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脱義妹大作戦そのいち
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それにしても、お兄ちゃんの側にいてくれる人、かぁ。お兄ちゃんの好きな人は、お兄ちゃんと接することが多い、生徒会役員の誰かかと思っていたけれど、それだと、少しおバカが当てはまらない。生徒会役員は、悲しいことに私を除いてみんな成績優秀だ。
ということは。やっぱり、以前も思ったようにお兄ちゃんのクラスメイトだろうか。
戦うにはまず、敵を知ることから。漫画でそれなりの情報を得られている愛梨ちゃんとは異なり、ほぼ謎に包まれた新たなライバルを探して、翌日の昼休みにお兄ちゃんのクラスの教室を扉から伺っていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「わっ!」
「う、うわぁ!」
びっくりした。振り向くと、冴木先輩がにこにこして立っていた。冴木先輩は、何か問題が解決したのか、とても機嫌が良さそうだ。
「どうしたの、優に用事?」
「いえ、今日はどちらかというと、冴木先輩に用事というか、質問がありまして」
「俺? いいよ、何でも答えちゃう」
そこで、私は昨日お兄ちゃんに聞いた好きな女性のタイプを話した。
「なるほど。それでさすがに朱里ちゃんも気付いたわけだ」
「はい、つまり、お兄ちゃんの好きな人は、やはりお兄ちゃんのクラスメイトだと!」
「……ん? んん?」
私の名推理を聞いた冴木先輩はなぜか、目を白黒させた。
「そこで、伺いたいことがあるのですが、このクラスで一番料理の得意な女子生徒は誰ですか?」
「料理の得意な女子なら、料理部に入っている彼女だろうけど──」
そういって、冴木先輩が指差したのは、以前お兄ちゃんと話していたことを見たことがあるショートカットの女子生徒だった。
ふむふむ、あの人か。ちなみに、このクラスでショートカットなのは彼女だけだ。もしかして、言わなかったけれどショートカットの女性もタイプなのかな、お兄ちゃん。
「わかりました。ありがとうございます」
そうとわかれば、実行だ。
「え、ちょっと、待って、朱里ちゃん、何か、大きな誤解が──」
冴木先輩は何かを言いかけていたけれど、それよりも私はやらなくてはいけないことが見つかったので、お礼をいってその場を立ち去る。
そして、私は、とある場所へ電話をしたのだった。
「もしもし、小鳥遊と申しますが──」
「ただいまー」
用事のせいで、すっかり遅くなっちゃった。玄関で靴を脱いでいると、先に帰っていたお兄ちゃんが出迎えてくれた。
「おかえり、あか、り!?」
お兄ちゃんは、私の姿を見てびっくりしている。ふっふっふ。これは、脱義妹大作戦その一だ。お兄ちゃん、ちょっとはときめいてくれるかな? とお兄ちゃんの様子を伺おうとすると、お兄ちゃんにがしりと肩を捕まれた。
「いったいどうしたの、朱里。まさか、彼……田中亮だか何だかと何かあった?」
「亮くん? 別になにもないけど」
亮くんとは今もお友達として良好な関係を築いている。特に問題はないはずだ。
「じゃあ、なんで……、そんなにばっさり髪を切ったの?」
お兄ちゃんが心底心配そうに、私をみた。そう、私は胸の辺りまで伸びていた髪をばっさり切り、ショートカットになっていた。そう、私が先ほど電話をかけていたのは、美容院だ。
くせ毛だから、今まで髪を切ることに抵抗があったんだけど、最近は、くせ毛でも似合う切り方があるんだって。それに、私にとって今までの長かった髪は、お兄ちゃんと出会ってからずっと同じ髪型だったから、その象徴のようなもの。だから、脱義妹を目指すのに、丁度いいと思ったんだよね。
「似合ってない?」
お兄ちゃんの質問には答えず、私が聞くと、お兄ちゃんはぶんぶんと首を振った。
「ううん、似合ってるよ。すごく、可愛い」
やった! 可愛いっていってもらえた。
