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第八章 ペガサスVSヒュドラー
プロローグその三 天草夏美の過去
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今週も春樹の仕事を手伝う休日がやって来た。
先週は仕事の内容にイラッとして、春樹を攻撃してしまった。
結果としてはそれで良かったのだが、事情も分からずに兄貴を責めるのは良くない。
新米なんだから、そういう人がやりたがらないようなショボイ仕事しかないのかもしれない。
まあ、これが現実で、平和な事なのかもしれないと思い始めている。
以前に兄貴がプロと仕事していた時も良く知らないし、私が勝手に兄貴の言葉でスリリングな仕事と思い込んでしまったのかもしれない。
ターゲットを仕留めるとか、罠を張って仕留めるとか言っていたから、そういうカッコいい仕事だと思っていたのかもしれない。
もちろん、私もプロと一緒に仕事をした時はある。
時間、場所、タイミングなどを見計らい、ばれたら終わりの一発勝負の様なハードな仕事を何度かしたモノだ。
そういう仕事だと思っていたからこそ、私も緊張感を持って望んでいるのだが、兄貴の様子はおかしい。
今回の仕事で、兄貴の仕事が危険の無いモノと判断した場合は、私は学校生活に集中しようと思う。春樹にカマをかけて見る事にした。
いつものように電話を三コール以内に取り、静かにするように言って来る。
私は黙って従い、食事の準備を続ける。
兄貴が仕事の内容を話す前に、冗談のつもりでこう言う。
「春樹、今度の仕事が、先週みたいな誇張された仕事内容だったら、ボコボコニしちゃうかも……」
私は笑顔でそう言う。春樹は小声でつぶやいた。
「大丈夫、大丈夫。今回の依頼内容は、犯罪傾向が強いし、夏美もきっと納得してくれるはずだ。恐れるな、俺……」
小声だったが、確かにそう言っていた。私は重くなった空気を変えたいと思い、こう言う。
「まあ、新米の仕事なんてそんなモノかも知れないね。
私のために働いてくれてもいるんだから、どんな仕事でも大丈夫だよ。
また今日も一緒に頑張ろうね、お兄ちゃん♡」
最後の言葉は自分で言って引いた。
いつもクール系の妹を演じていたから、『お兄ちゃん♡』の部分は痛い。
心の中でダメージを受けていた。
まあ、言ってしまったことを悔やんでも仕方ないと、兄貴の方を見ると固まっていた。
まずい、逆に精神的ダメージを与えてしまったか。
どう接すれば、兄貴はいつものように応えてくれるのだろうか?
「い、依頼内容を早く教えてよ……」
何も思いつかないので、催促してみた。すると、春樹はようやく喋り出す。
「これは本当に危険人物だ。覚悟を持って望んで欲しい。
本当を言うと、お前をつれて行きたくないほどの危険人物だ。
俺も全力で当たるが、お前を守ってやる事ができないかもしれない」
「分かっている。危険は覚悟の上だよ。
それでも、兄貴だけを働かせて、自分だけ楽をしようなんて思わないよ!
もしも、私が兄貴の仕事を手伝う事が足手纏いだとしても、他の仕事を捜して自分の生活費くらいは稼ぐよ。
少しでも、兄貴の役に立ちたいんだ。二人だけの兄弟じゃない!」
春樹は涙を流していた。
「俺は良い妹を持った。お前がお嫁に行くまでは、俺がお前を守ってやる」
「うん、ありがとう。依頼内容を続けてよ」
「分かった。ターゲットは夜から明け方にかけて行動を起こす。
ある建物に立て籠り、人々を恐怖のどん底に叩き落とすような悪魔だ。
もちろん、親切な顔をしている時もあるが、そのギャップにより油断した人々が次々と餌食になっている。
警察さえも手が出せないほどの状態に追い込まれている。
俺の実力でなければ、止めることさえ不可能だ」
「なんか、先週の私と被っている感がするけど、私がターゲットじゃないよね?
