13 / 17
穏やかな時間
しおりを挟む
「なぁ、フレーネ。もし、よければ、今日も喫茶店に行かないか?」
「ぜひ」
ここ数日、ノーハルトと親しくなった、と思う。もう、オカトのお礼は済んだというのに、毎日喫茶店に誘われるのだ。でも、おいしいケーキが食べられるのに、断る理由もなく、放課後に一緒に喫茶店でケーキを食べるのが日課となりつつあった。
「ノーハルトは甘いもの大丈夫なのですね」
男性といえば、甘いものは苦手なイメージを勝手に抱いていたのだけれども、ノーハルトはとても美味しそうにケーキを頬張っている。
時折見せる、幸せそうな笑みにこちらまで、嬉しくなってくるほどだ。
「ああ。甘いもの、好きなんだ……、男らしくないと笑うか?」
「いいえ、笑いません。甘党仲間ができたと思って、嬉しいです」
お父様もお母様も甘いものは苦手だった。だから、こうして、甘いものを誰かと一緒に食べられることが、とても嬉しい。
「そうか、ならよかった。俺も貴方とこうして、食べる時間は好きだ」
相変わらず、ノーハルトは海のような青い瞳で真っ直ぐ言うものだから、照れてしまう。
最近、マリアンナ学園での生活が楽しい。以前は、〈竜王の花嫁〉になることしか考えていなかったけれど、ノーハルトと好きな本について話したり、貸し借りしたり。まるで、普通の学生みたいだ。
「……フレーネ?」
「いえ、何でもありません」
口元に思わず笑みが浮かんでしまったらしい。慌てて、表情を戻し、甘いケーキを味わった。
■ □ ■
「……で」
「で?」
自室に戻ると、にゃあにゃあと鳴きながら、すり寄ってきたオカトに首をかしげる。
「いつになったら聞き出すんです? ノーハルト様、親しくなるためなんていいつつ、毎日楽しく放課後デートをしてるだけじゃないですか」
「ば、ばか! デートじゃない! これも、作戦の一環だ」
慌てて否定すると、どうだか、と鼻を鳴らした。
「それに、最近、鏡を見る時間が延びているのにお気づきですか?」
そうだろうか。自分では自覚がない。
「そうだとして、それがどうしたんだ?」
別に鏡を見るくらい普通だろう、と尋ねると、オカトは見るからに呆れた顔をした。
「いえ、わからないならいいです。それで、今日のアンナ嬢の様子ですが──」
その表情が気になりつつ、オカトの報告に耳を傾けた。
「ぜひ」
ここ数日、ノーハルトと親しくなった、と思う。もう、オカトのお礼は済んだというのに、毎日喫茶店に誘われるのだ。でも、おいしいケーキが食べられるのに、断る理由もなく、放課後に一緒に喫茶店でケーキを食べるのが日課となりつつあった。
「ノーハルトは甘いもの大丈夫なのですね」
男性といえば、甘いものは苦手なイメージを勝手に抱いていたのだけれども、ノーハルトはとても美味しそうにケーキを頬張っている。
時折見せる、幸せそうな笑みにこちらまで、嬉しくなってくるほどだ。
「ああ。甘いもの、好きなんだ……、男らしくないと笑うか?」
「いいえ、笑いません。甘党仲間ができたと思って、嬉しいです」
お父様もお母様も甘いものは苦手だった。だから、こうして、甘いものを誰かと一緒に食べられることが、とても嬉しい。
「そうか、ならよかった。俺も貴方とこうして、食べる時間は好きだ」
相変わらず、ノーハルトは海のような青い瞳で真っ直ぐ言うものだから、照れてしまう。
最近、マリアンナ学園での生活が楽しい。以前は、〈竜王の花嫁〉になることしか考えていなかったけれど、ノーハルトと好きな本について話したり、貸し借りしたり。まるで、普通の学生みたいだ。
「……フレーネ?」
「いえ、何でもありません」
口元に思わず笑みが浮かんでしまったらしい。慌てて、表情を戻し、甘いケーキを味わった。
■ □ ■
「……で」
「で?」
自室に戻ると、にゃあにゃあと鳴きながら、すり寄ってきたオカトに首をかしげる。
「いつになったら聞き出すんです? ノーハルト様、親しくなるためなんていいつつ、毎日楽しく放課後デートをしてるだけじゃないですか」
「ば、ばか! デートじゃない! これも、作戦の一環だ」
慌てて否定すると、どうだか、と鼻を鳴らした。
「それに、最近、鏡を見る時間が延びているのにお気づきですか?」
そうだろうか。自分では自覚がない。
「そうだとして、それがどうしたんだ?」
別に鏡を見るくらい普通だろう、と尋ねると、オカトは見るからに呆れた顔をした。
「いえ、わからないならいいです。それで、今日のアンナ嬢の様子ですが──」
その表情が気になりつつ、オカトの報告に耳を傾けた。
4
あなたにおすすめの小説
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
モブなので思いっきり場外で暴れてみました
雪那 由多
恋愛
やっと卒業だと言うのに婚約破棄だとかそう言うのはもっと人の目のないところでお三方だけでやってくださいませ。
そしてよろしければ私を巻き来ないようにご注意くださいませ。
一応自衛はさせていただきますが悪しからず?
そんなささやかな防衛をして何か問題ありましょうか?
※衝動的に書いたのであげてみました四話完結です。
円満離婚に持ち込むはずが。~『冷酷皇帝の最愛妃』
みこと。
恋愛
「あなたと子を作るつもりはない」
皇帝シュテファンに嫁いだエリザは、初夜に夫から宣言されて首をかしげる。
(これは"愛することのない"の亜種?)
前世を思い出したばかりの彼女は、ここが小説『冷酷皇帝の最愛妃』の中だと気づき、冷静に状況を分析していた。
エリザの役どころは、公爵家が皇帝に押し付けた花嫁で、彼の恋路の邪魔をするモブ皇妃。小説のシュテファンは、最終的には運命の恋人アンネと結ばれる。
それは確かに、子どもが出来たら困るだろう。
速やかな"円満離婚"を前提にシュテファンと契約を結んだエリザだったが、とあるキッカケで彼の子を身ごもることになってしまい──?
シュテファンとの契約違反におののき、思わず逃走したエリザに「やっと見つけた」と追いすがる夫。
どうやら彼はエリザ一筋だったらしく。あれ? あなたの恋人アンネはどうしたの?
※小説家になろう様でも掲載しています
※表紙イラスト:あさぎかな先生にコラージュアートをいただきました
※毎朝7時に更新していく予定です→2月15日からはランダム更新となります。ご了承ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる