なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ

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1章.サバイバル編

10話.初遭遇!?

 うっすらと聞こえた声が自分のみに聞こえているものなのかを確認するクロム。
 なぜなら聞こえた声はあまりにも小さく、空耳であるようにも感じられたからであった。

「今の声ってナビにも聞こえたか?」

『かなりうっすらとだったけど、聞こえたわよ。
 あれはたぶん人の声かな』

 ナビがそう言い切る前に空耳ではなく人の声であると判断したクロムは、声のした方向へと走り出した。
 やがて声の主に近づいたためであろうか、わずかにしか聞こえなかった音がしっかりとした声へと変わっていくのであった。
 そしてその声や音には金属がぶつかり合うようなカン高い音も混ざっていた。

「そろそろだな」

 クロムの視線は複数の人影を捉えていた。

「あの豚頭っぽいのって、オーク…… か?」

『あたりだね』

「たぶん…… 猫耳っぽい娘がオークに追われて逃げてる…… ??」

『おそらくそうだろうね』

 クロムはナビの肯定の言葉を聞くと同時に飛び出し、さらに魔力を練り始めた。
 突進しているクロムの周囲を魔力の靄が包み込み、やがて5本のアイスランスが生成された。

 クロムは猫耳娘を襲っているオーク5匹にむかってそれらを放つ。
 高速で飛翔するアイスランスがオークたちを襲撃する。
 右手が吹き飛ぶもの、頭が吹き飛ぶもの、胴体に大きな風穴を開けるもの。

 オークたちは突然の事にまったく対応できないまま一方的に攻撃を受けるしかなかった。
 周りのオークたちが一瞬で絶命していくなか、1匹のみ右手が吹き飛ぶだけで済んだオークはそこでやっと襲撃にあっているのだと気が付いた。
 そして、自分たちを全滅させた攻撃が飛んできた方向を振り向いた瞬間、そのオークが右半身と左半身に分断され、目の前に一人の男が立っていることになった。

「えっと、大丈夫か?
 見たところ、そこら中が傷だらけだが……」

「……」

「悪いが、とりあえず勝手に治療させてもらうぞ」

 クロムはそういうと、猫耳娘の頭に手を乗せ、自分の魔力を猫耳娘に流し込み始めると同時に、それを娘の体内で循環させ始めた。
 次に流し込む魔力に治癒のイメージを混め始めると、猫耳娘の身体は淡い光に包まれ、光が収まると身体中の傷が治っていた。

「っっ!!!!!」

「これで傷は完治したはずだな。
 とりあえず自己紹介をさせてくれ、俺の名前はクロム。
 まぁ、洞くつ探索をしていたら、この現場に出くわしたってところだな」

「……
 …… 助けて頂きありがとうございます、アキナです……
 それに…… これは回復魔術…… ですか?」

「そうだけど何かまずかったか?」

「風と氷の攻撃魔術に…… 回復魔術、さらにその周りの光源は、火の魔術……
 クロムさん…… 
 あなたは何者なのですか?」

 クロムはそう問われて何と答えるべきか迷った。
 異世界人であり、転生してきた。 なんて答えた場合、良くてドン引きってところであろう……

「ん~、実は最近の記憶しかないんだ。
 それより前の記憶はなく、どこから来たのかもわからない。
 この洞くつの奥地で目覚め、とりあえず脱出するために入口に向かっているところだった…… って明らかに俺は不審者だな……」

「確かに伺った内容だけですと不審者ですが……
 ただ…… 命の恩人であり、治療までして頂いた上に、初対面の人の失礼な質問にも真摯に答える
 これでクロムさんを不審者扱いしたら、わたしはあまりにも不義理者ですね」

 そういうと、アキナは苦笑いを浮かべた。

「改めて、助けて頂いてありがとうございます。
 わたしはこの洞くつの近くにある街、ルインの冒険者のアキナです。
 もしよろしければ、お礼兼ねてお食事でも御馳走させてください。
 …… それに記憶喪失では色々とお困りになるでしょうし……」

「その申し出は素直に助かるよ、一般常識などもどこまで覚えているのか正直不安で……
 洞くつの外まで護衛させてもらうので、少し一般常識などを教えてもらえないかな」

「クスクス、面白い方ですね。
 わかりました、洞くつをでるまで宜しくお願いします。
 洞くつを出たら、街までは30分程度ですので、その間に色々お話しましょうか」

 そういうと、クロムとアキナは洞くつの入り口に向けて歩きだすのであった。

『しばらくの間は僕は黙っておくよ。
 僕としゃべって、この子に変な人と思われるのは得策じゃないだろうしね』

 ナビの空気を読んだ対応に感謝しつつも、これからのことに思いを馳せるはせるクロムであった。
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