ファンタジー世界なのに無双もできない微オタク転生女子ですが、どうやら悪役令嬢になったらしいのでそれなりに頑張ってみます。

らおぴん

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こっち側の生活は

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それにしても、暇だ。

ここには、お一人様で楽しめる事がほとんど存在しない。

元々読書は好きだったが、今世、読み書きというのは身分差を示す指標のようなものなので、一般大衆の識字率は極めて低いのだ。
したがって、当然ながら、「大衆文学」というジャンルが存在しない。
説教臭いガチガチの純文学や、やたらと神や聖人がキラキラする類いのお貴族さま向き小説はあるが、娯楽とはおよそ程遠い。

貴婦人の暇潰しといえば、神託書の写本や、刺繍、糸つむぎに機織り等々、娯楽というよりむしろ、内職に近い。
それでも、何もしないよりはマシなくらいに暇なのだ。
おまけに、そんな仕事の出来不出来で貴婦人としての資質を評価されたりするので、正直、前世のパート主婦と大差ない。
幼少時から色々と仕込まれて来たので、どれも人並み以上にはこなせるが、好き好んで積極的にやる気にはなれない。
実は一時期、植物図鑑の写本にハマったのだが、ペンだこが出来てしまって禁止となった。


では、お一人様以外で何か出来るかと言えば、それもない。

親兄弟といえど生活は完全に分離され、まず、夜の正餐くらいでしか顔を合わせる事はない。
とりわけ貴族の女は、一切の不浄を遠ざけるため、公務ででもなければ外出する事もできない。
身辺には常に数名の側近が侍り、ばっちり監視されている。
時折、家門間で厳選された子女同士の交流はあるものの、これは一種の外交で、とてもじゃないがオトモダチが出来るような状況ではない。



そんなこんなで15年。

結婚するにはやや早く、家督を継ぐにもまだ早いというこの年頃に、待ちに待った一大転換期が訪れた。

王宮と神殿の合案で数年前から試行されていた「学問所」に、かねてより書物好きだと噂されていたらしい私の参入が命じられたのだ。

学問所生に選ばれる条件は多種多様だが、基準はそれぞれ決して低くもなければ甘くもない。
かといって、学識を深く掘り下げるわけでもない。
これは将来、国の文化を担うトップレベルの人材同士、何かと視野を広げつつ、面識と人脈を築くためのサロンなのである。

父から言葉をかけられるのは、正餐以外ではたぶん3年ぶりくらいになるのだが、呼び出された書斎で学問所への入所を拝命した折、父は初めて私を誉めた。

「よくやった、ウェルディアナ。これでお前も王子妃候補筆頭だ。」



……え?

そんな話、一度も聞いたことないんですけど?
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