仕事している所を他の人が依頼したとか……」
「まさか、夏美は天使だ。
ピンクと黒の衣装を身にまとい、ピンクと黒の鎌を持つ死神という天使だ」
「イメージがグロテスクじゃないか! まだ攻撃された時の恐怖が残っているな……」
私達はいつものように支度をして、仕事に出かける。
ターゲットが行動するのは夜なので、夕方になるまで待ってから出かける。
愛刀のフルンティングの調整も怠らない。
鉄でできているといっても、傘だから強度は弱い。
マメなメンテナンスが、物を長持ちさせるのだ。
雨の日に傘をさして、そのままほったらかしにするような事は絶対にしていない。
一応、酸化防止加工もしてある。私に手抜きは無い。
春樹の武器は、好く孫の手やフライパンになったままだけど……。
私はいつもの通り春樹に案内され、ターゲットの潜む場所に着いて行く。
今回は、普通の一軒家だった。このパターンも慣れて来たぞ。
私は先にターゲットを予測し、春樹に問う。
先に言った方が、真剣に説明されるより精神的ダメージが少ない。
「で、今度のターゲットは猫? 犬?」
「何を言っている? ターゲットはこの家に住んでいる三十代の男だ!
ここは奴のアジトの一つに過ぎない。
奴は行動を起こす時は場所を変え、どこで事件を起こすかも分からないのだ。
もちろん、日や気分によって行動を起こさない時もある。
今日は満月、奴が行動を起こす可能性の高い日だ。
この家を中心に捜索し、奴が行動を起こす前に捕らえなければ……。
もしも間に合わなかった時は、周囲に被害が出ないように、俺達で処理をする。いいな!」
「うん。任せて!」
私達は街中を歩き回り、ターゲットを捜した。
居酒屋、ナイトクラブ、コンビニ、スーパー、ファミリーレストラン、自動販売機など、奴の立ち寄りそうな所をしらみつぶしで捜すと、女性の悲鳴が聞こえて来た。
「ちっ、間に合わなかったか! 最悪の事態が起こってしまった!」
春樹はそう言って全速力で現場に向かう。
私も全力で現場に向かうが、三分ほど遅れて辿り着く。
さすがに、男と女では体力の差があり過ぎる。
私が現場に辿り着き、息を切らしていると、春樹の声が聞こえた。
「危ない! 夏美、逃げろ!」
私が顔を上げると、裸のおっさんが近付いて来ていた。
酒に酔っているようで、足取りがおぼつかない。
二、三秒ほどしっかり見てしまった。私は一気に恐怖心がこみ上げて来る。
「うわああ、寄るな!」
私の愛刀『フルンティング』が、ターゲットの急所を攻撃していた。
ターゲットは痛みに耐えきれず、のたうち回る。
なぜか、春樹もダメージを受けていた。
「くっ、ぐっは! 見ているだけだというのに、何という精神的ダメージだ。
昔の古傷を思い出す。夏美、良くやった。
しかし、もう少しソフトタッチで攻撃してやれ。
このままでは、ターゲット『サテュロス』の命が危険にさらされるぞ」
冷静さを取りも出した私は答えた。
「無理、そんな余裕ない!」
叫び声を上げていた女性は、ターゲットの奥さんだった。彼女は涙ながらに語る。
「私の夫は、普段は真面目な良い人なのですが、一度酒を飲むと人が変わったようになり、周囲の建物に入り込んで、全裸で女性を追いかけるんです。
彼のターゲットは、私や娘、親戚の女性などです。
警察も真面目に取り合ってくれず、天草さんに彼の酒癖を直してもらえるように頼んだのですが、監視の目を掻い潜って飲んでしまうんです」
「そして、今回の事件に至ったわけですね。
もう、ロープで縛り付けた方が良いんじゃないですか?」
私がそう言うと、春樹はそれを否定する。
「いや、それでは一時的な解決にしかならない。
彼の心をあなたの愛情で埋めてやる事です。
時間はかかるでしょうが、根気と努力がいる作業なんですよ。人を変えるというのは……。私も露出仲間として、ご主人さんが酒癖を克服するのを全力でサポートします。
頑張りましょう!」
こうして、春樹はターゲットとその奥さんと一緒に帰って行った。
一人残された私は、今日で兄貴の仕事観察をやめようと思う。
地道にバイトでも探して、生活費だけ稼いでやろう。そう思った私は友人に電話する。
「真梨ちゃん、なんか給料の良いバイトある? 仕事探しているんだけど……」
でもまあ、人を助ける仕事をしている兄貴を尊敬はしています。
折角の武器は何の役にも立ってないけどね……。
氷結のエリクシ―ルが解き放たれる日は来るのだろうか?
