ファンタジー世界なのに無双もできない微オタク転生女子ですが、どうやら悪役令嬢になったらしいのでそれなりに頑張ってみます。

らおぴん

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なしくずし

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当家は、文務大臣家だ。
この国の貴族には細かい爵位はほとんどなく、その官職で席次が決まる。
文務大臣位は高位に属し、前世の感覚で言えば侯爵位あたりに相当するだろう。
宮殿に属するお目見え貴族の当主は公、それ以下は卿が敬称だ。
城下には下級ながらも貴族に属する、御城旗下家、御城下家人などの騎士家門が多数在籍している。
貴族とはいえ末席ともなれば、領地もなく、事業を起こす器量もなく、王宮からの扶持だけが頼みという家門も多々あるあたりが世知辛い。

ウェルディアナの家門ハーン家は、建国以来の高位臣下だ。
だが長年、王家の子女とは軒並み年代が大幅にズレて、降嫁もなければ王家に嫁いだ姫もなく、王室との姻戚関係樹立は、代々当主の悲願であった。

そこのところは、私も知ってはいた。

現在、王家には未成年の王子が二人。
だが、父であるハーン公からそんな毛色の話はこれまで一切なく、ウェルディアナが王宮に参じた事もなく、そもそも、もっと有力な候補が虎視眈々と王子妃の座を狙っているのでは出る幕もあるまいとたかをくくっていた。

だが、ここへ来ての「学問所」本格始動。
ここ数年来、やけに熱心に打ち込んでいるとは思っていたが、まさかそこに、私の結婚問題が絡んで来るとは。

やるじゃん、オヤジ。
文務大臣の面目躍如、というか、職権乱よ……ゲフゲフ。

「王子妃候補とは、どういう事なのでしょうか、お父様」

「どうもこうもない。学問所では王子殿下の学友だ。男児であれば側近、姫であれば妃に最も近い存在だろうが。」

「他に姫君のご在籍は?」

「2~3方はおられるが、お前とて高位家門の姫だ。家門の名誉をかけて妃殿下の座を奪い取れ」


……お父様……。


無茶をおっしゃる……。


15年間、殿方はおろか女性、いや、それどころか家族とすらろくに交流の機会がなかった私に、どのような高等交流術を求めておいでなのでしょう?
正直、「出来るか!」と叫びたい。
そこの花瓶、投げてもいいかな?

「急な話に思えるかもしれんが、余計な期待もさせてはいかんと思ってな。地固めが整うまではあえて黙っていたのだよ。」

それ、むしろいらない配慮です、はい。
私に、心の準備期間を下さい。

「学問所には、いつ頃より参ればよろしいのでしょうか」

避けられる事態では無さそうなので、とりあえず聞いておく。
2~3ヶ月もあれば、少しは心構えも整うだろう。

だが、やっぱり父は父だった。

「再来週から行ってくれ。お前以外はとっくに入所しているし、当然勉学も先に進んでおるから、参入に遅れを取っても我がハーン家の恥とならぬよう励めよの。」

何の爆弾だ。

絶句する私の傍らで、山盛りの教材を抱えたフットマンが深々と頭を下げている。
これはもしや。

「お嬢様のお部屋まで運ばせていただきますこと、お許し下さいませ」

「これは……」

「お前は書物が好きだったろう、とりあえずこれだけ頭に入れて行け。」

やっぱりーーーーー!
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