お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理

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クリスマス

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 翌日。彩月ちゃんが誘ってくれたので、お出かけだ。駅につくと、送ってくれたお兄ちゃんは笑った。
「夕方には帰ってくるんだよ。ケーキ買って待ってるから。それから、帰るときは連絡してね、迎えに行くから」
「うん! ありがとう、お兄ちゃん」

 「朱里ー」
「彩月ちゃん」
手を振ってくれた彩月ちゃんに手を振り返して、駆け寄る。
「そのネックレス可愛いね」
胸元のネックレスにさっそく気づいてくれた彩月ちゃんは誉めてくれた。
「ありがとう、お兄ちゃんからもらったの」
少し照れながらそういうと、彩月ちゃんはにやにやしながら、
「素敵な誕生日が過ごせたみたいだね」
と言った。

 「……うん」
頬に熱が集まるのを感じながら、頷く。とても素敵な誕生日だった。
「と、いうわけで、私からもプレゼント。一日遅れだけれど、お誕生日おめでとう、朱里」
「ありがとう!」
彩月ちゃんが微笑みながら、私に包みを差し出した。彩月ちゃんにお礼をいって、包みを受けとる。

 「開けてもいい?」
「うん、開けてみて」
どきどきしながら、包みをあける。出てきたのは、小箱だった。小箱もあける。すると、丸い円形のものがでてきた。何だろう。
「練り香水だよ」
「練り香水?」
円形の蓋を回して、あけると、確かにいい香りがした。

 「私も今つけてるのと、同じ香り」
彩月ちゃんに近寄ると、確かに同じ香りがした。
「小鳥遊先輩とのお出かけのときとか、ちょっと背伸びしたいときってあるでしょ? そういうときにいいんじゃないかなって」
そういって、彩月ちゃんは微笑む。確かに、お兄ちゃんってなぜかいい香りがするんだよね。そういう香りをかぐたびに、どきっとしたけれど、これでお兄ちゃんのこともどきっとさせられるかな。

 「ありがとう、彩月ちゃん!」
「どういたしまして。じゃあ、せっかくの休日でクリスマスだし、そろそろ行こうか」
「うん」



 電車にのって、大型ショッピングモールに行く。大型ショッピングモールは、クリスマスだからか、いつもよりたくさんの人たちで溢れていた。

 「そういえば、彩月ちゃんは小塚くんとデートしなくて良かったの?」
せっかくのクリスマスだ。私を誘ってくれて嬉しいけれど、恋人同士で過ごさなくて大丈夫なのかな。
「瞬とは、昨日デートしたから」
「!」
いつのまにか、小塚くんの呼び方が、名字から下の名前になっている。それだけ、彩月ちゃんと小塚くんが親しくなったっていうことだよね。

 私がにやにやとしながら、それを指摘すると、彩月ちゃんは顔を真っ赤にした。
「学校では気を付けてたのに……」
どうやら、そう呼ぶようになったのは、もう少し前かららしい。ラブラブで羨ましい限りだ。

 「それをいうなら、朱里だってラブラブじゃない。海や映画館でデートしたり」
「わっ、私は片思いだから!」
両思いな彩月ちゃんとは事情が違う。私は、ただの義妹として優しく扱われているだけで、恋人として、愛されているわけじゃない。
「でも、バレンタインには告白するんでしょ?」

 そうなんだよね。お兄ちゃんに、バレンタインデーに告白しようと思ってる。お兄ちゃんに好かれる私になりたくて、頑張ってはみているものの、私、本当にそんな自分になれてるのかな。今日だって、お兄ちゃんが駅まで送ってくれたし、お兄ちゃんに張り付くばかりだった頃とそんなに変われていない気がする。


 「そんなことないよ。朱里は変わったよ」
「ほんとに?」
肩を落とした私に彩月ちゃんが、微笑んだ。
「うん、前よりも自立してて、私は今の朱里の方が好きだな」
「ありがとう。って、暗い話ばっかりじゃ、よくないよね、せっかくのクリスマスだもん。楽しまなきゃ」

 彩月ちゃんの手を引いて、洋服を見て回る。あっ、これ可愛いな。これはちょっと、大人っぽい。これは、私にはちょっと派手すぎるかな。あっこれなんか、彩月ちゃんに似合うかも。

 さまざまな感想を言い合いながら、色んなお店を出たり入ったりした。

 と、そろそろお腹が空いてきたのでフードコートでお昼ご飯を食べる。私は、うどんで、彩月ちゃんはスパゲッティーにした。二人とも麺類を選んだことに顔を見合わせて笑った。

 「朱里、右!」
「了解、彩月ちゃんは左をお願い」
食後は、ゲームセンターで二人でできるガンゲームをした。惜しくも最終ステージまで行けなかったけれど、とても楽しかった。

 その後も、二人で色んなゲームをして遊んだ。意外とメダルゲームが、時間をつぶせて楽しかった。メダルゲームって、奥が深いな。

 そろそろいい時間になったので、電車にのって、駅に帰る。心配性のお兄ちゃんに、連絡をすることも忘れない。

 「今日は楽しかった! 誘ってくれてありがとう、彩月ちゃん」
「ううん、こちらこそ。また、遊ぼうね」
名残惜しいけれど、ばいばい、と手を振って別れる。すると、丁度お兄ちゃんが迎えに来てくれていた。

 「朱里、楽しかった?」
お兄ちゃんがにこにこしながら、私に尋ねる。
「うん、すごく楽しかったよ」
お兄ちゃんに、今日はこんなことをした、と報告しながら、帰り道を歩く。お兄ちゃんは、笑って話を聞いてくれた。でも、練り香水をもらったことは秘密にしておこう。それで、いつか、お兄ちゃんをびっくりさせるんだ。

 家に着くと、お父さんとお義母さんが笑って待っていた。私たちはジュースで、お父さんたちはシャンパンで、乾杯する。

 お義母さんが焼いてくれたチキンも、お兄ちゃんが買ってきてくれたケーキもとっても美味しかった。

 何だか今日はいい夢が見れそうだ。そう思いながら、ベッドに転がる。その日、私は幸せな夢を見た。
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