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1章.サバイバル編
11話.初めての街
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入り口までの道中、ポツリとアキナがこぼすのであった。
「クロムさんって、ホントに何者なんだろね……」
道中が狼? ウサギ? のような弱い魔物のみの生息域にあたる場所であったため、クロムの視界内に登場した瞬間にクロムが片手間で瞬殺させていた。
そんな光景が続いていたのだから、冒頭の疑問も当然のものである。
「それは俺が一番思っているかもだなぁ
おそらく…… 魔術が得意だったんだろうなとは思うけどね」
自分の正体を素直に言うことのできないクロムは、嘘に嘘を重ねなければならない今の話題があまりにも心苦しく、話題を変えることにした。
「そういえば今から向かう街、ルインだっけ? ってどんな街なんだ?」
「ルインですか、となるとこの大陸全体の説明からしたほうが良さそうですね」
アキナが説明してくれた大陸の情報はこんな感じであった。
・大陸の名前は<ロンダルディア>であり、<竜の牙>と呼ばれる巨大な山脈群が大陸中央部に存在しており、大陸を三分割していること。
・竜の牙で三分割された大陸は3つの国家が存在していること。
・大陸東部は、人族が主権を持つ国であり、人族至上主義を掲げる国である<カロライン王国>が存在していること。
・大陸西部は、獣人族が主権を持つ国であり、強き者が偉いという国である<ダイン獣王国>が存在していること。
・大陸南部は、エルフ族が主権を持つ国であり、上位種である「ハイエルフ」を神として崇める国である<聖セイクリッド神国>が存在していること。
・この3国をまとめてロンダルディア3大国ということ。
・竜の牙の中央部であり、ロンダルディア3大国全てが接する場所に緩衝地帯として作られたのが<自由自治国家ルイン>であること。
・ルインは絶えず3大国からの干渉を受けており、<自治議会>による貴族制議会政治を行っているが、全10名の議員のうち9名は3大国からそれぞれ選出された貴族が担当することになっていること。
・ルインは独自の軍隊を持っていないため、軍事力は<冒険ギルド>に委任していること。
「何が覚えている記憶なのかわからなかったから、基本的なことからざっと説明したけど……」
「ありがとな、大部分が覚えてないことだったから助かったよ」
「今の内容を覚えてないって……
生活に支障があるレベルで覚えてないみたいだね……」
「これから徐々に覚えていくしかないさ。
でも心配してくれてありがとな」
「ど、どういたしまして。
そ、そろそろ入り口が見えてきたわね!」
クロムは急に態度に動揺が見られるようになったアキナを不思議に思ったが、特に触れることもなくそのまま洞くつから脱出することにした。
「ふぅ~、やっぱり外は気持ちいいわね♪
これを感じれるのもクロムさんのおかげだね!」
「そう言ってもらえるのは嬉しいね」
「じゃあ、ルインにいこっか」
クロムとアキナは先ほどまでと同じように他愛もない会話を楽しみながらルインに向けて歩き始めた。
しばらくすると、二人の視界の先に大きな城壁が姿を現すのであった。
「すげー城壁だな!!
あれがルインか??」
「うん!
あれが城塞都市とも呼ばれる自由自治国家ルインだよ」
「自治議会の内情とかを聞いたあとに<自由自治>と聞くとなんか滑稽でもあるけどな」
「それは…… ね……」
苦笑するしかないアキナは城門へと続く行列の最後尾へとクロムを連れて行った。
ルインに入るためには城門で身分証明のチェックを受けなければならないらしい。
「俺…… 身分証明できるものなんてないぞ?」
「ん~、私の命の恩人として、私が保証すればたぶん大丈夫のはずよ」
「アキナってお偉いさんなのか!??」
「いやいやいやいや、私はただの冒険者よ。
でもルインは軍事力を冒険者に委任してる関係上、冒険者が責任を持てばそれなりの融通をしてもらえる関係になってるの」
「ということは……
もし俺が何か問題起こしたらアキナに多大な迷惑がかかるってことじゃないのか?」
「そうなるわね
でもクロムさんは命の恩人だし、ここに来るまで話をしてて信じてもいいって思えちゃってるから。
信用してるからね、クロムさん♪」
「ありがたい限りだけど、アキナって騙されやすくないか? と心配にもなるぞ?」
「うぅ…… 否定はできないけどさ……
騙すよりは騙されるほうがいいもん!!!!」
「綺麗ごとにも聞こえるけど、俺はそういう人のほうが好きだな」
「あ、ありがとね」
そんな会話をしているうちにクロムたちの順番となった。
やはり予想通り身分証を持っていないクロムは、相当怪しまれた。
アキナも必死に説得してくれているが、中々納得してもらえず半ば諦めかけたころ門衛の上官が姿を見せたのである。
「何を騒いでる!!」
「は! この者が身分証を持っておらず、怪しいので入街を拒否していたところです」
「だから、冒険者の私が彼については責任を持つって言ってるじゃない!!」
「一人の冒険者の責任だけで、身分証明すらできない者を入れることはできないんだよ」
「ん? アキナじゃないか!!!
そこまで熱心に説得するとはどうしたんだ?」
「彼は私の命の恩人なの! お礼のために街に招待しただけなんだから!!!!
