星に祈りをかけるなら、

夕立悠理

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そのよん

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「全属性?」
だから、いったいなんだというのだろう。
「この硬貨は簡易的な属性テストに使われる」
「……はぁ」
属性テストというものがそもそもなんなのか、わからない。

 「硬貨は魔力がある者にしかみえない。お前には魔法の才能があるんだ」
「えぇ!?」
それは何かの間違いだ。この国の子供たちは必ず5歳のころ、魔力検査を受ける。私は適正なしだったはずだ。

 私がそういうと、男性は顔をしかめた。
「なに? 適正なし? 全属性持ちがそんなはずはない。……あるいは、魔力量が多すぎて測定できなかったか」
そんなこと……あるのかしら。私は平凡な人間だ。魔法が使えるなんて到底思えない。

 「とにかく、お前は俺と一緒に来てもらう」






 私は訳がわからないまま、男性と行動を共にすることになった。宿屋の主人も止めてくれたのだけれど、全属性持ちの隠匿は重罪になるとかなんとか言いくるめられ、宿屋もやめることになった。

 「荷物は、それだけか?」
「はい」
私が頷くと、男性──名前はリオンというらしい──は、すたすたと歩きだした。慌ててその後をついていく。

 「あのっ、リオンさん」
「どうした?」
「本当に私に魔法が使えるんでしょうか?」
信じられない。私は、平凡で。きっとだから、ロイドも私を選んでくれなくて。

 「……それを確かめに行くんだ」


 王城につくと、リオンさんは羽織っていたローブを脱いだ。
「!」
リオンさんの服装は、上級魔法使いにしか許されないものだった。左胸には、5色のバッチがついている。その色は硬貨と同じ色だった。でも、一色……黒がない。

 私がその事を指摘すると、リオンさんは眉をしかめた。
「俺には黒魔法は使えない」
黒魔法。精神に作用する類いの魔法だと聞いたことがある。確かそれを使える人はとても限られているのだとか。

 「俺の話はいい。今は、お前だ。そういえば、名を聞いていなかったな。お前の名は?」
「ナターシャです」
「では、ナターシャ。今からお前は魔力検査を受けることになる」
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