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婚約者

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え、えええええええ。とてもびっくりだわ。私のどこがいいんだろう。さっき、すっごく不敬だったのに。
「キャロルは、僕のこと怖くないでしょう?」

 なんで私の考えたことが──って、セオドア殿下は心が読めるんだったわ。すごい! これなら、おしゃべりしなくても伝わるからお父様にも怒られないわ!

 「殿下、恐れながら我が娘は、その──」
お父様がだらだらと汗をかきながら、セオドア殿下になにかをいいかけたけれど。

 「僕は、彼女のよく話すところも好ましいと思います」

 「……さようにございますか」
 セオドア殿下は、私みたいなおしゃべりさんが嫌いじゃないのね。

 お父様はセオドア殿下の笑みに気圧されたのか、黙った。そして、私を見つめている。

 あの目は──、しゃべっていいぞ! ってことよね!!!

 「私でよろしければ、よろこんで」
おしゃべりな私でもいいのなら。きっと、素敵な家族になれるわ。そんな予感がするの。

 そうして、私たちは婚約者になったのだった。
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