断罪回避に失敗した悪役令嬢の祈りは届いた! ……だが、コレじゃない!

らおぴん

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お持ち帰り

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そういえば、この集落には子供が一人いたはずだ。
3才児くらいの、最低限のお留守番くらいはできる程度の幼児であった。

近づいてみると、目には警戒の色が見えたが逃げはしなかった。
というより、逃げる力もない様子だ。
唇はカサカサにひび割れて、ぐったりとして動かない。
痩せ細ってはいないので、これは、ここ数日間の飢えと渇きによる衰弱であろう。
手には、齧っていたとおぼしき木の若枝が握られている。

留守番をするうち、火が尽き、食べ物が尽き、水も尽き、囲いを出ようとしたものの非力に過ぎて、ここで力尽きていたのであろう。
おそらく大人達は日暮れまでには戻るつもりで、子供を置いて、簡単な戸締まりをして出掛けていったのだ。
総出で仕留めねばならない獲物を見つけたのだろう。

だが、狩りには獲物の抵抗のみならず、弱った動物を横取りしに来る猛獣達という脅威も付随するのだ。
10人にも満たない集団では、防ぎ切れない可能性は高かった。

この子は、連れていくには足手まといで、かといって貴重な戦力である親を付き添わせるほど幼くもなく、火の番としてここに残されたのであろう。
だが、誰も帰っては来られなかったのだ。


ワタシは、背負っていたザックから水筒を取り出した。
竹に似た、節のある植物を切り出して、栓をしただけの物だが重宝している。ただし草なので乾燥するともろくなるため、ほぼ使い捨てなのだが。
同じ草でついでに作っておいた器に水を注いで、子供に差し出してやった。
こういうときには、一気に飲むのは良くないと聞いたことがあるので、まずは少しずつだ。
食べ物もまた然り。
飲み干したところで、甘い果実を差し出してやると、奪い取ってむさぼり食った。

そんな事を繰り返す内に、子供は少し警戒を解き、元気になってきたのであった。
ワタシが、時折ここに来ていた事も、覚えていたようだ。

もちろん、事情を聞こうにも言葉は通じない。
というか、言葉がない。

このままこの子を一人で置いておくわけにはいかないが、ここで付き添っていたとして、万が一にも住人が生還したときに、好意的に解釈される保証はない。
留守宅を乗っ取った侵入者と思われて、攻撃される可能性が多々ある。

しかたがない。

抱き上げると、子供は抵抗しなかった。

子供を抱えたまま難儀しつつ囲いを出ると、もう一度念入りに枝を被せて通路をふさいだ。
人の住める場所は、なるべく保全しておきたい。

しばらくは別荘(?)に留まって様子を見ることにしよう。
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