お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理

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朝ごはん

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 「おはよう、お父さん」
「おっ、朱里。こんな早くに起きているなんて、珍しいな」
お父さんが意外そうな顔をした。お父さんは私たちよりもずっと早く出るから、今まで朝はなかなか会うことがなかったんだよね。

 「お義母さんにお願いして、今日から朝ごはんは、私が作ろうと思って」
ちなみに、お義母さんからの許可は貰っている。朝食は、後は卵焼きを焼いたら完成だ。

 「急にどうした? 最近流行りの女子力とかいうやつに目覚めたのか?」
「そうかも」
卵焼きをくるっと丸めて、朝食は出来上がり。本当は、お兄ちゃんの好きな女性のタイプが、料理上手な子だから、腕を磨くためだ。料理はそれなりに出来るけれど、忙しくて最近は、休みの日くらいしかしていなかった。本当は夜ご飯の方が凝ったものが作れるから、腕を磨きやすいんだろうけど、放課後は生徒会の仕事などがあるから、朝ごはんにした。

 「お父さん、できたよ」
お義母さんは洗濯をしているので、とりあえずお父さんの分だけご飯とお味噌汁をよそう。

 それから今日は焼いた塩鮭と、卵焼きだ。明日からは、野菜も使って何かを作りたいな。

 そう思いながら、お父さんの前に、朝ごはんを並べると、お父さんは感激した。
「朱里の朝食、久しぶりだなぁ。昔は、包丁一つ使うのに覚束なかったのにな」
私が初めて包丁を握ったのは、お母さんが亡くなってから、暫くしてのことだ。もう、あれから大分時間が経っている。

 「昔よりは、上手にできた……、と思うけど、どうかな?」
どきどきしながら、お父さんの反応を伺う。お父さんは、いただきます、と味噌汁を口に含んだ。
「美味いよ、朱里」
「ほんと? やった!」
お父さんは、本当に美味しそうに食べてくれたので、ちょっとだけ自信がついた。

 朝食を食べ終わり、出勤ついでにごみ捨てに行ってくれるお父さんを見送って、リビングに戻ると、お兄ちゃんが二階から降りてきた。

 「おはよう、お兄ちゃん。もう、朝ごはんできてるよ」
「おはよう、朱里。もしかして、今日は朱里が作ったの?」
「うん」
ちょっとだけ恥ずかしく思いながら、頷く。私もお腹が空いてきたので、お兄ちゃんのぶんと、私のぶん、そして、お義母さん……は、まだ、お風呂掃除で時間がかかりそうだからつがないほうがいいか、と、とりあえず二人ぶんのご飯とお味噌汁をよそった。

 「いただきます」
お兄ちゃんはまず最初に、卵焼きを食べた。
「どうかな?」
お父さんは美味しいっていってくれたけれど、お兄ちゃんの舌の好みではないこともある。どきどきしていると、お兄ちゃんは、ふわりと笑った。

 「だし巻き卵だね。美味しいよ」
「よかった」
ひとまず、卵焼きは成功だったみたいだ。続けて、鮭、お味噌汁、とどれもお兄ちゃんは美味しいと言ってくれた。お世辞かもしれないけれど、嬉しいな。

 私も朝ごはんを食べる。美味しいかは、人の好みだろうけれど、少なくともまずくはない、かな。何はともあれ、継続していくことが大事だよね。明日の朝ご飯も頑張ろう。
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