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8話
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満足げな神官長が帰って行った後。
「さて」
まだお昼くらいだ。
……ともなれば、やることは一つ。
「森を散策しよう!」
私の目標といえば、スローライフ。
スローライフといえば、好きな時間にお散歩するものだろう、たぶん。
魔物がうようよいるんなら、せっかくだし、ご対面してみたい。
それに、お腹が空いてきたんだよなぁ。
いや、物理的には空いてないんだけど、心理的に。
……というわけで。
「ニートといえども、外にはでよう!」
陽光を浴びることは大事だとかなんとか、神官長もさっき言ってたし。
さて、早速うきうきわくわく、扉を開けーー。
「うっ……!!」
日が眩しい!
え?
陽光ってこんなに眩しかったっけ?
「……だめだ、明日からにしよう」
せめて、夕方。
夕方にしよう。
うんうん。
寝室に戻って、ベッドにダイブ!
私の妄想力もといイメージ力により、ベッドはいつも最高の状態だ。
「わーい」
さっきは、神官長が来て面倒だなぁとか思っていたけど。
神官長が来たことにより、また新鮮な気持ちでぐうたらできる!
そうか、私に足りないのはこれだったんだ!!
適度な刺激。
それが欠けていたのね。
……まあ、毎日来られても困るから、三ヶ月に一度くらいのペースで何か起こったらいいなぁ。
うんうん。
それでは、皆様おやすみなさい。
◇◇◇
(神官長視点)
「……?」
俺がリアナの領地から戻ると、聖女ユリアが待ち構えていた。
「どうしたんだ、聖女ユリア」
ユリアの頭には無垢なる世界樹の冠がある。その冠が、ユリアが聖女たる証だった。
「神官長」
ユリアは、アリアとお揃いのグリーンの瞳で、俺を見つめた。
……嫌な予感がする。
「わたくし、聖女を辞めたいのです」
「……は?」
聖女を辞めたい。
まだ、ユリアが聖女として立ってから、一週間と少し。
ユリアは大いなる光。
そうであるように、育てられてきたはずだ。
そして、ユリア自身もそれを望んでいた。
だからこそ、リアナは煮湯を飲ませざるを得なかった。
「だってぇ」
ふっ、とまつ毛を伏せたユリア。
その表情は、明らかに、以前と異なる。
無垢な様子は微塵も感じられない。これでは、まるでーー。
「わたくし……、恋しちゃったんですもの」
頬を桃色に染め上げて、そう言う姿は、いつぞやのアリアに似ていた。
姉妹なのだから当然なのだが。
「つまり、その無垢なる冠の重みを理解していないと」
アリアと同じか。
……俺は元々ユリアを聖女にするのは反対だった。
それでも、聖女の座にねじ込まれたのは、ユリアのやる気と聖なる力が見込まれてのことだったのに。
しかし、すぐに、その座を放り出すようなら、聖なる力の衰えも早いだろう。
「やだ、こわーい」
ユリアは肩を抱きしめて、震えて見せる。
「なんのために、聖女になった? 誓いの言葉は、嘘だったのか?」
「嘘じゃないわ。気が変わったの」
「さて」
まだお昼くらいだ。
……ともなれば、やることは一つ。
「森を散策しよう!」
私の目標といえば、スローライフ。
スローライフといえば、好きな時間にお散歩するものだろう、たぶん。
魔物がうようよいるんなら、せっかくだし、ご対面してみたい。
それに、お腹が空いてきたんだよなぁ。
いや、物理的には空いてないんだけど、心理的に。
……というわけで。
「ニートといえども、外にはでよう!」
陽光を浴びることは大事だとかなんとか、神官長もさっき言ってたし。
さて、早速うきうきわくわく、扉を開けーー。
「うっ……!!」
日が眩しい!
え?
陽光ってこんなに眩しかったっけ?
「……だめだ、明日からにしよう」
せめて、夕方。
夕方にしよう。
うんうん。
寝室に戻って、ベッドにダイブ!
私の妄想力もといイメージ力により、ベッドはいつも最高の状態だ。
「わーい」
さっきは、神官長が来て面倒だなぁとか思っていたけど。
神官長が来たことにより、また新鮮な気持ちでぐうたらできる!
そうか、私に足りないのはこれだったんだ!!
適度な刺激。
それが欠けていたのね。
……まあ、毎日来られても困るから、三ヶ月に一度くらいのペースで何か起こったらいいなぁ。
うんうん。
それでは、皆様おやすみなさい。
◇◇◇
(神官長視点)
「……?」
俺がリアナの領地から戻ると、聖女ユリアが待ち構えていた。
「どうしたんだ、聖女ユリア」
ユリアの頭には無垢なる世界樹の冠がある。その冠が、ユリアが聖女たる証だった。
「神官長」
ユリアは、アリアとお揃いのグリーンの瞳で、俺を見つめた。
……嫌な予感がする。
「わたくし、聖女を辞めたいのです」
「……は?」
聖女を辞めたい。
まだ、ユリアが聖女として立ってから、一週間と少し。
ユリアは大いなる光。
そうであるように、育てられてきたはずだ。
そして、ユリア自身もそれを望んでいた。
だからこそ、リアナは煮湯を飲ませざるを得なかった。
「だってぇ」
ふっ、とまつ毛を伏せたユリア。
その表情は、明らかに、以前と異なる。
無垢な様子は微塵も感じられない。これでは、まるでーー。
「わたくし……、恋しちゃったんですもの」
頬を桃色に染め上げて、そう言う姿は、いつぞやのアリアに似ていた。
姉妹なのだから当然なのだが。
「つまり、その無垢なる冠の重みを理解していないと」
アリアと同じか。
……俺は元々ユリアを聖女にするのは反対だった。
それでも、聖女の座にねじ込まれたのは、ユリアのやる気と聖なる力が見込まれてのことだったのに。
しかし、すぐに、その座を放り出すようなら、聖なる力の衰えも早いだろう。
「やだ、こわーい」
ユリアは肩を抱きしめて、震えて見せる。
「なんのために、聖女になった? 誓いの言葉は、嘘だったのか?」
「嘘じゃないわ。気が変わったの」
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