119 / 147
7章.神々の思惑編
111話.決意
しおりを挟む
「まじかぁ……」
ミレストン中心部に最近建築された大きな洋館、その書斎にクロムの嘆き声が響き渡っていた。
なぜなら、ゴランが先日の聖セイクリッド神国への侵攻に失敗したことについての報告をしたためである。
「クロム殿、不甲斐ない結果で申し訳ない……
ご依頼もこなせず無様な退却をしたことを……」
神妙な表情のゴランが謝罪の言葉を言い始めたところで、アキナから横やりが入った。
「ゴランさんは悪くないわよ!!
むしろ魔導王と言われる聖王を倒してこいっていう依頼がそもそも無茶苦茶なのよ!!
クロム! ちゃんと聞いてるの!!? 」
普段のアキナからは想像もつかないほどの剣幕に驚きを隠せないクロム。
そしてほぼ壊滅状態であったはずの聖セイクリッド神国軍の殲滅指示《せんめつしじ》がそれほど無茶な指示であったとも思えないのであった。
「あ、アキナさん、少し落ち着いて……
なんでそこまで怒ってるのか教えて欲しいんだけど……」
「はぁ……、クロムはこの世界の常識に疎いことをすっかり忘れてたわ……
魔導王とも呼ばれる聖セイクリッド神国の聖王って知ってる??」
「初耳だね、響きからは有名人って感じはするけどね」
「…… 聖セイクリッド神国はハイエルフが崇拝されていて統治者として君臨している国というのは前に説明したわよね。
そのハイエルフたちの頂点にいる存在が聖王よ。
そして、今の聖王は歴代の聖王が成し遂げることができなかった<精霊王>という精霊を統べる精霊と契約を成し遂げたの。
この偉業を称える意味を込めていつしか魔導王と呼ばれるようにもなった、そんな人よ」
「よくはわからんが…… なんかすごそうな人物だというのはわかったよ
ゴラン、早計な指示をしてしまってすまなかった」
アキナの説明を聞いたクロムは素直にゴランに謝罪した、世界有数の強者が相手にいるとはまったく想定していなかったためである。
ゴランはそんな謝罪は不要であることを伝えた上で、気になっていたことを伝えるのだった。
「実は気になることがありまして……」
「ん??」
「先ほども報告した内容なのですが、遭遇した強者は魔導王だけではありませんでした。
ギンの話によればオオカミ部隊を壊滅させたのは<剣聖の斬撃>と<魔導王の炎>であったと。」
「そういえばそんなこと言ってたな」
「剣聖は自分が強くなること以外に興味がないと聞きます、ましてやどこかの国に肩入れするとは考えにくいです。
そして、魔導王は嫌悪しているといっていいほどの<人族嫌い>で有名です、自国から人族を全員追放させようとしたことが何度もあるほどに。
その二人が協力関係を築いて我らを撃退した、この事実が何を意味するのか……」
「確かに<不自然>、だな……
望んでもいない進軍をした<悪魔王>。
人となれ合うことを望まないのに<魔導王>と手を結んだ<剣聖>。
嫌悪している人族である<剣聖>と手を結んだ<魔導王>」
「……」
「誰かに何かを指示されたり強要される立場にないものたちが、ここ数日で立て続けに<不自然な行動>をしている……
…… やはりということか……」
「クロム??? 大丈夫??」
ゴランの言葉を聞いたクロムは厳しい表情で独り言を続けた。
そして何かに思い至ったように見えたクロムがより深刻そうな表情を浮かべたことをアキナは見逃さなかった。
「あぁ、大丈夫。
心配かけてごめんね。
ゴラン、聖セイクリッド神国軍はこっちが退却後どうなった?」
「追撃もなく、こちらの退却を確認後に聖都に戻ったと報告を受けています」
ゴランの言葉を聞いたクロムはある決意を胸に立ち上がった。
「ゴラン、引き続き聖セイクリッド神国の動向を監視してくれ。
そして、俺は急用ができたから少しミレストンを離れる」
決意と悲観、そんな感情を表情に浮かべるクロムは、みんなに背を向けて歩き出しつつナビに声をかけるのであった。
ミレストン中心部に最近建築された大きな洋館、その書斎にクロムの嘆き声が響き渡っていた。
なぜなら、ゴランが先日の聖セイクリッド神国への侵攻に失敗したことについての報告をしたためである。
「クロム殿、不甲斐ない結果で申し訳ない……
ご依頼もこなせず無様な退却をしたことを……」
神妙な表情のゴランが謝罪の言葉を言い始めたところで、アキナから横やりが入った。
「ゴランさんは悪くないわよ!!
むしろ魔導王と言われる聖王を倒してこいっていう依頼がそもそも無茶苦茶なのよ!!
