く土下座をするようになったら、人々はこう言うだろう。
ふん! 土下座をしても許してやらねえよ、と…・・・。
 最後の切り札をそんな簡単に使用してはいけない! 
さあ、立て。君の罰が決まったよ。
 君は羊となり、僕の相棒として生きていくのだ!」

 「え? なんで羊? ぎゃあああああああ!」

 神の罰によりM君は羊となり、ヨナの相棒になった。

 「ふう、これで僕も探偵としてやっていけるニャン! 
 無能な生物がいないと、解説もスムーズにできないからな! 
まあ、創造者の粋な計らいで、人間をやめても絶望感は無いだろ。
むしろ、人間というきたない宇宙のゴミから、素晴らしい生物になったのだ。
ゆっくり訓練していくと良いニャ!」

 「はい、僕はこれから君の下で探偵業を学んで行きます!」

 「うむ、良い返事だ。君の名はモコソンだ!
そして、僕の名前は名探偵を文字って、シャーケット・ネコーズだ! 
 良い名が決まって良かったニャン!」

モコソンは、いきなりとんでもない事を要求して来た。



 「僕、恋人欲しいです!」

 「な、羊のくせに心はオオカミか? そんなん僕だって欲しいよ……」

そう、ネコーズもモコソンも十五歳のいたいげな少年なのだ。当然、彼女だって欲しい!

ちょっと年上の美人秘書真美ちゃんは、ネコーズにクレームを言って来た。

 「ちょっと、社長の名前が変わったら、会社の信用がた落ちじゃないですか。
ここにいる間は、ヨナでいてください!」

 「あ、しまった。まあ、ニネベの潜入捜査として、その名を使うとするか」

ネコーズの仕事は、危険と隣り合わせなのだ。当然、命を狙われる事さえあり得る。
 正体を知られない方がありがたいのだ。そのため、偽名のヨナで活動する事にした。
モコソンは、ネコーズを尊敬する。

 「なんか、カッコいい!」

こうして、ネコーズは、ニネベではヨナの名前で生活し続けた。
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