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育児中
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お持ち帰りしてしまった、幼児(♂)。
見た目、3歳前後であろう。
人類といえどもほぼ野生の生き物なので、幼児期は比較的早熟だ。
草食獣のほとんどが生まれてすぐに立ち上がらねば生きていけないように、ここでは、ヒトといえども早々に最低限の自立を果たさねば、生き延びては行けないのである。
弱い個体は淘汰される。
厳しいが、そうやってより生存能力の高い遺伝子が凝縮されて行くのだ。
とりあえず食事は差し出せば食べるので問題ないが、トイレには難儀した。
あの集落では、防壁の近くか外側で、適当に用を足していたらしい。
別荘(?)では、穴を掘ってトイレを確保していたのだが、子供にはサイズ的に無理があった。
更に言えば、子供の便意が全く読めず、目を離した隙に、部屋の隅っこで用を足されてしまったり……。
言葉が通じないのって、本当に厄介だ。
だが、言葉を知る人間の性と言おうか、相手が人間の成人であれば言語の相違を前にして無口になるのだが、子供や動物相手となると、言葉なんか通じようが通じまいが関係なしに、やたら饒舌になったりするものである。
自分でも気づかないウチに、いつの間にか呼び名までできてしまったりもする。
呼び名と言うか前前世の定番で、「ボク」という不特定多数の男児を表す安易な呼称なのだが……。
それがこの世で最初に「ボク」と呼ばれた個体となると、これはもう、立派な固有名。
数日と経ずして、ポチと呼ばれた犬よろしく、この子はすっかり自分を「ボク」だと認識してしまった。
「こらボク、そっち行っちゃダメでしょ!」
念入りに隠した別荘(?)から出ようとするボクに声をかけると、普通に戻ってきくる。
「はい、ちゃんと座ってごはん食べなさいね。あ、先に手を拭くんだよ、バイキンさんがいるからね。」
通じていないとわかってはいても、ついつい言葉が出てしまう。
でも、前世でだって、赤ん坊にわざわざ言葉を教えたりする訳でもなく、ほとんどの場合は普通に家庭で育てるだけだった。
行動や事象、それに伴い周囲が発する言葉との関連性を自然に学び、会話の内に微調整され、徐々に複雑な表現力を身につけて、やっとオムツがとれるか取れないかの頃にもなると、一丁前にナマイキのひとつも言うようになっていたものだ。
多少育ってからでも、外国人の集団に交ざれば、大人より早くネイティブ化していたりとか。
それに、賢い動物だって、ずっと話し掛けていれば簡単な意図くらいは通じるようになったものだし。
ワタシ達はこの別荘(?)で、ひと月ばかり一緒に暮らした。
長らく本拠地を空けているのは不本意だったが、今に始まった事でもないし、気にする相手がいるわけでもない。
もし誰かに見つけられてしまったら、ごっそり盗み出されるか、むしろ、驚愕されて聖地か何かにされてしまうかもしれないが。
2~3日置きにあの集落の様子を伺い続けたが、誰かが戻って来る事はなかった。
あのまま放置していれば確実に、この子は命を落としていたと確信できるだけの時間はとっくに過ぎていた。
「ずっとここにいるわけにはいかないね」
話しかけると「ボク」は、じっとワタシを見つめた。
近くの集落に託す事も考えたが、状況説明できる言語がない以上、子供を連れて行けば当然、ワタシの子だと判断されるに違いない。
色々と面倒な事になりそうだ。
「ワタシと一緒に来るかい?」
理解してもらえると思って言ったわけではなかった。
だが、その問いかけに「ボク」はうなづいた。
偶然だったのかもしれない。
でも、ワタシが心を決めるには、それで十分だった。
見た目、3歳前後であろう。
人類といえどもほぼ野生の生き物なので、幼児期は比較的早熟だ。
草食獣のほとんどが生まれてすぐに立ち上がらねば生きていけないように、ここでは、ヒトといえども早々に最低限の自立を果たさねば、生き延びては行けないのである。
弱い個体は淘汰される。
厳しいが、そうやってより生存能力の高い遺伝子が凝縮されて行くのだ。
とりあえず食事は差し出せば食べるので問題ないが、トイレには難儀した。
あの集落では、防壁の近くか外側で、適当に用を足していたらしい。
別荘(?)では、穴を掘ってトイレを確保していたのだが、子供にはサイズ的に無理があった。
更に言えば、子供の便意が全く読めず、目を離した隙に、部屋の隅っこで用を足されてしまったり……。
言葉が通じないのって、本当に厄介だ。
だが、言葉を知る人間の性と言おうか、相手が人間の成人であれば言語の相違を前にして無口になるのだが、子供や動物相手となると、言葉なんか通じようが通じまいが関係なしに、やたら饒舌になったりするものである。
自分でも気づかないウチに、いつの間にか呼び名までできてしまったりもする。
呼び名と言うか前前世の定番で、「ボク」という不特定多数の男児を表す安易な呼称なのだが……。
それがこの世で最初に「ボク」と呼ばれた個体となると、これはもう、立派な固有名。
数日と経ずして、ポチと呼ばれた犬よろしく、この子はすっかり自分を「ボク」だと認識してしまった。
「こらボク、そっち行っちゃダメでしょ!」
念入りに隠した別荘(?)から出ようとするボクに声をかけると、普通に戻ってきくる。
「はい、ちゃんと座ってごはん食べなさいね。あ、先に手を拭くんだよ、バイキンさんがいるからね。」
通じていないとわかってはいても、ついつい言葉が出てしまう。
でも、前世でだって、赤ん坊にわざわざ言葉を教えたりする訳でもなく、ほとんどの場合は普通に家庭で育てるだけだった。
行動や事象、それに伴い周囲が発する言葉との関連性を自然に学び、会話の内に微調整され、徐々に複雑な表現力を身につけて、やっとオムツがとれるか取れないかの頃にもなると、一丁前にナマイキのひとつも言うようになっていたものだ。
多少育ってからでも、外国人の集団に交ざれば、大人より早くネイティブ化していたりとか。
それに、賢い動物だって、ずっと話し掛けていれば簡単な意図くらいは通じるようになったものだし。
ワタシ達はこの別荘(?)で、ひと月ばかり一緒に暮らした。
長らく本拠地を空けているのは不本意だったが、今に始まった事でもないし、気にする相手がいるわけでもない。
もし誰かに見つけられてしまったら、ごっそり盗み出されるか、むしろ、驚愕されて聖地か何かにされてしまうかもしれないが。
2~3日置きにあの集落の様子を伺い続けたが、誰かが戻って来る事はなかった。
あのまま放置していれば確実に、この子は命を落としていたと確信できるだけの時間はとっくに過ぎていた。
「ずっとここにいるわけにはいかないね」
話しかけると「ボク」は、じっとワタシを見つめた。
近くの集落に託す事も考えたが、状況説明できる言語がない以上、子供を連れて行けば当然、ワタシの子だと判断されるに違いない。
色々と面倒な事になりそうだ。
「ワタシと一緒に来るかい?」
理解してもらえると思って言ったわけではなかった。
だが、その問いかけに「ボク」はうなづいた。
偶然だったのかもしれない。
でも、ワタシが心を決めるには、それで十分だった。
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