上 下
6 / 6

探し物

しおりを挟む
 大丈夫だよ、エフィー。手を握って言うそれは、セドリックの、魔法の言葉。何一つ大丈夫、じゃないのに。その言葉があれば、何だってできる、気がした。

 「友達なら愛称で呼ぶのも、当たり前かなって思ったんだけど、どうかな?」
そう言ったセドリオの言葉にはっとする。息がとまっていた。

 「あ、はい、いいと……思います」
思わず生返事になりながら言うと、セドリオはふわりと微笑んだ。
「だったら、君のことをエフィーと呼ぶね。僕のことも、リオって呼んで」


 あのまま結局、セドリオには押しきられ、私はセドリオと友達になってしまった。

 必要最低限のかかわり合いにとどめようと思っていたのに、セドリオと友達になってしまった以上、ある程度の接触は避けられない。

 どうしよう。それで、また、あんな声で、私を拒絶されたら。その日は不安でなかなか寝付けなかった。

 ■ □ ■

 
 「──と、言うわけでね、エフィーと友達になったんだ」
僕がそういうと、『もう一人の僕』であるルカルドは、愛おしむようにその名を呼んだ。

 「……エフィー」
「本当の名前はエフィーシアっていうのだけどね。ルカどうかした?」

 「いや、単なる偶然だろう。何でもないよ、リオ」
「ならいいんだけど」

 ちなみに、姿はこんな感じ。と、僕が描いた彼女の似顔絵を見せると、ルカルドは顔をしかめた。
「私たちは何から何まで一緒だが、絵のセンスは一緒だと思いたくないな」
「そう? 僕としては、かなり上出来だと思うけどな」

 相変わらず、ルカルドは美術に厳しい。肩を竦めると、気を取り直して、ルカルドに聞く。

 「……ところで、探し物は見つかりそう?」
僕の問いに、ルカルドはため息で返した。あんまり、調子は良くないみたいだ。

 これ以上そのことについて、追求するのもあれなので、僕は別の話題を振ってルカルドと過ごした。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

ベイマックス

ルカはセドリックで探し物はエフィーですかね?続き読みたいです。

夕立悠理
2019.10.29 夕立悠理

お読みくださりありがとうございます。他の話が落ち着いたら書きたいとは思っているのですが、お約束できず申し訳ありません。

解除

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。