先週は仕事の内容にイラッとして、春樹を攻撃してしまった。
結果としてはそれで良かったのだが、事情も分からずに兄貴を責めるのは良くない。
新米なんだから、そういう人がやりたがらないようなショボイ仕事しかないのかもしれない。
まあ、これが現実で、平和な事なのかもしれないと思い始めている。
以前に兄貴がプロと仕事していた時も良く知らないし、私が勝手に兄貴の言葉でスリリングな仕事と思い込んでしまったのかもしれない。
ターゲットを仕留めるとか、罠を張って仕留めるとか言っていたから、そういうカッコいい仕事だと思っていたのかもしれない。
もちろん、私もプロと一緒に仕事をした時はある。
時間、場所、タイミングなどを見計らい、ばれたら終わりの一発勝負の様なハードな仕事を何度かしたモノだ。
そういう仕事だと思っていたからこそ、私も緊張感を持って望んでいるのだが、兄貴の様子はおかしい。
今回の仕事で、兄貴の仕事が危険の無いモノと判断した場合は、私は学校生活に集中しようと思う。春樹にカマをかけて見る事にした。
いつものように電話を三コール以内に取り、静かにするように言って来る。
私は黙って従い、食事の準備を続ける。
兄貴が仕事の内容を話す前に、冗談のつもりでこう言う。
「春樹、今度の仕事が、先週みたいな誇張された仕事内容だったら、ボコボコニしちゃうかも……」
私は笑顔でそう言う。春樹は小声でつぶやいた。
「大丈夫、大丈夫。今回の依頼内容は、犯罪傾向が強いし、夏美もきっと納得してくれるはずだ。恐れるな、俺……」
小声だったが、確かにそう言っていた。私は重くなった空気を変えたいと思い、こう言う。
「まあ、新米の仕事なんてそんなモノかも知れないね。
私のために働いてくれてもいるんだから、どんな仕事でも大丈夫だよ。
また今日も一緒に頑張ろうね、お兄ちゃん♡」
最後の言葉は自分で言って引いた。
いつもクール系の妹を演じていたから、『お兄ちゃん♡』の部分は痛い。
心の中でダメージを受けていた。
まあ、言ってしまったことを悔やんでも仕方ないと、兄貴の方を見ると固まっていた。
まずい、逆に精神的ダメージを与えてしまったか。
どう接すれば、兄貴はいつものように応えてくれるのだろうか?
「い、依頼内容を早く教えてよ……」
何も思いつかないので、催促してみた。すると、春樹はようやく喋り出す。
「これは本当に危険人物だ。覚悟を持って望んで欲しい。
本当を言うと、お前をつれて行きたくないほどの危険人物だ。
俺も全力で当たるが、お前を守ってやる事ができないかもしれない」
「分かっている。危険は覚悟の上だよ。
それでも、兄貴だけを働かせて、自分だけ楽をしようなんて思わないよ!
もしも、私が兄貴の仕事を手伝う事が足手纏いだとしても、他の仕事を捜して自分の生活費くらいは稼ぐよ。
少しでも、兄貴の役に立ちたいんだ。二人だけの兄弟じゃない!」
春樹は涙を流していた。
「俺は良い妹を持った。お前がお嫁に行くまでは、俺がお前を守ってやる」
「うん、ありがとう。依頼内容を続けてよ」
「分かった。ターゲットは夜から明け方にかけて行動を起こす。
ある建物に立て籠り、人々を恐怖のどん底に叩き落とすような悪魔だ。
もちろん、親切な顔をしている時もあるが、そのギャップにより油断した人々が次々と餌食になっている。
警察さえも手が出せないほどの状態に追い込まれている。
俺の実力でなければ、止めることさえ不可能だ」
「なんか、先週の私と被っている感がするけど、私がターゲットじゃないよね?
