貴方がここに来ないから～婚約破棄予定の聖女見習いは静かに微笑む～

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不快な衝動を感じたのは私だけだったらしい。

私は、何処から来たものだろうかと少し、自分の中を探ってみた。

あぁ、どうやら右手の方から感じる。

あの方角には学園があった。

やっぱり始まってしまったのか……

あれだけ私が言ったのに、聞いた皆様方は始終放置されたのだから当然といえば当然の結果だろう。

もう、このドレスは必要ない。
何故なら、卒業パーティどころではないのだから。

「着替えます」

私がそう言えば、不承不承に侍女達が動き出した。

かなり乱暴にされ、髪が引っ張られた。
ちょっと痛い。

「面白い見世物が見れると思ったのに……」

侍女の誰かが呟いた。

それは、私の耳にも入ってきていた話。

殿下達が卒業式と卒業パーティの予行演習を行った時の事。

「あら？それより凄い見世物がこれから起こると思うけれどね。どうぞ、立派な証人になったらいいわ」

そう、よりにもよって、予行演習には婚約破棄も入っていたのだ。

多分、私がいなくても始めてしまったのだろう。

それが、破滅の始まりとも知らずに……