貴方がここに来ないから~婚約破棄予定の聖女見習いは静かに微笑む~

ハギレ

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殿下に襲いかかる痛みが、秘薬を使いなんとか少し治まる気配を見せた所に痣が出た。

高貴な者にとって、外見が損なわれるというのは瑕疵になり、とても厄介な問題だった。

残った聖女も、せめて痣だけでも何とかしろと命令され、治癒が行われた。

殿下の痣が薄くなる度、聖女の顔に濃く痣が移った。

治癒を辞めれば、殿下の痣はまた濃くなった。

何人も投入された。
当時、聖女は貴族女性しかなれなかった。

聖女達はあまりの容姿の変化と痛みで、狂い壊れ自害する者もいたが、殿下が優先され、そして聖女はいなくなった。

聖女見習い達は、家の方針により隠れた者、能力がなくなったと告げる者、果敢にも治癒を行う者達と分かれていったが、結果教会に聖女見習いはいなくなった。

では、どうしたかと言うと今まで聖女と認められなかった者達、後ろ盾のない貴族ではない癒しの力を持った者達にお鉢が回ってきた。

そう、孤児院出身の下働きの者や孤児で見込みのある子供達にだ。

私は、国の辺境の村で冒険者の父と元冒険者の母の元、すくすくと育っていたのだが父は怪我で、母は流行り病で失った。

ちょうど、王都から流行り病の治療に来た者達に力を見出され、王子の前まで連れてこられた。

父の冒険者仲間と5つ年上の幼馴染の男の子が、村を留守にしている間の出来事だった。


ーーーそして、思わぬ方向に私は巻き込まれる事になる。
なんと、殿下の痣を一時的にとはいえ消してしまったのだ。




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