仕事している所を他の人が依頼したとか……」
「まさか、夏美は天使だ。
ピンクと黒の衣装を身にまとい、ピンクと黒の鎌を持つ死神という天使だ」
「イメージがグロテスクじゃないか! まだ攻撃された時の恐怖が残っているな……」
私達はいつものように支度をして、仕事に出かける。
ターゲットが行動するのは夜なので、夕方になるまで待ってから出かける。
愛刀のフルンティングの調整も怠らない。
鉄でできているといっても、傘だから強度は弱い。
マメなメンテナンスが、物を長持ちさせるのだ。
雨の日に傘をさして、そのままほったらかしにするような事は絶対にしていない。
一応、酸化防止加工もしてある。私に手抜きは無い。
春樹の武器は、好く孫の手やフライパンになったままだけど……。
私はいつもの通り春樹に案内され、ターゲットの潜む場所に着いて行く。
今回は、普通の一軒家だった。このパターンも慣れて来たぞ。
私は先にターゲットを予測し、春樹に問う。
先に言った方が、真剣に説明されるより精神的ダメージが少ない。
「で、今度のターゲットは猫? 犬?」
「何を言っている? ターゲットはこの家に住んでいる三十代の男だ!
ここは奴のアジトの一つに過ぎない。
奴は行動を起こす時は場所を変え、どこで事件を起こすかも分からないのだ。
もちろん、日や気分によって行動を起こさない時もある。
今日は満月、奴が行動を起こす可能性の高い日だ。
この家を中心に捜索し、奴が行動を起こす前に捕らえなければ……。
もしも間に合わなかった時は、周囲に被害が出ないように、俺達で処理をする。いいな!」
「うん。任せて!」
私達は街中を歩き回り、ターゲットを捜した。
居酒屋、ナイトクラブ、コンビニ、スーパー、ファミリーレストラン、自動販売機など、奴の立ち寄りそうな所をしらみつぶしで捜すと、女性の悲鳴が聞こえて来た。
「ちっ、間に合わなかったか! 最悪の事態が起こってしまった!」
春樹はそう言って全速力で現場に向かう。
私も全力で現場に向かうが、三分ほど遅れて辿り着く。
さすがに、男と女では体力の差があり過ぎる。
私が現場に辿り着き、息を切らしていると、春樹の声が聞こえた。
「危ない! 夏美、逃げろ!」
私が顔を上げると、裸のおっさんが近付いて来ていた。
酒に酔っているようで、足取りがおぼつかない。
二、三秒ほどしっかり見てしまった。私は一気に恐怖心がこみ上げて来る。
「うわああ、寄るな!」
私の愛刀『フルンティング』が、ターゲットの急所を攻撃していた。
ターゲットは痛みに耐えきれず、のたうち回る。
なぜか、春樹もダメージを受けていた。
「くっ、ぐっは! 見ているだけだというのに、何という精神的ダメージだ。
昔の古傷を思い出す。夏美、良くやった。
しかし、もう少しソフトタッチで攻撃してやれ。
このままでは、ターゲット『サテュロス』の命が危険にさらされるぞ」
冷静さを取りも出した私は答えた。
「無理、そんな余裕ない!」
叫び声を上げていた女性は、ターゲットの奥さんだった。彼女は涙ながらに語る。
「私の夫は、普段は真面目な良い人なのですが、一度酒を飲むと人が変わったようになり、周囲の建物に入り込んで、全裸で女性を追いかけるんです。
彼のターゲットは、私や娘、親戚の女性などです。
警察も真面目に取り合ってくれず、天草さんに彼の酒癖を直してもらえるように頼んだのですが、監視の目を掻い潜って飲んでしまうんです」
「そして、今回の事件に至ったわけですね。
もう、ロープで縛り付けた方が良いんじゃないですか?」
私がそう言うと、春樹はそれを否定する。
「いや、それでは一時的な解決にしかならない。
彼の心をあなたの愛情で埋めてやる事です。
時間はかかるでしょうが、根気と努力がいる作業なんですよ。人を変えるというのは……。私も露出仲間として、ご主人さんが酒癖を克服するのを全力でサポートします。
頑張りましょう!」
こうして、春樹はターゲットとその奥さんと一緒に帰って行った。
一人残された私は、今日で兄貴の仕事観察をやめようと思う。
地道にバイトでも探して、生活費だけ稼いでやろう。そう思った私は友人に電話する。
「真梨ちゃん、なんか給料の良いバイトある? 仕事探しているんだけど……」
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