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初夜
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「やったわー!! 理由はわかんないけど生き残っちゃった!」
私は、結婚式で暗殺される予定だったのに!! ……なんで、殺されなかったんだろう?
と疑問に思いもするけれど。今は、この幸運に感謝して生きよう。
「……あ、でも」
死ななかった、ということは、これからも人生は続いていくわけで。
今は、結婚生活初日の夜だ。――つまり、初夜だ。……ということは、貴族の一番の責務である子をなすための儀式をしないといけないわけで。
現に私は、ぴかぴかに磨き上げられてナイトドレスを着せられ、ベッドに座っていた。
んー、でも、ヴァンパイアってどうやって子供を作るんだろう。まぁ、いっか。旦那様となった、バードナー公爵が教えて下さるわよね。
そんなことを考えながら、待つこと十分後。
バードナー公爵がやってきた。
「……」
無言で見つめあうこと数十秒。ああ、お顔がやっぱり天才的に美しい。
「あ、の……」
さすがに無言は気まずすぎるので、私の方から話しかけてみる。
「……あ、ああ」
バードナー公爵、もとい、旦那様は困ったように微笑んだ。
「すまない。僕は今日は、とても疲れてしまって……、眠ってもいいだろうか」
「はい! かしこまりました」
笑顔で大きく頷くと、旦那様はほっとしたように息をついた。本当に疲れ切っているようだった。
「おやすみなさいませ」
お互いに一つのベッドに横たわり、布団をかぶる。
「ああ、おやすみ」
◇◇◇
翌朝、大きく伸びをして、目を覚ます。
「今日も、いい朝ね」
って……旦那様がいらっしゃらないわ!!
ヴァンパイアって聞いていたから、てっきり夜行性かと思っていたけれど、そうよね。夜行性だったら、昨日の夜も寝なかったはずよね。
慌てて、ベルを鳴らして侍女を呼び、支度を手伝ってもらう。
公爵邸の侍女はやってくると、首をかしげた。
「あれ……、私は幻覚を見ているのでしょうか。なぜ奥様が――」
「どうしたの、マディ」
マディは、侍女の名前だ。昨日、屋敷に来た時に自己紹介をしてもらったので、名前は間違っていないはず。
「い、いえ! なんでもございません」
マディはよほど驚くことがあったのか、スマートな公爵邸の使用人らしくなく、ぶんぶんと首を振った。
「そう? じゃあ、支度を整えるのを手伝ってくれないかしら?」
「はい、かしこまりました」
マディは恭しく礼をすると、私にドレスを着せたり、髪を巻いたりしてくれた。
「ありがとう、マディ!」
「いえ」
まだ、不思議そうな顔をしているマディに私も首をかしげつつ、ダイニングに行くことにした。
私は、結婚式で暗殺される予定だったのに!! ……なんで、殺されなかったんだろう?
と疑問に思いもするけれど。今は、この幸運に感謝して生きよう。
「……あ、でも」
死ななかった、ということは、これからも人生は続いていくわけで。
今は、結婚生活初日の夜だ。――つまり、初夜だ。……ということは、貴族の一番の責務である子をなすための儀式をしないといけないわけで。
現に私は、ぴかぴかに磨き上げられてナイトドレスを着せられ、ベッドに座っていた。
んー、でも、ヴァンパイアってどうやって子供を作るんだろう。まぁ、いっか。旦那様となった、バードナー公爵が教えて下さるわよね。
そんなことを考えながら、待つこと十分後。
バードナー公爵がやってきた。
「……」
無言で見つめあうこと数十秒。ああ、お顔がやっぱり天才的に美しい。
「あ、の……」
さすがに無言は気まずすぎるので、私の方から話しかけてみる。
「……あ、ああ」
バードナー公爵、もとい、旦那様は困ったように微笑んだ。
「すまない。僕は今日は、とても疲れてしまって……、眠ってもいいだろうか」
「はい! かしこまりました」
笑顔で大きく頷くと、旦那様はほっとしたように息をついた。本当に疲れ切っているようだった。
「おやすみなさいませ」
お互いに一つのベッドに横たわり、布団をかぶる。
「ああ、おやすみ」
◇◇◇
翌朝、大きく伸びをして、目を覚ます。
「今日も、いい朝ね」
って……旦那様がいらっしゃらないわ!!
ヴァンパイアって聞いていたから、てっきり夜行性かと思っていたけれど、そうよね。夜行性だったら、昨日の夜も寝なかったはずよね。
慌てて、ベルを鳴らして侍女を呼び、支度を手伝ってもらう。
公爵邸の侍女はやってくると、首をかしげた。
「あれ……、私は幻覚を見ているのでしょうか。なぜ奥様が――」
「どうしたの、マディ」
マディは、侍女の名前だ。昨日、屋敷に来た時に自己紹介をしてもらったので、名前は間違っていないはず。
「い、いえ! なんでもございません」
マディはよほど驚くことがあったのか、スマートな公爵邸の使用人らしくなく、ぶんぶんと首を振った。
「そう? じゃあ、支度を整えるのを手伝ってくれないかしら?」
「はい、かしこまりました」
マディは恭しく礼をすると、私にドレスを着せたり、髪を巻いたりしてくれた。
「ありがとう、マディ!」
「いえ」
まだ、不思議そうな顔をしているマディに私も首をかしげつつ、ダイニングに行くことにした。
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