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もやもや
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今年は、生徒会長選挙がないので、十二月の生徒会はわりと暇だ。といっても、各委員長などと行う定例会議や、あいさつ運動はいつも通りあるんだけどね。
だが、しかし。そんなことよりも。私は今、猛烈に焦っていた。
あと、二ヶ月しか、ない!
そう、お兄ちゃんに告白すると決めたバレンタインデーまで、すでに後二ヶ月と少しだ。二ヶ月の間に私は本当に、お兄ちゃんに好きになってもらえる私になれるだろうか。やっぱり、告白は、もうちょっと後回しにしようかな。
生徒会室で、会議の書類をまとめていると、愛梨ちゃんがお兄ちゃんに話しかけた。
「小鳥遊先輩、クリスマスの予定は、空いてますか? 空いてたら、私と……」
そういえば、十二月といえば、クリスマスがあった。偏見だけれど、恋人たちが愛を語りあったり、微妙な関係の二人が一歩踏み出す切っ掛けになることもある日。しまった、私もお兄ちゃんをもっと早く誘っておけば良かった。
けれど、お兄ちゃんは、首を振った。
「悪いけれど、クリスマスは家族と過ごすから」
お兄ちゃんの答えにほっと、胸を撫で下ろす。そういえば、私たちの家は別にクリスチャンというわけではないんだけど、クリスマスはホールケーキをかって、チキンを焼いてお祝いするんだよね。
でも、愛梨ちゃんは積極的だ。
「だったら、イブはどうですか?」
「イブも予定があるんだ。ごめんね」
お兄ちゃん、イブは予定があるのか。残念だ。でも、日本ってクリスマスよりもイブの方が重要視される傾向にある気がするし、もしかして、お兄ちゃんの好きな人とだったらどうしよう。
やっぱり、告白を先伸ばしにしたらだめだ。お兄ちゃんには好きな人がいるけど、愛梨ちゃんだって積極的だし、このままだと、お兄ちゃんは誰かと付き合っちゃうかもしれない。彩月ちゃんには強気に、そうなったらお兄ちゃんをさらうって言ったけど、それでお兄ちゃんが幸せなら、そんなことはしたくないから、きっと私は今後こそ諦めると思う。
もういっそのこと、クリスマスまでに告白しちゃう? いやいやいやいや、勝算もないのに特攻するようなものだ。もう少し、冷静になろう。でも、そもそも、告白でもしないと、いつまでたっても義妹のままで、女の子として見てもらえないんじゃないかな。だから、バレンタインデーに、告白を……。でも、ライバルがバレンタインデーまで待ってくれるとは、限らない。
だから。でも。ぐるぐると頭の中で思考が回る。
「……り」
どうしたら、いいんだろう。
「朱里」
「うわぁ!」
肩を叩かれてびっくりして振り向くと、お兄ちゃんが立っていた。
「驚かせてごめん。今日はもう暗いから一緒に帰ろう」
窓の外を見ると、確かにもう真っ暗だった。でも、だったら、私よりも家が遠い愛梨ちゃんを送った方が……。
「大丈夫だよ、中原さんは智則が送っていったから」
生徒会室を見回すと、確かに冴木先輩と愛梨ちゃんはいなかった。
「だから、大丈夫。ほら、一緒に、帰ろう?」
お兄ちゃんと帰り道を歩く。
「あのっ、お兄ちゃん!」
「ん? どうしたの、朱里」
お兄ちゃんはイブに誰かと出かけるの? なんて、こんなこと言われても困るよね。でも、気になる。聞いてしまいたい。でも、束縛が激しい義妹だって思われたらどうしよう。
「ごめん、やっぱり何でもない」
「そう?」
「うん」
ああ、私の意気地無し。せっかくのお兄ちゃんとの時間なのに、もんもんとしたものを抱えて、家に帰った。
だが、しかし。そんなことよりも。私は今、猛烈に焦っていた。
あと、二ヶ月しか、ない!
そう、お兄ちゃんに告白すると決めたバレンタインデーまで、すでに後二ヶ月と少しだ。二ヶ月の間に私は本当に、お兄ちゃんに好きになってもらえる私になれるだろうか。やっぱり、告白は、もうちょっと後回しにしようかな。
生徒会室で、会議の書類をまとめていると、愛梨ちゃんがお兄ちゃんに話しかけた。
「小鳥遊先輩、クリスマスの予定は、空いてますか? 空いてたら、私と……」
そういえば、十二月といえば、クリスマスがあった。偏見だけれど、恋人たちが愛を語りあったり、微妙な関係の二人が一歩踏み出す切っ掛けになることもある日。しまった、私もお兄ちゃんをもっと早く誘っておけば良かった。
けれど、お兄ちゃんは、首を振った。
「悪いけれど、クリスマスは家族と過ごすから」
お兄ちゃんの答えにほっと、胸を撫で下ろす。そういえば、私たちの家は別にクリスチャンというわけではないんだけど、クリスマスはホールケーキをかって、チキンを焼いてお祝いするんだよね。
でも、愛梨ちゃんは積極的だ。
「だったら、イブはどうですか?」
「イブも予定があるんだ。ごめんね」
お兄ちゃん、イブは予定があるのか。残念だ。でも、日本ってクリスマスよりもイブの方が重要視される傾向にある気がするし、もしかして、お兄ちゃんの好きな人とだったらどうしよう。
やっぱり、告白を先伸ばしにしたらだめだ。お兄ちゃんには好きな人がいるけど、愛梨ちゃんだって積極的だし、このままだと、お兄ちゃんは誰かと付き合っちゃうかもしれない。彩月ちゃんには強気に、そうなったらお兄ちゃんをさらうって言ったけど、それでお兄ちゃんが幸せなら、そんなことはしたくないから、きっと私は今後こそ諦めると思う。
もういっそのこと、クリスマスまでに告白しちゃう? いやいやいやいや、勝算もないのに特攻するようなものだ。もう少し、冷静になろう。でも、そもそも、告白でもしないと、いつまでたっても義妹のままで、女の子として見てもらえないんじゃないかな。だから、バレンタインデーに、告白を……。でも、ライバルがバレンタインデーまで待ってくれるとは、限らない。
だから。でも。ぐるぐると頭の中で思考が回る。
「……り」
どうしたら、いいんだろう。
「朱里」
「うわぁ!」
肩を叩かれてびっくりして振り向くと、お兄ちゃんが立っていた。
「驚かせてごめん。今日はもう暗いから一緒に帰ろう」
窓の外を見ると、確かにもう真っ暗だった。でも、だったら、私よりも家が遠い愛梨ちゃんを送った方が……。
「大丈夫だよ、中原さんは智則が送っていったから」
生徒会室を見回すと、確かに冴木先輩と愛梨ちゃんはいなかった。
「だから、大丈夫。ほら、一緒に、帰ろう?」
お兄ちゃんと帰り道を歩く。
「あのっ、お兄ちゃん!」
「ん? どうしたの、朱里」
お兄ちゃんはイブに誰かと出かけるの? なんて、こんなこと言われても困るよね。でも、気になる。聞いてしまいたい。でも、束縛が激しい義妹だって思われたらどうしよう。
「ごめん、やっぱり何でもない」
「そう?」
「うん」
ああ、私の意気地無し。せっかくのお兄ちゃんとの時間なのに、もんもんとしたものを抱えて、家に帰った。
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