門衛長さんならわかってくれない?」
「ん~、アキナがそこまで信じている相手なら俺も信じてあげようじゃないか。
彼についてはアキナと俺が保証するよ、だから入れてやってくれ」
「おじさん、ありがと!!」
「いつもおじさんって言うなって言ってるだろ!!」
「ごめんごめん」
門衛長さんのことを軽く流したアキナは、クロムの手をとって街に入っていった。
アキナの反応に苦笑を浮かべる門衛長であったが、楽しそうなアキナの後ろ姿を満足そうに眺めながら二人を見送るのであった。
「クロムさんって、ホントに何者なんだろね……」
道中が狼? ウサギ? のような弱い魔物のみの生息域にあたる場所であったため、クロムの視界内に登場した瞬間にクロムが片手間で瞬殺させていた。
そんな光景が続いていたのだから、冒頭の疑問も当然のものである。
「それは俺が一番思っているかもだなぁ
おそらく…… 魔術が得意だったんだろうなとは思うけどね」
自分の正体を素直に言うことのできないクロムは、嘘に嘘を重ねなければならない今の話題があまりにも心苦しく、話題を変えることにした。
「そういえば今から向かう街、ルインだっけ? ってどんな街なんだ?」
「ルインですか、となるとこの大陸全体の説明からしたほうが良さそうですね」
アキナが説明してくれた大陸の情報はこんな感じであった。
・大陸の名前は<ロンダルディア>であり、<竜の牙>と呼ばれる巨大な山脈群が大陸中央部に存在しており、大陸を三分割していること。
・竜の牙で三分割された大陸は3つの国家が存在していること。
・大陸東部は、人族が主権を持つ国であり、人族至上主義を掲げる国である<カロライン王国>が存在していること。
・大陸西部は、獣人族が主権を持つ国であり、強き者が偉いという国である<ダイン獣王国>が存在していること。
・大陸南部は、エルフ族が主権を持つ国であり、上位種である「ハイエルフ」を神として崇める国である<聖セイクリッド神国>が存在していること。
・この3国をまとめてロンダルディア3大国ということ。
・竜の牙の中央部であり、ロンダルディア3大国全てが接する場所に緩衝地帯として作られたのが<自由自治国家ルイン>であること。
・ルインは絶えず3大国からの干渉を受けており、<自治議会>による貴族制議会政治を行っているが、全10名の議員のうち9名は3大国からそれぞれ選出された貴族が担当することになっていること。
・ルインは独自の軍隊を持っていないため、軍事力は<冒険ギルド>に委任していること。
「何が覚えている記憶なのかわからなかったから、基本的なことからざっと説明したけど……」
「ありがとな、大部分が覚えてないことだったから助かったよ」
「今の内容を覚えてないって……
生活に支障があるレベルで覚えてないみたいだね……」
「これから徐々に覚えていくしかないさ。
でも心配してくれてありがとな」
「ど、どういたしまして。
そ、そろそろ入り口が見えてきたわね!」
クロムは急に態度に動揺が見られるようになったアキナを不思議に思ったが、特に触れることもなくそのまま洞くつから脱出することにした。
「ふぅ~、やっぱり外は気持ちいいわね♪
これを感じれるのもクロムさんのおかげだね!」
「そう言ってもらえるのは嬉しいね」
「じゃあ、ルインにいこっか」
クロムとアキナは先ほどまでと同じように他愛もない会話を楽しみながらルインに向けて歩き始めた。
しばらくすると、二人の視界の先に大きな城壁が姿を現すのであった。
「すげー城壁だな!!
あれがルインか??」
「うん!
あれが城塞都市とも呼ばれる自由自治国家ルインだよ」
「自治議会の内情とかを聞いたあとに<自由自治>と聞くとなんか滑稽でもあるけどな」
「それは…… ね……」
苦笑するしかないアキナは城門へと続く行列の最後尾へとクロムを連れて行った。
ルインに入るためには城門で身分証明のチェックを受けなければならないらしい。
「俺…… 身分証明できるものなんてないぞ?」
「ん~、私の命の恩人として、私が保証すればたぶん大丈夫のはずよ」
「アキナってお偉いさんなのか!??」
「いやいやいやいや、私はただの冒険者よ。
でもルインは軍事力を冒険者に委任してる関係上、冒険者が責任を持てばそれなりの融通をしてもらえる関係になってるの」
「ということは……
もし俺が何か問題起こしたらアキナに多大な迷惑がかかるってことじゃないのか?」
「そうなるわね
でもクロムさんは命の恩人だし、ここに来るまで話をしてて信じてもいいって思えちゃってるから。
信用してるからね、クロムさん♪」
「ありがたい限りだけど、アキナって騙されやすくないか? と心配にもなるぞ?」
「うぅ…… 否定はできないけどさ……
騙すよりは騙されるほうがいいもん!!!!」
「綺麗ごとにも聞こえるけど、俺はそういう人のほうが好きだな」
「あ、ありがとね」
そんな会話をしているうちにクロムたちの順番となった。
やはり予想通り身分証を持っていないクロムは、相当怪しまれた。
アキナも必死に説得してくれているが、中々納得してもらえず半ば諦めかけたころ門衛の上官が姿を見せたのである。
「何を騒いでる!!」
「は! この者が身分証を持っておらず、怪しいので入街を拒否していたところです」
「だから、冒険者の私が彼については責任を持つって言ってるじゃない!!」
「一人の冒険者の責任だけで、身分証明すらできない者を入れることはできないんだよ」
「ん? アキナじゃないか!!!
そこまで熱心に説得するとはどうしたんだ?」
「彼は私の命の恩人なの! お礼のために街に招待しただけなんだから!!!!
門衛長さんならわかってくれない?」
「ん~、アキナがそこまで信じている相手なら俺も信じてあげようじゃないか。
彼についてはアキナと俺が保証するよ、だから入れてやってくれ」
「おじさん、ありがと!!」
「いつもおじさんって言うなって言ってるだろ!!」
「ごめんごめん」
門衛長さんのことを軽く流したアキナは、クロムの手をとって街に入っていった。
アキナの反応に苦笑を浮かべる門衛長であったが、楽しそうなアキナの後ろ姿を満足そうに眺めながら二人を見送るのであった。
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