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SS
【書籍化記念SS】大食い大会2
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「まぁ!」
クロ様……もとい、王妃様は顔を輝かせた。
「ちなみに、なんの大食い大会なの?」
「ええと……スパイスましましポテトに、こってり魚介パスタに、特大ステーキに……」
「大食いって言うから、てっきり、同じものを食べるのかと思っていたけど……」
たしかに。
私もそう思った。
「最高ね! 飽きずにたくさんの料理が食べれるなんて! ぜひ、参加しましょう」
推し(王妃様)は、腕まくりをし始めた。
服から覗くその腕は、思った以上に引き締まっている。……そう、我が推しは、剣術道場で日々鍛え抜かれた美しい筋肉をお持ちなのだ。
その美しさに思わず息を呑んでいると、王妃様は、首を傾げた。
「ルィードは参加しないの?」
愚問である。
「もちろん、しますよ」
我が推しと共に、食事がとれる絶好の機会だ。私が逃すはずもない。
「それじゃあ、エントリーしましょう」
◇◇◇
「……というわけで」
「何がというわけなんだ?」
我が主が、頭を押さえてため息をつく。
「ルィード、お前なにちゃっかり二位をとってるんだ!」
「てへ、それほどでも。もっと褒めていいですよ」
もらったメダルを見せびらかしながら、そういうと、陛下は、はぁ、とため息をついた。
「わかります。本来なら王妃様との同率一位を目指したかったところです。それに怒ってらっしゃるんですよね?」
私が不甲斐ないばかりに、ワンツーフィニッシュを飾ってしまうとは。
「……違うが、まぁ、休憩時間に何をしようが自由だしな」
「はい、自由です。あ、陛下はい、これ」
ちなみに、一位と二位のみ表彰され、表彰特典として、王妃様と私の絵を描いてもらった。
絵を描いたのは、私が大っ嫌いな、あの絵画教室の講師だった。
しかし、さすがは王妃様に惚れ込んでいた画家である。
王妃様の美しさを如実に表した素晴らしいできばえであった。
その複写の絵を差し出すと、陛下は、ほぅ、吐息を漏らした。
わかります、王妃様とっても素敵な笑顔ですものね。
けれど、その後に複雑そうな顔をした。
「妻と他の男の絵を渡されてもな……」
とかいいつつ、陛下ったら、この絵を飾ってくださること知ってますよ。
私は陛下にとって可愛い部下ですものね(はぁと)
「うっ……急に寒気が」
「そうですか? 早くねた方がいいんじゃないですか?」
「……そうする」
アイザルシア王国は、今日も平和だった。
⭐︎⭐︎⭐︎
いつもお読みくださり、ありがとうございます!!
本作の書籍化が決定いたしました。
これも、お読みくださる皆様方のおかげです。まことにありがとうございます。
レーベル:レジーナブックス様
発売日:1月下旬
クロ様……もとい、王妃様は顔を輝かせた。
「ちなみに、なんの大食い大会なの?」
「ええと……スパイスましましポテトに、こってり魚介パスタに、特大ステーキに……」
「大食いって言うから、てっきり、同じものを食べるのかと思っていたけど……」
たしかに。
私もそう思った。
「最高ね! 飽きずにたくさんの料理が食べれるなんて! ぜひ、参加しましょう」
推し(王妃様)は、腕まくりをし始めた。
服から覗くその腕は、思った以上に引き締まっている。……そう、我が推しは、剣術道場で日々鍛え抜かれた美しい筋肉をお持ちなのだ。
その美しさに思わず息を呑んでいると、王妃様は、首を傾げた。
「ルィードは参加しないの?」
愚問である。
「もちろん、しますよ」
我が推しと共に、食事がとれる絶好の機会だ。私が逃すはずもない。
「それじゃあ、エントリーしましょう」
◇◇◇
「……というわけで」
「何がというわけなんだ?」
我が主が、頭を押さえてため息をつく。
「ルィード、お前なにちゃっかり二位をとってるんだ!」
「てへ、それほどでも。もっと褒めていいですよ」
もらったメダルを見せびらかしながら、そういうと、陛下は、はぁ、とため息をついた。
「わかります。本来なら王妃様との同率一位を目指したかったところです。それに怒ってらっしゃるんですよね?」
私が不甲斐ないばかりに、ワンツーフィニッシュを飾ってしまうとは。
「……違うが、まぁ、休憩時間に何をしようが自由だしな」
「はい、自由です。あ、陛下はい、これ」
ちなみに、一位と二位のみ表彰され、表彰特典として、王妃様と私の絵を描いてもらった。
絵を描いたのは、私が大っ嫌いな、あの絵画教室の講師だった。
しかし、さすがは王妃様に惚れ込んでいた画家である。
王妃様の美しさを如実に表した素晴らしいできばえであった。
その複写の絵を差し出すと、陛下は、ほぅ、吐息を漏らした。
わかります、王妃様とっても素敵な笑顔ですものね。
けれど、その後に複雑そうな顔をした。
「妻と他の男の絵を渡されてもな……」
とかいいつつ、陛下ったら、この絵を飾ってくださること知ってますよ。
私は陛下にとって可愛い部下ですものね(はぁと)
「うっ……急に寒気が」
「そうですか? 早くねた方がいいんじゃないですか?」
「……そうする」
アイザルシア王国は、今日も平和だった。
⭐︎⭐︎⭐︎
いつもお読みくださり、ありがとうございます!!
本作の書籍化が決定いたしました。
これも、お読みくださる皆様方のおかげです。まことにありがとうございます。
レーベル:レジーナブックス様
発売日:1月下旬
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退会済ユーザのコメントです
お読みくださりまたとても素敵なご感想をありがとうございます!
ダリウスとの別れは、1番気合を入れて書いたので、そういっていただけてとても嬉しいです。ダリウスが幸せになる話やイフも書いてみたいなとは思うのですが、おっしゃる通りダリウスとはよりを戻さないのがテーマの一つでもあったので、とても嬉しいです!
とても素敵なご感想を本当にありがとうございました!!
とても面白かったです。
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お読みくださりありがとうございます。
登場人物たちのことを褒めていただけて、とても嬉しいです!!
こちらこそ、素敵なご感想ありがとうございます!
このおはなし大好きで何度も読み返してるんですけど、ルィードさんのお話ありがとうございます。
…書籍化はめでたいけど、ここも引き下げられちゃうんですよね?
さみしい…
お読みくださりありがとうございます。
こちらは、レンタルに切り替わるようです!