「ありがとう、お兄ちゃん。私、変わるから。だから、見ててね」
「変わるって、どういう、」
「内緒」
不思議そうな顔をしたお兄ちゃんに笑って、リビングに入る。よし、明日からも頑張るぞ。
ということは。やっぱり、以前も思ったようにお兄ちゃんのクラスメイトだろうか。
戦うにはまず、敵を知ることから。漫画でそれなりの情報を得られている愛梨ちゃんとは異なり、ほぼ謎に包まれた新たなライバルを探して、翌日の昼休みにお兄ちゃんのクラスの教室を扉から伺っていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「わっ!」
「う、うわぁ!」
びっくりした。振り向くと、冴木先輩がにこにこして立っていた。冴木先輩は、何か問題が解決したのか、とても機嫌が良さそうだ。
「どうしたの、優に用事?」
「いえ、今日はどちらかというと、冴木先輩に用事というか、質問がありまして」
「俺? いいよ、何でも答えちゃう」
そこで、私は昨日お兄ちゃんに聞いた好きな女性のタイプを話した。
「なるほど。それでさすがに朱里ちゃんも気付いたわけだ」
「はい、つまり、お兄ちゃんの好きな人は、やはりお兄ちゃんのクラスメイトだと!」
「……ん? んん?」
私の名推理を聞いた冴木先輩はなぜか、目を白黒させた。
「そこで、伺いたいことがあるのですが、このクラスで一番料理の得意な女子生徒は誰ですか?」
「料理の得意な女子なら、料理部に入っている彼女だろうけど──」
そういって、冴木先輩が指差したのは、以前お兄ちゃんと話していたことを見たことがあるショートカットの女子生徒だった。
ふむふむ、あの人か。ちなみに、このクラスでショートカットなのは彼女だけだ。もしかして、言わなかったけれどショートカットの女性もタイプなのかな、お兄ちゃん。
「わかりました。ありがとうございます」
そうとわかれば、実行だ。
「え、ちょっと、待って、朱里ちゃん、何か、大きな誤解が──」
冴木先輩は何かを言いかけていたけれど、それよりも私はやらなくてはいけないことが見つかったので、お礼をいってその場を立ち去る。
そして、私は、とある場所へ電話をしたのだった。
「もしもし、小鳥遊と申しますが──」
「ただいまー」
用事のせいで、すっかり遅くなっちゃった。玄関で靴を脱いでいると、先に帰っていたお兄ちゃんが出迎えてくれた。
「おかえり、あか、り!?」
お兄ちゃんは、私の姿を見てびっくりしている。ふっふっふ。これは、脱義妹大作戦その一だ。お兄ちゃん、ちょっとはときめいてくれるかな? とお兄ちゃんの様子を伺おうとすると、お兄ちゃんにがしりと肩を捕まれた。
「いったいどうしたの、朱里。まさか、彼……田中亮だか何だかと何かあった?」
「亮くん? 別になにもないけど」
亮くんとは今もお友達として良好な関係を築いている。特に問題はないはずだ。
「じゃあ、なんで……、そんなにばっさり髪を切ったの?」
お兄ちゃんが心底心配そうに、私をみた。そう、私は胸の辺りまで伸びていた髪をばっさり切り、ショートカットになっていた。そう、私が先ほど電話をかけていたのは、美容院だ。
くせ毛だから、今まで髪を切ることに抵抗があったんだけど、最近は、くせ毛でも似合う切り方があるんだって。それに、私にとって今までの長かった髪は、お兄ちゃんと出会ってからずっと同じ髪型だったから、その象徴のようなもの。だから、脱義妹を目指すのに、丁度いいと思ったんだよね。
「似合ってない?」
お兄ちゃんの質問には答えず、私が聞くと、お兄ちゃんはぶんぶんと首を振った。
「ううん、似合ってるよ。すごく、可愛い」
やった! 可愛いっていってもらえた。
「ありがとう、お兄ちゃん。私、変わるから。だから、見ててね」
「変わるって、どういう、」
「内緒」
不思議そうな顔をしたお兄ちゃんに笑って、リビングに入る。よし、明日からも頑張るぞ。
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