62 / 85
お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね?
とある一日
しおりを挟む
バレンタインデーの日以来、私とお兄ちゃんは、結婚を前提とした彼氏、彼女として付き合うことになった。それは、別にいい……どころか、とても嬉しいことなのだけれど。
「……お兄ちゃん」
「うん? どうしたの、朱里」
付き合うことになった私たちは、以前のように登下校を共にするようになっていた。それも、別にいい……けど。けど!
「この手は、何かな?」
私が尋ねるとお兄ちゃんは不思議そうに、首をかしげた。
「何って? 手を繋いでる以外に何かある?」
「いやいやいや、それが可笑しいんだよ! お兄ちゃん」
そう、お兄ちゃんは登下校の度に手を繋ごうとするのだ! これが、デートならいい。デートとはそういうカップルらしいこともするものだと思うから。でも、登下校は登下校だ。そんな、いちゃいちゃするようなものではないし、それをわざわざ人に見られるようなことをするものじゃないと思う。私がそう指摘すると、お兄ちゃんはじっとりとした目で、私を見た。
「だって、こうしないと朱里に男がよってくるじゃないか」
「私はお兄ちゃんと違ってモテないから大丈夫だよ」
自分で言っていてなんだが、少し悲しくなった。
「ほら、朱里は自覚がない。そーいうのが、一番たちが悪いんだよ。それに、僕は大好きな朱里と手が繋ぎたい。……だめ?」
うっ。あまりの甘さに、吐きそうになる。お兄ちゃんは、付き合うようになってからこうしてストレートに聞いたり、言ったりするようになった。どうやら、私はお兄ちゃんなりに好意をアピールしていたことに全く気づいていなかったようで、それなら言葉を惜しまないとお兄ちゃんは決意したらしい。
それにしても好きな人に、そんな甘いこと言われて断れるはずないと思う。いや、でもTPOは弁えるべき……! さて、どうする。
「おはよう、朱里ちゃん、優」
私たちの姿を見て、かけてきた冴木先輩が顔をひきつらせた。
「ええと、その……仲睦まじいようで何よりだよ」
結局、私の左手はがっちりお兄ちゃんの右手に握られている。冴木先輩は、生暖かいものを見るような目で私とお兄ちゃんをみていた。……私も冴木先輩の立場ならそうすると思う。
と、そこで、たったった、という足音とともに、愛梨ちゃんが駆けてきた。直前で転んだ愛梨ちゃんは盛大にお兄ちゃんにぶつかりそうになったけれど、お兄ちゃんは華麗に避けた。
「あいたたた、どうして、私を避けるんですか、小鳥遊先輩」
起き上がった愛梨ちゃんが、頬を膨らませる。対して、お兄ちゃんは冷静だ。
「普通、突進してきた人のことは避けると思うよ」
けれど、愛梨ちゃんはその言葉には答えず、
「ふーん、手でも繋いでらぶらぶアピールですか。でも、知ってますか? 人前でそーいうことするカップルほど、別れやすいんですから! 私、諦めませんから! 小鳥遊先輩のこと」
そういって、私を睨み付けた。でも、私も負けない。
「私だって、愛梨ちゃんにお兄ちゃんを譲るつもりはないもん」
ばちばちと火花が飛び散る。
「ちょっと、優、止めなよ。俺、また最近胃の調子が最近悪いんだけど」
「なんで? せっかく朱里が独占欲を見せてくれたのに?」
「なに言ってる意味わかんない、みたいな顔してるんだよ!」
お兄ちゃんと冴木先輩が何やらこそこそと話している間に、ホームルーム開始前のチャイムが鳴ったので、愛梨ちゃんとのにらみ合いを切り上げて、学校内に入った。
「……お兄ちゃん」
「うん? どうしたの、朱里」
付き合うことになった私たちは、以前のように登下校を共にするようになっていた。それも、別にいい……けど。けど!