クロム! ちゃんと聞いてるの!!? 」
普段のアキナからは想像もつかないほどの剣幕に驚きを隠せないクロム。
そしてほぼ壊滅状態であったはずの聖セイクリッド神国軍の殲滅指示《せんめつしじ》がそれほど無茶な指示であったとも思えないのであった。
「あ、アキナさん、少し落ち着いて……
なんでそこまで怒ってるのか教えて欲しいんだけど……」
「はぁ……、クロムはこの世界の常識に疎いことをすっかり忘れてたわ……
魔導王とも呼ばれる聖セイクリッド神国の聖王って知ってる??」
「初耳だね、響きからは有名人って感じはするけどね」
「…… 聖セイクリッド神国はハイエルフが崇拝されていて統治者として君臨している国というのは前に説明したわよね。
そのハイエルフたちの頂点にいる存在が聖王よ。
そして、今の聖王は歴代の聖王が成し遂げることができなかった<精霊王>という精霊を統べる精霊と契約を成し遂げたの。
この偉業を称える意味を込めていつしか魔導王と呼ばれるようにもなった、そんな人よ」
「よくはわからんが…… なんかすごそうな人物だというのはわかったよ
ゴラン、早計な指示をしてしまってすまなかった」
アキナの説明を聞いたクロムは素直にゴランに謝罪した、世界有数の強者が相手にいるとはまったく想定していなかったためである。
ゴランはそんな謝罪は不要であることを伝えた上で、気になっていたことを伝えるのだった。
「実は気になることがありまして……」
「ん??」
「先ほども報告した内容なのですが、遭遇した強者は魔導王だけではありませんでした。
ギンの話によればオオカミ部隊を壊滅させたのは<剣聖の斬撃>と<魔導王の炎>であったと。」
「そういえばそんなこと言ってたな」
「剣聖は自分が強くなること以外に興味がないと聞きます、ましてやどこかの国に肩入れするとは考えにくいです。
そして、魔導王は嫌悪しているといっていいほどの<人族嫌い>で有名です、自国から人族を全員追放させようとしたことが何度もあるほどに。
その二人が協力関係を築いて我らを撃退した、この事実が何を意味するのか……」
「確かに<不自然>、だな……
望んでもいない進軍をした<悪魔王>。
人となれ合うことを望まないのに<魔導王>と手を結んだ<剣聖>。
嫌悪している人族である<剣聖>と手を結んだ<魔導王>」
「……」
「誰かに何かを指示されたり強要される立場にないものたちが、ここ数日で立て続けに<不自然な行動>をしている……
…… やはりということか……」
「クロム??? 大丈夫??」
ゴランの言葉を聞いたクロムは厳しい表情で独り言を続けた。
そして何かに思い至ったように見えたクロムがより深刻そうな表情を浮かべたことをアキナは見逃さなかった。
「あぁ、大丈夫。
心配かけてごめんね。
ゴラン、聖セイクリッド神国軍はこっちが退却後どうなった?」
「追撃もなく、こちらの退却を確認後に聖都に戻ったと報告を受けています」
ゴランの言葉を聞いたクロムはある決意を胸に立ち上がった。
「ゴラン、引き続き聖セイクリッド神国の動向を監視してくれ。
そして、俺は急用ができたから少しミレストンを離れる」
決意と悲観、そんな感情を表情に浮かべるクロムは、みんなに背を向けて歩き出しつつナビに声をかけるのであった。
30
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します
三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。
身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。
そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと!
これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。
※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。
前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。
八神 凪
ファンタジー
久我和人、35歳。
彼は凶悪事件に巻き込まれた家族の復讐のために10年の月日をそれだけに費やし、目標が達成されるが同時に命を失うこととなる。
しかし、その生きざまに興味を持った別の世界の神が和人の魂を拾い上げて告げる。
――君を僕の世界に送りたい。そしてその生きざまで僕を楽しませてくれないか、と。
その他色々な取引を経て、和人は二度目の生を異世界で受けることになるのだが……
【完結】異世界召喚されたのはこの俺で間違いない?
苔原りゐ
ファンタジー
アデルは平凡で退屈な人生を送っていたが、ある日、突然異世界に召喚される。だがその世界で彼を待ち受けていたのは、期待された「勇者」ではなく、無能と蔑まれる「薄汚いエルフの末裔」としての扱いだった。城から追い出された彼は、優しさと強さを持つ女性エリザと、その娘リリに出会い、二人に拾われ新しい生活を始める。
町や森では不気味な霧や異形の怪物が出現し、人々は奴らに怯える。アデルは「影の王」と呼ばれる存在と接触し、その力に巻き込まれながらも、戦う決意を固める。
戦闘の中でアデルは能力を覚醒させるが、その力は彼自身の命を削る危険なものだった。影の王が放つ怪物や試練に立ち向かう中で、アデルはその力の正体や、自身の真実を求める旅に出ることになる。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -
花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。
魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。
十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。
俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。
モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる