貴方がここに来ないから~婚約破棄予定の聖女見習いは静かに微笑む~

ハギレ

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最初病と誤認されたのには、訳がある。

殿下を見つけた鬼役の側近は、3歳上の魔術師団の団長の息子だった。

他の側近達に合流する前に、「殿下が倒れていた、誰か治療出来る者を呼んできてくれ」と遠ざけた。

その為、詳しい状況を他の側近達は知らない。

何故なら、団長の息子もその後倒れたのだ。
そして、熱を出しそのまま目を覚ますことはなかった。

その際、親である団長はくまなく息子を調べた。

外からの魔術の痕跡は見つからず。

場所を調べたが、その付近一帯が人の出入りのない、換気がされていない場所。

何か悪いものでも拾ってしまったのだろう。

王城から急かされ、最初そう結論を出したそうだ。

だが、治癒魔法を使った聖女が次々と倒れていく。

普通の治癒魔法は効かなかった。

まるで、治癒魔法を何かに遮られている様だと聖女達はいい、倒れていった。

他の方法を試す聖女もいた。

殿下の痛みを我が身に一旦移し、自分の中で癒そうとしたが、移した途端に息を引き取った。

またある聖女は、自分の癒しの力自体を殿下に分け与えようとしたが、体から養分を吸い取られるように干からびた。

その内、殿下の白い顔に変化が起きた。

まるで紙にインクをぶちまけた様な痣が浮かんできたのだ。

ここで、病ではないのではないかとの声が大きくなった。

王城の古書から封印地帯だとわかり、呪いではないかと噂になった。

団長は無能とされた。


ーーーその団長に、詳しい事を聞きたかったけれど、既に責任をとって職を辞していた。

家も断絶した為、その後の足取りを掴む事ができなかった。



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