「この手は、何かな?」
私が尋ねるとお兄ちゃんは不思議そうに、首をかしげた。
「何って? 手を繋いでる以外に何かある?」
「いやいやいや、それが可笑しいんだよ! お兄ちゃん」
そう、お兄ちゃんは登下校の度に手を繋ごうとするのだ! これが、デートならいい。デートとはそういうカップルらしいこともするものだと思うから。でも、登下校は登下校だ。そんな、いちゃいちゃするようなものではないし、それをわざわざ人に見られるようなことをするものじゃないと思う。私がそう指摘すると、お兄ちゃんはじっとりとした目で、私を見た。
「だって、こうしないと朱里に男がよってくるじゃないか」
「私はお兄ちゃんと違ってモテないから大丈夫だよ」
自分で言っていてなんだが、少し悲しくなった。
「ほら、朱里は自覚がない。そーいうのが、一番たちが悪いんだよ。それに、僕は大好きな朱里と手が繋ぎたい。……だめ?」
うっ。あまりの甘さに、吐きそうになる。お兄ちゃんは、付き合うようになってからこうしてストレートに聞いたり、言ったりするようになった。どうやら、私はお兄ちゃんなりに好意をアピールしていたことに全く気づいていなかったようで、それなら言葉を惜しまないとお兄ちゃんは決意したらしい。
それにしても好きな人に、そんな甘いこと言われて断れるはずないと思う。いや、でもTPOは弁えるべき……! さて、どうする。
「おはよう、朱里ちゃん、優」
私たちの姿を見て、かけてきた冴木先輩が顔をひきつらせた。
「ええと、その……仲睦まじいようで何よりだよ」
結局、私の左手はがっちりお兄ちゃんの右手に握られている。冴木先輩は、生暖かいものを見るような目で私とお兄ちゃんをみていた。……私も冴木先輩の立場ならそうすると思う。
と、そこで、たったった、という足音とともに、愛梨ちゃんが駆けてきた。直前で転んだ愛梨ちゃんは盛大にお兄ちゃんにぶつかりそうになったけれど、お兄ちゃんは華麗に避けた。
「あいたたた、どうして、私を避けるんですか、小鳥遊先輩」
起き上がった愛梨ちゃんが、頬を膨らませる。対して、お兄ちゃんは冷静だ。
「普通、突進してきた人のことは避けると思うよ」
けれど、愛梨ちゃんはその言葉には答えず、
「ふーん、手でも繋いでらぶらぶアピールですか。でも、知ってますか? 人前でそーいうことするカップルほど、別れやすいんですから! 私、諦めませんから! 小鳥遊先輩のこと」
そういって、私を睨み付けた。でも、私も負けない。
「私だって、愛梨ちゃんにお兄ちゃんを譲るつもりはないもん」
ばちばちと火花が飛び散る。
「ちょっと、優、止めなよ。俺、また最近胃の調子が最近悪いんだけど」
「なんで? せっかく朱里が独占欲を見せてくれたのに?」
「なに言ってる意味わかんない、みたいな顔してるんだよ!」
お兄ちゃんと冴木先輩が何やらこそこそと話している間に、ホームルーム開始前のチャイムが鳴ったので、愛梨ちゃんとのにらみ合いを切り上げて、学校内に入った。
0
あなたにおすすめの小説
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
幽霊じゃありません!足だってありますから‼
かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。
断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど
※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ
※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
婚約を破棄して気づけば私は悪役令嬢でした。
hikari
恋愛
妹に婚約者を奪われて狼狽していたら、自分はある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気づく。
妹のナタリーがヒロイン。両親は妹の味方。唯一の味方が弟のルイでした。
しかも、何をしてもダメ出しをする間抜けな平民のダメンズに言い寄られ、しつこくされています。私に分相応なのはこの平民のダメンズなの!?
悪役令嬢ものは初めてです。
今作はギャグがメイン
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる